RQ2 紹介 - 第06回 戦闘 (戦闘ラウンドとストライクランク)

今回から戦闘ルールについて説明して行きたいと思います。まずは時間および行動順序に関するルールについて説明します。


●フルターン(Full Turn)

大きな行動を決めるための時間単位で「5分」に当たります。あまり使用する機会はありませんが、ダンジョン内での移動時間を数える時などに使用します。注意深く歩くならば 1フルターンに 120m、散歩程度の速度ならば 240m、駆け足ならば 1000m 移動することができます。訓練された馬に乗っていればその2倍の速度で移動することができます。


●戦闘ラウンド(Melee Round)

戦闘において 1回の行動をする時間単位で 12秒にあたります。1フルターンは25戦闘ラウンドに相当します。ルーンクエストの戦闘はラウンド単位で進行し、各ラウンドは以下の 4つのフェイズよりなります。
 
        第1フェイズ     意図の宣言
        第2フェイズ     接敵していないキャラクターの移動
        第3フェイズ     近接戦闘、射撃、呪文などの解決
        第4フェイズ     記録

1. 宣言フェイズ

プレイヤーとレフリーは担当するキャラクターがそのラウンドに何をするか行動宣言をします。ラウンド進行中に宣言した行動を中断することはできますが、RQ3 と違ってラウンドの途中で行動変更はできません。

2. 移動フェイズ

このフェイズに接敵していないキャラクターとモンスターの移動を処理します。接敵している場合にはそもそも移動できません。特に移動の順番とかは存在せず行動宣言に従って移動する者全員が同時に移動します。一般的な遊び方ならだいたいの相対位置でそのラウンド中に接敵できるかどうかだけを問題にします。ヘックスやスクエアなどを使った詳細な移動処理は行ないません。

移動できる最大距離は移動クラス(Movement Class)につき3メートルまでです。人間の移動クラスは 8 なので最大24メートルまで移動できます。逃走する場合など周囲の状況を観察すらせず全力で走ることだけに専念するならばその2倍の距離移動できます。

最大移動距離の半分以下しか移動していないキャラクターは、次の行動解決フェイズで近接戦闘で攻撃したり、呪文の使用したり、行動参加ができますが、半分を超えて移動した場合にはこのラウンドは移動のみとなり受けしかできません。

この独立した移動フェイズが存在していることが、RQ3 との違いの一つです。このフェイズに接敵できるかできないかの移動を全て解決できるおかげで、次のフェイズの行動解決がシンプルになっています。

3. 行動解決フェイズ

近接戦闘、射撃、呪文などの行動をストライクランクの順に解決します。接敵している場合と接敵していない場合でできる行動に違いがあるので注意が必要です。

4. 記録フェイズ

ラウンドの最後にキャラクターの状態、消費したPOW、受けたダメージ、ダメージの回復、成功したスキルや呪文の経験チェックなどを記録して次のラウンドに進みます。遅延された毒などが効果を発揮したり、呪文の持続時間が切れるのもこの記録フェイズです。


●ストライク・ランク(Strike Rank)

文字どおり「打撃の順序」でラウンド内で誰が先に攻撃判定できるかを表す値です。他のゲームでの「イニシアディブ」や「行動順」に相当する概念です。

RQ3 ではストライクランクは 1〜10 ですが、RQ2 のストライク・ランク(SR)は 1〜12 の値を取ります。計算上では SR がゼロになる場合があるのですが、その場合は多くのレフリーが SR 1 の先頭として処理しているようです。

ホビージャパンが RQ3 に「1.2秒の攻防」などという煽りをつけたりしたせいか、ストライクランクを時間の単位と思っている人もいるみたいですが、RQ3 でも RQ2 でもストライクランクは時間ではありません。

ルーンクエストの近接戦闘中の各キャラクターはラウンドの頭からラウンド最後まで何度も武器を振ったり受け流したりの戦闘行動を続けており、1回の行動をするのにそれだけの時間がかかるわけでも、自分の行動順にだけ武器を振ったりしているわけでもありません。ストライクランクは時間の単位ではなく、あくまでも誰の行動を先に判定するかという有利/不利を表す抽象的な指標です。

ストライク・ランクが小さいというのは「早い」ことではなく「有利」なことを意味します。早いと有利は多くの場合は同じようなものですが厳密には別物なので注意してください。この辺の概念は RQ3 でも同じはずなのですが結構勘違いされているようです。


●ストライクランクの上限

ストライク・ランクは最大で 12 です。12を超える場合にはその行動は実行できません(そもそも行動宣言の時点で宣言できません)。ストライクランクは時間ではないので部分的に実行して、残りを次のラウンドに持ち越すようなこともできません。


●ストライク・ランクの計算

以下の全てを足した値が戦闘におけるストライク・ランク(打撃順序)になります。近接攻撃ならば主に最初の 3つ「DEX」と「SIZ」と「武器の長さ」によってストライクランクが決まるので、この合計をあらかじめ計算してキャラクターシートに書いておきます。遠距離攻撃は「DEX」のみによります。

