2015年11月28日

RuneQuest: Classic Edition

RuneQuest: Classic Edition の支援募集が Kickstarter で始まっています。 この Classic版は Chaosium から出版されていた第2版(第1版と第2版はほぼ同じ内容)のリプリント(再販)になります。 ホビージャパンによって日本語に翻訳されたのは第3版なのでそれより古いものになります。時期的にはAD&Dの初版と同じくらい。汎用設定ではなく専用の世界設定グローランサが最初から組み込まています。


   リンク: https://www.kickstarter.com/projects/224590870/runequest-classic-edition

●経緯

Chaosium が Avalon Hill に RuneQuest の販売権(商標)を売ったため、再販はできない状態になっていました。またグローランサの権利も作者の Greg Stafford とともに Issaries社に移っていました。 ルールの著作権:Chaosium、商標:Avalon Hill、世界設定:Issaries といったバラバラになっていた権利が、Avalon Hill が手放した RuneQuestの商標を Issaries が入手し、その後にグローランサの権利と合わせて Moon Design社に売却、少し前の記事で書いたように Chaosium の体制変更により Moon Design の持つ権利が Chaosium に移ったことにより全ての権利が Chaosium社に戻ったことにより再販が可能となったものです。

Chaosiumの新体制直後から新社長である Rick Meints (グローランサコレクターで RQ2の大ファンとして知られる)を始めとする RuneQuest 2nd のファンたちが再販の可能性について盛り上っていましたが、とうとう再販されることになったようです。

●支援レベルと報酬

キックスターターの支援レベルと報酬は以下のようになっています。

$1  部族に参加(IN THE TRIBE)
  キャンペーン情報を入手可能。
  アドオンを購入可能

$15 平信者(LAY MEMBER)
  RuneQuest Classic (PDF)
  Player Handout (PDF)
  アドオンを購入可能

$30 入信者(INITATE)
  RuneQuest Classic (ハードカバー +PDF)
  Player Handout (印刷物 + PDF)
  GMスクリーン (印刷物 + PDF)
  アドオンを購入可能

$50 ルーン王(RUNE LORD)
  RuneQuest Classic (合成皮革ハードカバー +PDF)
  Player Handout (印刷物 + PDF)
  GMスクリーン (印刷物 + PDF)
  アドオンを購入可能

$100 ルーン司祭(RUNE PRIEST)
  RuneQuest Classic (合成皮革ハードカバー +PDF)
  Player Handout (印刷物 + PDF)
  GMスクリーン (印刷物 + PDF)
  Old School RQ Source Pack (印刷物 + PDF)
  アドオンを購入可能

$250 ルーン王=司祭(RUNE LORD-PRIEST)
  RuneQuest Classic (合成皮革ハードカバー +PDF)
  Player Handout (印刷物 + PDF)
  GMスクリーン (印刷物 + PDF)
  Old School RQ Source Pack (印刷物 + PDF)
  RuneQuest プレイテスト用草稿 (ハードカバー)
  アドオンを購入可能

$1,000 大司祭(HIGH PRIEST)
  RuneQuest Classic (合成皮革ハードカバー +PDF)
  Player Handout (印刷物 + PDF)
  GMスクリーン (印刷物 + PDF)
  Old School RQ Source Pack (印刷物 + PDF)
  RuneQuest プレイテスト用草稿 (ハードカバー)
  未出版シナリオと情報本 (ハードカーバ2冊)
  アドオンを購入可能

$1,050 ルーン司祭=王(RUNE PRIEST-LORD)
   大司祭と同じ

●内容

今回の Classic版はリプリント(再販)といっても今までのものと全く同じではなく、ルールや文章には大きく手を加えていないものの、全てのエラッタを反映 してレイアウトをやりなおした完全版だそうです。ページ数は144ページということなので昔より少し増えているようです。表紙は当時のデザインのままですね。 装丁はハードカバーと合成皮革ハードーカバーのダストジャケット付きの2種類。

『Player Handout』 というのはキャラクター作成やプレイ中にプレイヤーが参照する表などをまとめた20ページ程度の小冊子だそうです。

『Old School RQ Source Pack』 というのは
 ・Balastor's Barracks:  RuneQuest 最初のシナリオで古典的で単純なダンジョンハック。大廃都にある怪物が棲みついた旧兵舎から宝物を持ち帰れ。
Militia & Mercenaries:  民兵や傭兵のキャラクター集
Scorpionmen & Broos:  スコピーオンマンやブルーのキャラクター集
Trolls & Trollkin:  トロウルやトロウキンのキャラクター集
の四冊のセットです。 キャラクター集は単純に能力値を振って属性を計算しただけで背景もなく名前すらついていないキャラクターがたくさん載っているだけの冊子です。(何でそんなものがと思うかもしれませんが、今だとコンピュータとか使えばNPCとか作るのは簡単ですが、当時は大量の雑魚のためにサイコロ振ったり計算したりは面倒だったので見掛け以上に便利なんですよ。シナリオ中に急に必要になったときとか今でも便利かも)

