2017年5月23日

Glorantha 固有単語数の調査


ふっと、グローランサ(Glorantha)って固有名詞の数って異常に多いよなあ、覚え切れないしとか思ったので、いったいどれくらいあるのか数えてみました。

●調査対象

サンプル対象として Issaries/Moon Design/Chaosium からPDF版が出版されている全てのグローランサ出版物を対象とします。だいたい以下のようなものが含まれています。

   RuneQuest 2版の復刻: 12冊 (Troll Pack を含まず)
   Hero Wars / HeroQuest(初版): 15冊
   HeroQuest(2版): 7冊
   Guide to Glorantha: 2冊
   Wyrms Footnote  Vol.15: 1冊
   Novel: 2冊 (King of Sartar, Complete Griselda
   Stafford Library: 10冊
   Glorantha Source Bookドラフト: 1冊
   Khan of Khans rulebook: 1冊
   計: 51冊

●方法

1) PDF をテキスト化して全ての単語を切り出す
2) 大文字/小文字を揃えて重複を排除する
3) そのうち英語の辞書に載っている単語を及びその変化形を全て取り除く
4) 地球の固有名詞(著者名、支援者名、連絡先住所、図書名など)を取り除く
5) 世界に依存しないゲーム用語(能力値や呪文名など)や数値などを取り除く
6) 出現頻度が3回未満のものを捨てる

最後の出現頻度の条件ですが、グローランサのシナリオだと雑魚のやられ役のトロウルキンにまで名前が付いていたりしますがそのようなものまで数え上げるのはあまり意味がないですし、1回しか現われないものにはスペルミスの類が多く含まれていおり、それを訂正するのは手間なので一律切り捨てることにしました。

●結果

上記のように集計した結果は 9,379 単語でした。 (多過ぎるよ、そもそも覚えようとか無理でした)。

複数形や大文字/小文字以外の表記のゆらぎなどは別単語としカウントしています。もちろん細かい部分まで考えれば辞書に載っていない英単語が混っていたりとか、逆に偶然に英単語と一致してしまって削除されたグローランサ用語とかあると思うので詳細な数値には意味はありませんが、とにかく概数で一万近い単語があるという結論になりそうです。

だいたい悪いのは Guide to Glorantha にある大量の地名と、Greg 同人誌こと Stafford Library だろうということで、Hero WarsHeroQuest のサプリ22冊だけを対象にカウントしてみても 5,000 を超えていたので半端ないです。 ちなみに RuneQuest 2版の12冊だけだと 2,000 くらい。

●ランキング

今回の調査の副産物として単語の出現頻度のランキングができたので発表してみます。ランキングにあたって単数形と複数形があるものは一つにまとめました。

神名 TOP20
順位頻度単語
18372Orlanth
22682Ernalda
31612Humakt
41574Issaries
51227Lhankor Mhy
61045Yelmalio
7988Waha
8795Chalana Arroy
9782Elmal
10659Umath
11592Eurmal
11592Heler
13584Kyger Litor
14581Zorak Zoran
15575Malkion
16546Urox
17528Eiritha
18486Aldrya
19485Yinkin
20452Vingkot

感想: オーランス(Orlanth)がぶっちきりの第1位はいいとして、第2位はアーナールダ(Ernalda)なんですね。ライトブリンガーズを押さてのヒューマクト(Humakt) の3位はさすがの貫禄です。

注目は Yelmalio の6位です。 一見すると安泰みたいですが、ライバルの Elmal が9位と迫っています。 RuneQuest 2版分を含めているので勝っていますが、21世紀に出版された分だけだと、なんと  ElmalYelmalio を逆転しています。

他にも意外なところだと HelerYinkinVingkot などのオーランス系の神々が躍進が著しい感じです。 Storm Bull や Red Goddess とかは英単語として削除されているため残念ながら集計対象外です。

人名、英雄、新しい神 TOP20
順位頻度単語
11262Arkat
21210Argrath
3862Colymar
4553Nysalor
5490Kallyr Starbrow
6485Heort
7409Harmast
8401Fazzur
9399Dormal
10343Lokamayadon
11339Sheng Seleris
12329Broyan
13310Yanafal Tarnils
14302Flintnail
15298Harrek
16278Temertain
17270Etyries
18268Tarkalor
19252Delecti
20238Rurik