ストライク・ランクが同じ値の場合には生の DEX を比べて大きい方が先に判定します。DEX も同じだった場合には同時に判定して両方の結果を同時に適用します。

1. DEX SR

速さは最も重要な値です。多くのシステムで DEX順で判定するのと同様に RQ2 でも基本は DEX順で、DEX の影響が最も大きい仕組みになっています。

DEX SR
19+ 0
16-181
13-152
9-12 3
6-8 4
1-5 5

2. SIZ SR

近接戦闘において身体が大きい方がリーチが長くて有利です。これを表現するため DEX順に対して SIZ で以下のような修正値が与えられます。

SIZ SR
22+ +0
15-21+1
7-14 +2
1-6 +3

射撃武器や呪文による攻撃の場合には SIZ は射程に影響しないため SIZ による SR は加算しません。

3. 武器の長さ SR

近接戦闘では相手よりも長い武器を持つ側は有利です。これを表現するために武器の長さにより以下のストライク・ランクに修正が与えられます。拳などの身体武器は長さ 0m とみなすため、SR +4 になります。

武器の長さSR
2.0m+ +0
1.5-1.9m +1
1.0-1.4m +2
0.5-0.9m +3
0.0-0.4m +4

射撃武器や呪文による攻撃の場合には近接武器に比べてリーチが十分に長いため武器の長さによる SR は 0 とみなします。

4. 呪文の消費ポイント

強力な呪文を使用するためにはエネルギーを集めるのに時間がかかります。この不利を表現するため POW の消費ポイントに従って以下のストライクランクが加算されます。RQ3 よりは 1 SR 低い値になっており、1ポイントの呪文の場合は加算はありません。

POW消費SR
1 +0
2 +1
3 +2
4 +3
5 +4
6 +5
7 +6

5. 不意打ち

敵から不意打ちを受けた場合の不利を表現するため、不意打ちされた時の相手との距離により以下の SR が加算されます。

相手との距離 SR
3メートル以内 +3
10メートル以内+1
10メートル超え+0

6. 武器や呪文の準備

武器の準備ができていなかったり、攻撃の前に武器を持ち換えたり、新たな矢を番えたりする場合には SR に +5 の修正を受けます。手に持っている武器を落とすだけなら準備の SR は必要ありません。

剣を収めて斧を抜くとか、武器と盾のように二つのものを準備するとか、弓を抜いて矢を番えるような場合は 2回分として +10 の修正を受けます。

同様に新たに呪文の準備する場合にも +5 の修正を受けます。これは多くの呪文では焦点具として魔法杖(ワンド)などを準備しなけれればならないためです。既に焦点具を準備している場合や焦点具の必要ない呪文は準備の SR は必要ありません。

7. 移動

3メートルの移動につきストライク・ランクが +1 されます。ただしこの修正は常に適用されるわけではなく以下のような条件があります。
  1. 互いに近接戦闘をする場合には移動によるストライクランク加算しません。最初から接敵しているキャラクターはそもそも移動できませんし、このラウンドに接敵した場合でも、どちらから接近したかは有利不利には影響しないからです。
  2. 一方で接敵していないキャラクターが射撃や呪文の前に別の場所に移動した場合には、移動しない者よりも行動が遅れて不利になるため移動の分のストライクランクが加算されます。
  3. また射撃や呪文投射しようとしている敵に対して近接攻撃をしかけようと突込む場合にも、その移動の分だけ不利になるため移動のストライクランクが加算されます。
  4. 同様に既に近接戦闘を行っている敵味方に対して、3人目以降として近接戦闘に新たに参加するため移動した場合にも、既にそこにいる者たちより不利なので移動の分のストライク・ランクが加算されます。
一見するとややこしいですが、頻発する 1対1の近接戦闘の場合には移動の SRを計算しない単純なルールで処理でき、それ以外の特別な状況の場合にのみ移動の SR を計算すれば良いという運用にとても優しいルールになっています。

★ランタスの冒険

新米冒険者のランタスのバスタードソードは DEX SR 2、SIZ SR 1、武器 SR 2 で合計 5 なので、通常の場合は SR 5 に攻撃できます。

剣と盾を構えて慎重に廃墟を探索していたところ、8メートル先の塀の陰から人間サイズの大きなカエルが飛び出してきて奇襲を受けました。カエルはなんと壁の裏に張りついていたのです。

戦闘ラウンドの開始です。宣言フェイズでカエルはそのとても長い舌でランタスを打ちつけようとしています。ランタスはカエルに走り寄って剣で切りかかり盾で受けると行動宣言しました。

移動フェイズでランタスは 8メートル移動してカエルに接敵します。移動は最大値(24メートル)の半分以下なのでランタスはこのラウンドに近接攻撃が可能です。カエルは移動せずにランタスを迎え撃つようです。

次に行動解決フェイズです。カエルの舌の攻撃 SR は 4 なのでまずはカエルの攻撃ですがカエルは攻撃を失敗しました。ランタスも〈中型盾受け〉に失敗していたので当っていれば危ないところでした。ランタスの攻撃は通常の 5 に奇襲の分の +1 を加えて SR 6 に判定します。近接戦闘なので移動の分の SR は加算する必要はありません。ランタスはなんとか攻撃を命中させ、カエルは受けようとしなかったため右前脚にダメージを与えることに成功しました。