『RuneQuest プレイテスト用草稿』というのは RuneQuest の初期開発の際のテストプレイ時に Steve Perrin や Greg Stafford 使っていたルールとか資料だそうです。以下の写真にあるのがそのオリジナルで、報酬はこれをコピーしてハードカバー本にするということみたいです。実用性はなさそうなので、ルーンクエスト開発の経緯を知りたい人向けのコレクターアイテムですね。

『未出版シナリオと情報本』は詳細はよくわからないですが、アップランド湿原の Howling Tower での冒険や、西方の魔道ルールの草稿などが含まているそうです。これも実用性というよりはコレクターアイテムだと思われます。これは最上位の High Priest と Rune Priest-Lord のみの報酬で数量限定ですので欲しい人はいそいだ方が良いと思います。

その他既に $50,000 に到達しているので以下の 3冊の PDF が全支援者に配布されます。
FANGS: RQ2のボックスセットに付属していたエルフ、ドワーフ、怪物たちのキャラクター集(やっぱり能力値だけ書いてる本)
Apple Lane: (3版のやつが)日本語翻訳されているので説明はいらないと思うけど初心者向けの良シナリオ
Snakepipe Hollow: これも(3版のが)日本語翻訳されてる中級以上向けのダンジョンシナリオ

多分2版のやつのリプリトになるのと思いますが和訳されている3版と内容的にはほぼ同じで、 ルールが異なるため NPCのデータなどが少しだけ異なります。

●期間

キックスターターの募集期間は 2015年12月22日の午前9時(日本時間)までとなっています。期間はあまり長くはないので希望する人は早めに申し込んでおきましょう。

報酬の配布がPDFは12月中、印刷物が1月となっているようです。キックスターターの納期はあくまでそうなったらいいなくらいの希望的観測で、実際には予定から1年とか2年とか遅れるのはざらで期待しては駄目なのですが、今回の募集期間終了後すぐに配布するという超強気な予定は、レイアウトまで含めてほぼ全て完成していて印刷するだけの状態みたいです(願望)。

●送料 (追記)

説明によると支援金額に送料は含まれておらず、送料はキャンペーン終了後に重量と住所にもとづいて計算して実費を別途徴集する予定だそうです。日本への送料はハードカバー本の見積りで$25 くらいになりそうということのようですのが、後からの支払いになるので注意が必要です。

●まとめ

ということで、RuneQuest 2版は遊んだことないけどロールプレイング初期の名作を遊んでみたい人は応募してはいかがでしょうか? もちろん昔遊んだことがあって再び遊びたい人や、今も遊び続けていてルールブックがボロボロで買い直したい人にも必須です(笑)。



Forgotten Secret of Glorantha

Forgotten Secrets of Glorantha (グローランサの忘れられた秘密)という小冊子が発売になっています。これは昨年(2014年)にドイツで行なわれたゲーム・コンベンション THE KRAKEN のセッションの一つとして Sandy Petersen (サンディ・ピーターセン)がグローランサの秘密を語ったものを44ページのA5小冊子にまとめたものです。 PDF版は以下 Moon Design のサイトからダウンロード購入できます。紙の冊子版も欲しい場合には出版者の Fabian Küchler にメールで連絡する必要があります。

  購入: www.glorantha.com/product/forgotten-secrets-of-glorantha/


サンディは『クトゥルフ神話RPG (Call of Cthulhu Roleplaying Game)』の原著者として有名ですが、 Greg Stafford (グレッグ・スタッフォード)を助けてグローランサの初期設計にあたった人物であり、グレッグを別にするとグローランサの成り立ちに最も詳しい人物です。その彼が今まで明かされていなかったグローランサの秘密を語りました。

そしてその内容を THE KRAKEN  Chapbook (小冊子)としてまとめたものがこの本になります。ドイツまで聞きに行けなかった人たちにとってほんとうありがたいです。