感想: わずかな差でアーグラス(Argrath)を押さえてアーカット(Arkat)が1位になりました。3位のコリマー(Colymar)は人名というよりは部族名として使用されている回数が圧倒的に多いと思われるので水増しチートですね。 ナイサロール(Nysalor)は神様の分類なんだけど歴史開始後なとのと Arkat との対比上こちらのリストに入ってます。グバージ(Gbaji)は惜しくも21位でランク外となりました。

16位にいるテマーテイン(Temertain)が他と比べて圧倒的な小物感を出してる癒しです。20位にちゃっかり入っているルーリク(Rurik)さんもRQ2のサンプルキャラクターによる水増しで癒し枠だけど、最近は英雄の仲間入りをした模様です。

地名 TOP20
順位頻度単語
14595Sartar
24075Glorantha
31933Prax
41097Tarsh
5869Esrolia
6799Seshnela
7697Dara Happa
8642Genertela
9626Jonstown
10618Boldhome
11610Ralios
12589Nochet
13551Kralorela
14466Balazar
15461Heortland
16453Fronela
17373Kethaela
18372Pamaltela
19367Dorastor
20358Kero Fin

感想: TOP3は書名になっていることもあって圧倒的です。グローランサ(Glorantha)をサーター(Sartar)が上回ったあたりがちょっと意外ですかね。

首都のボールドホーム(Boldhome)を押さえて9位に入ったジョンズタウン(Jonstown)は「ジョンズタウン文書」のおかげです。その他はドラゴン・パス近辺の地名および大地域なので順当ですね。Dragon Pass そのものや Spike などは英単語除外により集計対象外です。

種名 TOP20
順位頻度単語
11812dragonewt
2932aldryami
3857trollkin
4825mostali
5573uz
6451newtling
7353alynx
7353morokanth
9224durulz
10210gorp
11157ludoch
12134walktapus
1397vrok
1481triolini
1574embyli
1667uzko
1766jack o'bear
1858hollri
1858jolanti
1858ouori

感想: 一応、他のリストに合わせて20位まで集計しましたが頻度的には10位くらいで十分だったかもしれません。ドラゴニュート(dragonewt)が倍近い差を開けて1位でした。 elf や troll などのように呼び替えができないためでしょうね。

10位の gorp には「貪り喰う」のような意味の英俗語が存在していたはずですが、使用した辞書には載っていなかったため英単語除外を免れたようです。

人種、民族名 TOP20
順位頻度単語
12904Orlanthi
22066Heortling
31210Praxian
41020Sartarite
5736Telmori
6725Dara Happan
7583Malkioni
8511Humakti
9469Vadeli
10458Vingkotling
11391Hsunchen
12386Carmanian
13383Esrolian
14362Jrusteli
15337Waertagi
16297Kralori
17278Pavic
17278Tarshite
19274Brithini
20263Agimori

感想: グローランサには種族にするか人種にするか悩ましい者共が多数いるのですが人間っぽいのは全部こっちのリストに入れました。テルモリ(Telmori)とかウェアタギ(Waetagi)とか。

8位に入っている Humakti には民族的な意味が薄くて純粋に信者集団なあたりが特異です。ちなみに同じような位置付けのイェルマリオン(Yelmalion)は128回しかなく完全なランク圏外でした。

●まとめ

思ったより多量に単語が有りました(苦笑)。数を増やせば良いというものではないでしょうが、地理、歴史、神話などを詳細に掘り下げるに従って増えて行くのは仕方がないところなんでしょうね。他の RPG の背景世界などの創作ワールドだとどんな感じなんでしょうね。

グローランサには今回の集計に混ぜなかった RuneQuest 3版資料、Mongoose版資料、公式/非公式な各種雑誌資料などがあって、まだまだ増やす余地はあるのですが...