記録フェイズに〈片手剣攻撃〉に経験チェックをつけて、次のラウンドに進みます。ランタスはその後も何度か危ない場面があったものの傷を負うことなくカエルの退治に成功しました。

後日、酒場で自分の倒した大きなカエルについて自慢していたランタスですが、先輩冒険者たちからそのカエルはクリフトードといって、彼の倒したのはその中ではとても小型のもので年経たものは家より大きくなると聞いて青くなるのでした。

●複数行動(Multiple Action)

各キャラクターは 1ラウンドに複数の行動ができますが、どのような行動が可能かは接敵状態によって異なります。

接敵している場合

接敵しているキャラクターはラウンドの最初から最後まで近接戦闘を行っているとみなすため原則として「攻撃と受け」1回づつのみが可能で他の行動はできません。近接武器による攻撃のかわりに呪文の使用がきるので「呪文と受け」を 1回づつとすることもできます。

両手にそれぞれ別の武器を持っている場合には、「攻撃と受け」のかわりにそれぞれの武器で「攻撃と攻撃」または「受けと受け」を選択することもできます。「攻撃と攻撃」を実行する場合には 2回目の攻撃は両方の近接攻撃の SRを足した SR に実施されます(12を超えるようならばその選択はできません)。

RQ2 では近接攻撃と呪文は同じラウンドには実行できません。また呪文は原則として 1ラウンドに 1回しか使用できないという制約があります。このため「呪文と攻撃」や「呪文と呪文」のような行動選択はできません。

RQ2 には〈回避〉スキルは存在せず、かわりに防御値(DEF)が存在しています。防御は独立した行動ではないため攻撃や受けに加えて毎ラウンド適用できます。

接敵していない場合

接敵していない場合にはストライクランクの範囲内で「遠距離攻撃」「呪文」「移動」などを自由に組み合わせて複数行動できます(このあたりが時間の概念っぽいので誤解の元なのかもしれません)。

これらはどの順番に実行しても構いませんし、呪文と遠距離攻撃を同じラウンドに実行することもできます。素早いキャラクターならば複数回射撃することもできますが、呪文は 1ラウンドに 1回までという制約があるため同じラウンドに複数回呪文をかけることは(原則)でません。

その他の行動

その他の行動をする場合は一般的にラウンドの間はずっとそれに専念しなければなりません。例えば〈聞き耳〉や〈隠れた物を探す〉のような知覚系のスキルを戦闘中に使用したい場合には、行動宣言でそれを表明する必要があり、そのラウンドはそれ以外の行動はできません。

会話

通常の行動に加えて会話をすることができますが、1ラウンドは12秒しかないので注意が必要です。掛け声をかけたり、味方の注意を促したり、簡単な指示を出したり程度の単純な会話しかできません。


●RQ3とRQ2の処理の違い

以上が RQ2 の戦闘ラウンドの処理なのですがいかがでしょうか。RQ3 と比べて全然別物と感じたでしょうか、それともほぼ同じと感じたでしょうか。全然違うと感じた人の中には RQ3 日本語版の微妙な訳に惑わされいる人もいるかもしれません。例えば英語版の直訳で
「攻撃は単に一回の打撃ではなく、武器が使用可能になったストライクランクに始まり戦闘ラウンドの最後までの間を占める一連のもしくは組み合わせた打撃です。」
となっている部分をホビージャパンの日本語版では
「一回の攻撃はただ一度の打撃を意味するのではなく、第1打撃を行なうストライク・ランクから始まる、一連の打撃あるいはその組み合わを指します。」
と訳しています。英語版は武器を抜き終ってさえいればラウンドの最初から最後まで打撃を行っているということを伝えようとしているのですが、和訳ではいつ打撃が始まりいつ終るのかさっぱり不明な訳になっています。

RQ3 と RQ2 のストライクランク処理の大きな違いは接敵時のルールと接敵していない時のルールが別々になっているかどうかです。逆にそこ以外にはほとんど差がありません。小さな違いとしては SR が最大10に変更されたこととか、呪文は 1ラウンドに 1回までという制限が無くなったとかあります。

ルールの読み解きが得意な人は色々と納得いくものがあったかもしれません。実は RQ3 のルールは RQ2 から個々のルールを大きく変更せずに、別々になっていた接敵時のルールと接敵時以外のルールを一つに統合しようと試みたものなのです。

個人的な意見として、ルールは統一が取れていた方が良いという意味でこの二つを統合しようというのは自然な流れでデザイナーの意図は良くわかります。しかしこれはあまりうまく行かなかったようです。RQ3 のルールは自由度が高くなったりしてうまく行っている部分もあるにはあるのですが、シンプルだった接敵時の運用が重くなってしまったりとか、細かい矛盾が取り切れていなかったりとか、新たな問題が発生して一長一短な感じになっています。

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今回はストライクランクについてでした。次回は攻撃と受けについての予定です。

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