内容ですが、是非読んで欲しいので直接解説はしないことにします。サンディは長い間 RPGやボードゲーム業界を離れてコンピューターゲーム業界にいて最近 Cthulhu Wars でボードゲーム業界に復帰したため、近年おこなわれた変更について詳しくありませんが、本質的な部分でグローランサには彼がグレッグと協力してデザインした部分が多数あり、グローランサの根本にかかわる非常に面白い話がたくさん載っています。秘密の公開といっても突拍子がなかったり困惑するような話ではなく、今まで色々と謎めかしていたり曖昧にしてあった部分をバッサリと解決してくれる感じで居心地が良い内容です。

とくにRuneQuest の2版や3版時代からのファンにとっては懐しくて面白いと思いますのでファンの人はお勧めです。

2015年11月7日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)の紹介

現在 Kickstarter でボードゲームのクトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)の拡張第二弾 Onslaught Two の資金募集が行なわれています。 残り日数も少なくってきたようですが、 応援を兼てゲームの紹介を行ってみたいと思います。

Kickstarter: Cthulhu Wars : Onslaught Two

●コアゲームと拡張

クトゥルフ・ウォーズは基本となるコアゲーム(Core Game)と多数の拡張(Expansion)よりなっています。 コアゲームだけで完全な形で遊べるようになっており、各種の拡張は遊べる邪神の勢力やマップの追加や、 モンスターのヴァリエーションを増やしたりするためのものです。 今行なわれている Kickstarter では新しい拡張のセットが募集されているわけですが、 今回の紹介ではまずはコアゲーム部分を紹介しようかと思います。

Cthulhu Wars Core Game

いや、 実は拡張はまだ手元になくて紹介したくてもできないんです。 ものはできていて工場からの船便で旅をしているところみたいです。 拡張は機会があれば別途ということで。

●ゲーム概要

クトゥルフ・ウォーズはサンディー・ピーターセンがデザインしたボードゲームです。 彼はロールプレイグ・ゲームの「クトゥルフ神話RPG(Call of Cthulhu)」のデザイナーとしても有名ですし、 グローランサ関係でも重要なデザイナーです。 その後アナログゲーム業界を離れて、コンピューター・ゲームの業界で活躍していました(Doom とか Age of Empire とか聞いたことのあるかもしれません)。 そのサンディー・ピーターセンが一昨年アナログ・ゲーム界に戻ってきて発表した作品がこのゲームになります。

クトゥルフ・ウォーズは写真にあるような感じのミニチュア・フィギュアを使ったマルチプレイヤーのボードゲームです。 クトゥルフ神話を題材にしており、 各プレイヤーは邪神の勢力の一つを担当して互いに争いながら世界を滅ぼすことを目指します。 そして滅亡に最も貢献した勢力が勝利者になります。

●概観(見た目)

とにかく大きいです。 ちょっと比較写真を撮ってみましたがいかがでしょうか? 箱の大きさを数値で書くと 43cm×33cm×17cm で重さ 5kg くらいですかね。 正確に測ったわけではないので誤差はあるかもしれません。 遊ぶのにも少しだけ広めのテーブルが必要になります。 私の家では床に広げることになります。

大きさ比較
比較対象は2Lペットボトルです。

 ●フィギュア

このゲームの目玉は何といっても非常に良くできたフィギュアの数々です。 邪神の勢力ごとに色分けされており、 人間や小型モンスターは1インチ(25mm)スケールのそれですが、 旧支配者たちや大型モンスターは巨大サイズになっています。
信者たち

ロールプレイグゲームの 「クトゥルフ神話RPG(Call of Cthulhu)」 とかの小道具として使うのも面白いかもしれません。 いきなりこんなの出て来ても打つ手がないわけですが。
クトゥルフ(Cthulhu)

●マップ

写真にあるようにマップは世界地図になっていて、 勢力ごとに指定された地域からゲームが開始されます。 ゲームが進むと中国にビヤーキーが飛来したり、 北アメリカにクトゥルフが上陸したり、 アフリカにニャルラトテップが降臨したり、 世界各地で旧支配者やモンスターたちが暴れる世紀末(死語)な感じのゲームです。
4人ゲームの初期配置

●価格

コアゲームの定価は $199 で、アメリカの安いゲームショップだと実売 $170 くらいからのようです。 今行われている kickstarter では、数量限定ですが、$150 でコアゲームも入手可能になっているので、 この機会を利用すると良いかもしれません。 ただ注意すべきなのは最近国際運送の値段が非常に値上りしている点です。 上述したように大きくて重い商品なので追加で $50〜$100 の送料がかかるのではないかと思われます。

以下、 続きでは、ゲームの遊び方(ルール)を簡単に紹介したいと思います。