2017年5月7日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(15)

最終回は第2期キックスターターのおまけフィギュアについて紹介します。第1期のキックスターターでも多量のおまけフィギュアがついてきましたが第2回キックスターターも多数のおまけフィギュアがついてきました。

= 宇宙からの色・ゲート =
(Colour Out of Space Gate Pack)
各勢力ごとの色つき門(ゲート)が1個づつ付いてきました。開始ゲートとかの目印に使うことができますが、これらの門を使うための特別ルールが Petersen Games のウェブページからダウンロードできます。

ダウンロード: Petersen Games ダウンロードページ

= 暗闇で光る旧支配者 =
(Glow-in-the-Dark Great Old One)

大盤振舞い、旧支配者のフィギュア11体です。主に飾っておく用ですがゲームのユニットと入れ換えて遊ぶこともできますし、TRPG などに流用することもできそうです。ゲームについてくるものと同じ型ですが、これらの半透明素材のフィギュアは燐光により暗闇で光るという特徴があります。


そう言われると実際に試さざる得ないというもの、部屋を暗くしてみました。色によって明るさが違いがあってラーン=テゴスとイタカはやけに明るく光り、ウボ=サスラもそこそこ光りますが、残りは微妙な感じです。


= 独立の旧支配者の忠誠カード =
(Independent Great Old One Loyalty Card)
これはオプションルールとして各勢力に所属している旧支配者を、独立の旧支配者としても使えるようにするための忠誠カード(Loyalty Card)と独自の呪文書(Spellbook)です。例えば「這いよる混沌」勢力を担当するプレイヤーがいない時に、使用しないニャルラトホテプを独立の旧支配者として誰でも覚醒できるようできます(バランス調整のために本来ものに比べて、だいたい半分くらいのコストと性能になっているようです)。上述のおまけの燐光フィギュアを使えば2体目のクトゥルフ登場とかもできるかもしれません(末期症状)。


= H.P.ラブクラフト胸像 =
(H.P.Lovecraft Bust First Player Marker)
キックスターター恒例というべきか、H.P.ラブクラフトのフィギュアです。今回は銅像風の胸像です。これも第一プレイヤー・マーカーとして使用できます。(そういえば余談ですが2版では用語が「開始プレイヤー(Start Player)」から「第一プレイヤー(First Player)」に変更されたみたいです)


= 勢力の自作用フィギュアセット =
(Homebrew Faction Figures)
勢力を自作するための灰色の信者6人と、大司祭1人、魔力マーカーと滅亡マーカーのセットです。上述の Peatersen Game のウェブページから勢力シートや呪文書のテンプレートもダウンロードできるので、中立のユニットを組み合わせて勢力を自作できます。公式の勢力はかなり丁寧にバランス調整されているのですが、独自作成でそのレベルのバランス調整は結構難しそうです。


=追加コレクターズ・フィギュア=
(Collector's Figure)
第1期に大量についてきたコレクターズ・フィギュアの追加分です。今回の拡張には中立の怪物はほとんどいないため、この2種類だけです。キックスターターの支援金額合計がもう少し延びれば、原ショゴスやチョー・チョー人も追加される可能性はあったのですが届きませんでした。

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■とりあえず全部を紹介し終ったので今回の連載は以上で終わりです。Petersen Game では第三弾 の企画も進行中ようなので、その時にはまた書きたいと思います。

2017年5月4日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(14)

今回はオメガルールブックと6-8人用の追加マップなどを紹介します。

=オメガ・マスター・ルールブック=
(Omega Master Rulebook $20)

これまでも基本のルール、各拡張のルール、WEB配布オプションルールなど現時点までの全てルールをハードカーバ一冊にまとめた全部入りルールブックです。キックスターター支援者の中から希望者に $20 で販売されました。ルール参照用にとても便利ですがハードカーバーは重いので持ち運びには少し難があります。

以下のページで PDF版が無料ダウンロードできますので、ルール確認用ならそちらが便利かもしれません。

 ダウンロード: Petersen Games ダウンロードページ

中身はこんな感じです。


= 6-8人用マップ・セット =
(6-8 Player Map Bundle $80)

6-8人用のマップ5種類がセットになったものです。1種類づつのバラ売りもあるのですがパックで買うとちょっとだけ割引になります。値段は安い(?)ですが、あくまで既存の 3-5人用マップを 6-8人用に拡張するためのものなので、トークン類やフィギュア類はついてきません。ほんとうにマップだけなので、遊ぶためにはまずは事前に普通の3-5人用拡張マップを購入しておく必要があります。

