2014年12月6日

Bundle of Holding: RuneQuest 6ed

Bundle of Holding にて RuneQuest 第6版セットの販売が始まっているようです。

    サイトURL:   http://bundleofholding.com/

Bundle of Holding について良く知らない人のために簡単に説明すると RPG の電子版(PDF)を期間限定で格安でセット販売してくれるサイトです。 その時々でテーマごとにセットしたり、特定のゲームの基本ルールと各種サプリメントをセットにしたり色々です。 購入価格は指定された価格以上なら自分で決めれるのですが指定は半額以下の超格安になっており、さらにスレッショルドを超えるとボーナスも貰えます。

その Bundle of Holding にて RuneQuest の最新版である第6版のセット販売が昨日から始まっています。 気になっていた人には、 たった7ドル(今の円安レートでも840円くらい?)で入手できるチャンスですよ。期限は 2014年12月12日までみたいなので、お早めに。 あと PDF には一切 DRM 等かかっていないので色々な環境で見れて便利ですし、場所も取らないので、 とりあえず勝っておく手もありかもですね。


●基本セット
    RuneQuest 6  (通常価格 $25) … 基本ルール(458ページ)
    Book of Quests (通常価格 $8) … 初級向けの短篇シナリオ集(226ページ)

●ボーナス
    Monster Island (通常価格 $15)  … モンスターマニュアルと島の設定集(298ページ)
    Monster Island Companion (通常価格 $5) … モンスター集の追補(17ページ)
    Hessaret's Treasurs (通常価格$6) …中編シナリオ(48ページ)


$6.95 以上で基本セットが、スレッショルド価格(今だと$15.07)を超えるとさらのボーナスも入手できます。 利用は簡単で PayPal 等で支払うとダウンロード用の URL が送られてくる仕組です。 回線に余裕がある所でダウンロードすると良いでしょう。

2014年10月11日

13th Age in Glorantha kickstarter あと2日

現在、 キックスターターで支援募集中の13th Age in Glorantha ですが,  いよいよ残り2日と少しになりました。 後から支援しようと思っていた人もそろそろ行動する時ですよ。  くれぐれも、 お忘れなきように。


以下 簡単に現在の状況を簡単にまとめました。


●ストレッチゴールと達成状況

しばらく鈍化していましたが、 ここに来てラストスパートでまた延び始めています。 しかし全部達成は難しいかもしれませんね。 個人的に最後のユールマルはいらないけどで、 バゴッグくらいまでは行って欲しい。

達成 $39,500 初期目標
達成 $45,000 フルカラーのイラストを5枚追加
達成 $50,000 狂戦士クラスの選択肢にゾーラク・ゾーランを追加
達成 $55,000 クリムゾン・バット、バットの司祭、小型バット乗りなど追加
達成 $60,000 PCとしてウズを使用するために一章を追加
達成 $65,000 ドラゴン・パス地域の地名と神話の地図を追加
達成 $70,000 混沌のカルト1: サナターの追加
達成 $75,000 PC種族としてダックの追加、ゾンビと戦うミニ冒険も追加
達成 $80,000 各モンスターの大きさ比較用のシルエット絵を追加
達成 $85,000 コメット・シアーなどのルナー魔術部隊を敵として追加
達成 $90,000 混沌のカルト2: クラーシトの追加
達成 $95,000 ルナーとスコーピオンマンの高レベルシナリオ追加
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現在 $95,912
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未達 $100,000 サーター魔術連合の能力や魔術をPCが使用できるように
未達 $105,000 混沌のカルト3: バゴッグの追加
未達 $110,000 chaos mage をベースにユールマルのカルトを追加


●追加のアドオン

大判の地図が追加されていますので、 あと少し支援追加を検討している人は良い選択ではないかと思います。
それと既存のものですが称号で好きな神で選択できるようになってますので、 公式に信者を名乗るチャンスみたいですよ。

Unfold the Map (+$20 送料別)
  ドラゴン・パス地域のポスターマップ(55cm x 85cm)

Most Loyal Thanes (+$50)
  既存のものだけど以下のような称号も選択可能に拡張されました
  Polaris' Star Captains
  Yinkin's Pride
  Zorak Zoran's Death Lords
  その他のグローランサの神の従者も可能