いずれも2枚に分かれていて表面が6人用に、裏面が 8人用になっています。7人で遊ぶ場合には片側を6人用にもう方側を8人用にします。あの巨大フィギュアを8勢力並べる大きさなので通常のマップよりかなり大きいです。日本の住宅事情に優しくありません。

●6-8人用原始地球マップ

●6-8人用ドリームランド・マップ

●6-8人用ユゴス・マップ

●6-8人用セラエノ図書館マップ



= 勢力カード =
(Faction Card)

第1期キックスターターで追加報酬として無料で配られたものと(ほぼ)同じ厚いボード版の勢力シートです。そちらに参加できなかった人のために第2期では有料アドオン($10)として販売されました。第1期のがあるので私は必要ないはずだったのですが何故が注文していました。両者を詳しく比較するとフォントや色が調整されていたり、最新のエラッタを反映したり、文面が一部分かり易く修正されていたりして新版になっていました(エラッタのあるものに関してはアップグレード・キットに含まれているので必須というわけではないですがちょっとだけ嬉しい)。

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■次回で最終回の予定です。第2期キックスターターのおまけフィギュアについて紹介します。

2017年5月3日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(13)

記念すべき第13回目は第2期キックスターター Cthulhu Wars: Onslaught Two で配布されたアップグレード・キットなどについて紹介します。

= アップグレード・キット =
(Upgrade Ritual and Doom Track)

クトゥルフ・ウォーズの初版のコンポーネントを第2版相当にアップグレードしてくれるキットです。太っ腹なことに第2期キックスターターの支援者全員に配布されました。

●祭儀トラック(Ritual Track)

絶滅の祭儀(Ritual of Annihilation)トラックで標準の3人、4人、5人用に加えて6人、7人、8人用も配布されました。これで追加マップを準備すれば大人数でも遊ぶことができます。

●滅亡トラックと呪文書

新しい滅亡トラック(Doom Track)です。滅亡マーカー(Doom Marker)が右下のように大きく円盤形なったのに合わせて、この滅亡トラックも一回り大きくなっています。また最大値も 40 から 46 に上がっています。

下に並んでいるのはエラッタによって一部修正された呪文書(Spellbook)や独立の旧支配者の忠誠カード(Loyalty Card)です。アップグレード・キットの一部として配布されました。

●勢力カード(Faction Card)

同じくエラッタによって修正された勢力カードも配られました。こういう既存ユーザを大切にする姿勢は日本のメーカーにも是非見習って欲しいと思います。


= 戦闘ダイス =
(Battle Dice $20)

第2期キックスターター参加者に特典として配布された戦闘用ダイスです。同じものが第1期のキックスターターの特典にもありましたが、そちらは黒地に赤だったのに対して、今回は緑と色違いになっています。これで双方が同時の振ってもダイスが混ざることはりませんし、ダイスが足りなくなることもありません。ほんと便利です。


= 特殊ダイス・セット =
(Custom Dice Set $20)

同じくキックスターター特典の特殊ダイス・セットです。戦闘ダイスは上記の専用のものがあるのに対して、それ以外の判定の時に振るダイスは普通のサイコロというのも少々味気なかったので、この特殊能力ごとの専用ダイスがちょっと嬉しい。

奥側の5つのダイスは「道を開くもの」の「アザトースの畏怖べき呪い(Dread Curse of Azathoth)」の呪文書を使う時に使用します。

手前のダイスは左から順に、「這いよる混沌」の「千の貌(The Thousand Forms)」の呪文書、「黒山羊」の「グロース(Ghroth)」の呪文書、「アザトース」の覚醒魔力の決定、「黄衣の王」の「冒瀆(Desecration)」能力、「ウボ=サスラ」の戦闘力上昇に使用する専用ダイスです。


= 輝くトラペゾヘドロン・パック =
(The Shinig Trapezohedron Plastic Marker Pack $40)

キックスターターの支援者限定で追加アドオンとして $40 で販売されたキットです。ちょっと値段が高いですがコアルールや拡張ルールに付属している厚紙製のトークンやマーカー類をプラスティック製のものにアップグレードできます(素晴しい)。これらのプラスティックのトークンは彩色すればもっと素晴しくなると思うのですが、その時間が取れないの辛いところ。

●儀式マーカー(Ritual Marker)

このキット「輝くトラペゾヘドロン」の名前の元になったフィギュアです。絶滅の祭儀に必要な魔力を示す三角形の儀式マーカーのかわりに使用します。

●旧神の印(Elder Sign)

得点源となる「旧神の印」もプラスティク化されています。デザインに凝り過ぎていて、数字が読み難いのが難点といえば難点です。

●冒瀆トークン(Desecration Token)

黄色の印の「黄衣の王(King in Yellow)」の能力によって設置される冒瀆(Desecration)トークンとして使用します。

●蜘蛛の巣トークン(Web Token)

独立の旧支配者アトラク=ナチャ(Atlach-Nacha)が設置する蜘蛛の巣(Web)用のプラスティック・トークンです。あの6個置かれると世界が滅亡するやつ。

●汚濁トークン(Filth Token)

独立の旧支配者アブトース(Abhoth)が設置する汚濁(Filth)トークンとして使います。

●幼生体トークン(Brood Token)

前回紹介した旧支配者アイホート(Eihort)による幼生体(Brood)です。

●ブレイン・シリンダー(Brain Cylinder)

ユゴス(Yuggoth)・マップなどで使用するブレイン・シリンダー(Brain Cylinder)のプラスティック・フィギュア版です。各勢力の色ごとに4つ存在しています。

●砂時計(Hourglass)

クトゥルフ・ウォーズの特殊能力には「1分以内で相談すること。決まらない場合には…」のようなものがいくつかあります。その1分を測る専用の砂時計です。ストップウォッチで時間を測って確認したところ私のは58秒だったので多少の誤差ありそうですが、実用上は問題ないと思います。

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■次回はオメガ・マスター・ルールブックとかを紹介する予定です。

2017年5月2日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(12)

この連載も12回目となりました。今回は第2期の追加マップである「セラエノの図書館マップ」について紹介します。

= セラエノ図書館マップ =
(Library at Celaeno Map $40)

牡牛座プレアデス星団の恒星セラエノ、その第四惑星にあるという図書館を舞台としたマップです。今まで惑星規模のマップばかりだったのに、図書館を舞台というのはいきなり狭苦しくなった感じですがセラエノ図書館ですし異次元に広がった巨大な規模があるのかもしれません。

セラエノ図書館上層階
セラエノ図書館下層階
セラエノ図書館のマップは「上層階(Upper Floor)」と「下層階(Lowwer Floor)」の二つに分かれていて両方を同時に使ってゲームをします。二つのマップは「吹き抜け階段」と「アーチ通路(異次元回廊)」でつながっています。

●ヒントカード

セラエノ図書館マップは最新のマップだけあって色々とギミックがあります。その追加ルールを簡単に参照できるようヒントカードが付属しています。

●図書館の魔道書(The Library Tome)

上層階の四つの図書室には独特な「図書室の魔道書」が置いてあります。その図書室にある門(ゲート)を支配しているプレイヤーはその魔道書を取得して能力を使えるようになります。


これらの魔道書は呪文書(Spellbokk)と同じ様に使うことができ特別な能力を与えてくれます。その内容は旧神の印を獲得したり、怪物を無料で召喚したり、敵からの戦闘を防いだりどれも強力なものです。

一旦入手すると図書室の門の支配権を失なったとしても魔道書を持ち続けることができますが、延滞していることになり図書館の司書の復讐対象になります。

●沈黙(Silence)トークンと苦悩(Agony)ダイス

毎ターン各プレイヤーに沈黙トークンが1枚づつ配られ、ターンごとに一回だけそれを使用できます。このトークンは以下で説明する守衛(Custodian)や司書(Librarian)を行動させたり、魔道書を追加発動するためなどに使います。

●守衛(Custodian)

図書館にいる守衛(Custodian)で沈黙トークンで誰でも行動させることができます。図書館を騒がしているやつら(要は敵勢力のユニット)を捕まえて地下牢へ放り込みます。対象となるユニット数は苦悩ダイスを振って決めます。

●司書(Librarian)

この大量の書物を抱えたユニットは図書館の司書(Librarian)で、同じく沈黙トークンで誰でも行動させることができます。このユニットは魔道書を延滞している勢力のところへやって来て魔道書を取り戻そうとします。返さなかった場合は殺されたり滅亡点を奪われたりします(借りた本を返さないやつには容赦無し)。こちらも対象の数は苦悩ダイスで決めます。