●追加の支援レベル

また高額の支援レベルが追加になってます。  カバーケースとサイン入りで地図のおまけも有ります。

BOX OF STORMS ($1,250 + 日本への送料$75)
  10名限定 (現時点で残り9名)
  13th Age in Glorantha: ハードカーバー(合皮装丁)版とPDF版
  Glorantha Source Book: ハードカーバー(合皮装丁)版とPDF版  
  13th Age Core Rule(既刊): ハードカーバー(合皮装丁)版とPDF版
  13 True Ways(既刊): ハードカーバー(合皮装丁)版とPDF版
  13th Age Bestiary(既刊): ハードカーバー(合皮装丁)版とPDF版
  アドオンの Pitch-a-monster を自動的に含むか、 Pitch/Patronアドオンから $500
  各本に著者のサイン入り、専用のカバーケース入り
  ドラゴン・パスのポスターマップ(55cm x 85cm)2枚、
  ドラゴン・パスのビニールマップ(55cm x 85cm)1枚
  アドオンの Pitch-a-monster を自動的に含むか、 Pitch/Patronアドオンから $500分
 

2014年9月22日

13th Age in Glorantha kickstarter 現在の状況

13th Age in Glorantha のキックスターターが開始されて約2週間になるので現在の状況を簡単にまとめておこうかと思います。



キックスターターのサイト:
https://www.kickstarter.com/projects/416625372/13th-age-in-glorantha

初日にいっきに初期目標を達成して、その後は派手ではないものの少しづつ順調に延びているようです。 以下はキックスターター追跡サイトの kicktraq のグラフです。

13th Age in Glorantha


●ストレッチゴールと達成状況
いくつか拡張ゴールも達成されています。

達成 $39,500 初期目標
達成 $45,000 フルカラーのイラストを5枚追加
達成 $50,000 狂戦士クラスの選択肢にゾーラク・ゾーランを追加
達成 $55,000 クリムゾン・バット、バットの司祭、小型バット乗りなど追加
達成 $60,000 PCとしてウズを使用するために一章を追加
達成 $65,000 ドラゴン・パス地域の地名と神話の地図を追加
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現在 $68,242
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未達 $70,000 混沌のカルト1: サナターの追加
未達 $75,000 PC種族としてダックの追加、ゾンビと戦うミニ冒険も追加


●追加の支援レベル
既存の数限定レベルはほぼ埋まったためか、新たに提案型の支援レベルがいくつか追加されています。 どれも高額なので名前付け以外は今のところ応募者はあまりいないみたいです。

A NAME TO REMEMBER ($325 + 日本への送料$40)
     10名限定 (現時点で残り4名)
     13th Age in Glorantha: ハードカーバー版とPDF版
     Glorantha Source Book: ハードカーバー版とPDF版
     神話の英雄や脇役や適訳として自分のキャラクター名を提案できる

KEY TO POWER ($400 + 日本への送料$40)
    13名限定 (現時点で応募者無し
    13th Age in Glorantha: ハードカーバー版とPDF版
     Glorantha Source Book: ハードカーバー版とPDF版
     既存クラスに新しいタレントやパワーなどのコンセプトを提案できる

THE DEVIL'S PLAYGROUND ($1,300 + 日本への送料$40)
     3名限定 (現時点で応募者無し)
     13th Age in Glorantha: ハードカーバー版とPDF版
     Glorantha Source Book: ハードカーバー版とPDF版
     ダンジョン、遺跡、混沌の巣、邪悪の神殿などの冒険場所を提案できる

NO LONGER BLANK LANDS ($2,000 + 日本への送料$40)
     3名限定 (現時点で応募者無し)
     13th Age in Glorantha: ハードカーバー版とPDF版
     Glorantha Source Book: ハードカーバー版とPDF版
     グローランサか場所を一カ所指定して、その場所の詳細を設定してもらえる


●Glorantha Source Book について
ルールブック以外にもう一冊ある方の Glorantha Source Book の内容が少し紹介されています。

  • 著者は Moon Design の Jeff Richard が担当する
  • 今のところフルカラーで 128〜150ページくらいの予定
  • 英雄戦争時代の1627年のドラゴンパスで遊ぶための設定情報の本
  • ルール的な内容は含まれておらず、他の RuneQuestや HeroQuest等でも使える
  • 神知者の単一神話に主要な神々やエレメントサイクルを適用を導入する
  • 月の満ち欠けの神話など様々な追加