●図書館の門

「司書」と「守衛」のいる場所では新たに門(ゲート)を支配することができません。司書と守衛は図書館の中では無敵なようで攻撃をしかけることはできないので、沈黙トークンを使ってどこか別の場所へ移動させないといけません。邪神たちが大挙して押しかけて来て戦場にするとか、本好きとしてはこの図書館のことを本気で心配していたのですが、この司書と守衛の能力を見ていると大丈夫な気がします。

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■次回は第2期キックスターターのアップグレードについて紹介します。

2017年5月1日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(11)

今回は第2期の拡張セットの中からラムジー・キャンベル・パックの2つを紹介します。ジョン・ラムジー・キャンベル(John Ramsey Campbell)はイギリスの有名なホラー/ファンタジー作家です。翻訳作品が少ないためか日本ではそこまで知られていないようですが、重要なクトゥルフ関連作家の一人です。今回紹介する拡張はラムジー・キャンベル作品に登場する邪神や怪物たちから構成されています。


= ラムジー・キャンベル・パック1 =
(Ramsey Campbell Horror Pack One $29.99)

このパック1には2種類の独立の旧支配者(Great Old One)と1種類の中立の怪物(Monster)が含まれています。

●独立の旧支配者: グラーキ(Gla'aki)

宇宙から隕石に乗ってやって来て英国の邪神銀座ことセヴァン谷(ほぼラムジー・キャンベルのせい)の湖に棲んでいます。この邪神は標的に棘を刺して液体を注入してアンデッドの奴隷にするとされおり、ゲーム的には自分の未登場の侍祭信者からも魔力を獲得できるという特殊能力があります。独自の呪文書:緑の腐食(Green Decay)があれば自分の信者が生贄にされるごと旧神の印を1つ獲得できます。

●独立の旧支配者: アイホート(Eihort)

同じくイギリスのセヴァン谷の地下の迷宮に棲むとされる旧支配者です。取り引きした対象の体に蜘蛛に似た幼生体を入れて育てさせると言われており、ゲーム的にはこの邪神を覚醒させると侍祭信者を全てを幼生体(Brood)トークンに置き変えます。
幼生体トークン
アイホートの幼生体は戦闘力を持つ信者として扱いますが移動ができません。独自の呪文書:不浄なる取引き(Unclean Bargain)が発動すると毎ターン信者が幼生体に変化するようになります。

●中立の怪物: シャガイからの蟲(Insects From Shaggai)

こいつらはアザトースを崇拝し拷問することが大好きな精神寄生生物です。行動フェイズの間、同じ地域にいる敵の侍祭信者の精神を操って移動させたり自分の側で戦闘に参加させたりできます。


= ラムジー・キャンベル・パック2 =
(Ramsey Campbell Terror Pack Two $29.99)

パック2にも2種類の独立の旧支配者(Great Old One)と1種類の中立の怪物(Monster)が含まれています。

●独立の旧支配者: ダオロス(Daoloth)

多次元に展開した幾何学的な形状をしており、その奇妙な形をたどろうとすると狂気に陥いってしまうと言われています。ダオロスには戦闘力はありませんが戦闘に参加することで敵の旧支配者の戦闘力を封じるという特殊能力があります。独自の呪文書:次元間(Interdimensional)は発動すると移動するだけで新しい門が作成できるという破格の能力です。

●独立の旧支配者: イゴーロナク(Y'Golonac)

この邪神もイギリスのセヴァン谷のブリチェスター市に近く棲むとされ、邪悪に墜ちた人物の身体を奪うと伝えられています。ゲーム的には戦闘で殺された時に敵のユニットを乗っとり復活します。支配権はその殺した相手に移りますが、独自の呪文書:啓示(The Revelations)が発動して毎ターン他のプレイヤーに旧神の印を配るようになります。

●中立の怪物: サテュロス(Satyr)

サテュロスはギリシャ神話に登場する山羊の下半身を持つ精霊ですが、クトゥルフ神話においては邪神(多分シュブ=ニグラス)によって遺伝子を歪められた人類の末裔とされています。このユニットを召喚すると必ず侍祭信者も一緒に召喚されるという特殊能力があります。

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■次回はセラエノ図書館マップについて紹介します