そして1627年のドラゴンパスの状況としては以下のような感じだそうです。

  • サーターは解放され、 アーグラスがサーター公王(Prince of Sartar)に就任してファー・ポイントまで支配している。
  • 一部の部族(エンスタリ、バルミア、ウルフランド、ロカエムなど)が滅亡しており、 新しい部族(中には非常に短期間のもの)ができている。
  • ターシュは内戦になっており、 ルナー属領地は混乱しており、 ルナー皇帝の支配はターシュのグローラインの内側まで後退している。
  • グレイズランドでは非常に野心的な羽根馬の女王が新たに即位している。
  • スネイクパイプ盆地では新しい堕落した半神に率いらて混沌が吐き出されている。
  • 南方では聖王国は既になく、サーターはエスロリアの野心的な新しい女王と同盟しており、 アーグラスはエスロリア、 サーター、 ヘンドリキランドとのゆるやかな同盟を率いている。 白熊ハレックと狼の海賊たちがケサエラの南を容赦なく略奪している。 スコーピオン女王国の双棘のガイギックス女王が中央ヒョルトランドを荒している。
  • パヴィスは解放され、白い雄牛の副官によって支配されてい。 プラックス人たちは黄金の牙ジャルドンの下に統一されて、 彼に従ってドラゴン・パス深くに侵攻して、文明の地を襲撃し略奪している。
  • 古えの種族は活溌になりダゴリー・インカースのトロウルたちは進軍している。 大ドワーフは交易や外交の門を開いていが、グレートウェイとの不和の噂がある。
  • 真のドラゴンが目覚めている。ブラウン・ドラゴンが起き上がり、グリーン・ドラゴンの目覚めも知られており、レッド・ドラゴンも再び目撃されている。

《感想》
すごい勢いがあるわではないのですが(実際後から始まった Robin Laws の Feng Shui 2 に抜かれてますし)、 今のとこと少しづつでも順調に伸びているようで安心して見ていられます。 どっちかという円安の進み具合が気になる感じです。

そして Glorantha Source Book が思ったより熱い内容で大期待です。 1627年の時点のアーグラスはまだカリル・スターブロウだったと思いますが、  それでも英雄戦争のまっただ中、 翌年の 1628年にはハレックとジャイールが激突する「英雄たちの戦い(the Battle of Heroes)」とその後の赤の皇帝の死亡とかの直前ですね。 早く読みたいです。

2014年9月14日

HeroQuest Glorantha preview

Guide of Glorantha  の Kickstarter 参加者のうち高位(Illuminate $300以上)の人たちに HeroQuest Glorantha のプレビュー・ドラフトが PDF で配布されました。 本格的な紹介は正式版が発売されてからと思いますが、 まずは簡単に紹介してみたいと思います。

この HeroQuest Glorantha はシステムとして HeroQuestの第二版にあたる HeroQuest Core Rule を使ってグローランサを舞台にして遊ぶための独立ルールブックです。 もともと HeroQuestHeroWars の後継ルールでグローランサの世界設定で遊ぶためのものでしたが、 第二版になる時に Core Rule という名前になり背景世界を切り離した汎用ルールになりました。 そのためグローランサ関係は付録に少し書かれているだけだったのですが、 今回改訂版として再びグローランサ専用になったバージョンが作られることになりました。

この本自体の発売は2014年10月の発売を目指して現在鋭意レイアウト作業等を行っているところと聞いていますが、 8月に行われた GenCon 2014 の会場でPreview版が頒布されたました。今回 Kickstarter 参加者に配られたのは、 これと同じものようです。


●外観
手元にあるのはPDF版なので外観といっても表紙だけなのですが、 この両刃の斧を持った女戦士は地界の「死者の館」を守るバービスター・ゴアということみたいです。 頸からとか腰とかに駄目なものをぶら下げているので、解像度低めにしときました。手前で色々と並んでいるのがヒーロークエスト中のプレイヤーキャラクター。


ページ数的には、 まだ挿絵が一切なくレイアウト前ですがそれでも192ページあります。 これに挿絵がついてきちんとレイアウトされたら250〜300ページのくらいの本になりそうです。


●内容
内容としては、 グローランサ入門 + HeroQuestルール + グローランサ魔術ルール + グローランサでの遊び方 といった感じです。

まず最初にグローランサ入門的な紹介があります。 この部分はグローランサ・ファンにとってはもうお馴染みのもので社会基盤の説明、 英雄戦争、 貨幣、 主要ルーン、  歴史、 地理、 主要人物などが説明されています。 地理と歴史と主要人物は第三期のドラゴン・パスと周辺に限定していて単純化され、 入門者向けに適したものになっています。 一方でコアなファンにはちょっともの足りないかもしれません。 (ドラゴンパス周辺なので主要人物が ブライアン、 クラグスパイダー、 ディレクディ、 エシリスト、... という英雄一覧状態なのはどうかと思うけど)。

HeroQuest のルール部分は全ページ数の半分ほどを使って HeroQuest Core Rule をほとんど全て収録しており、 この本だけで独立して遊ぶことができるようになっています。 ルールは HeroQuest Core Rule とほぼ同じものですが、 キャラクター作成がグローランサ専用になっているのと、 ゲームバランスが少し変更になっている点(後述)が異なっているようです。 ルールの適用のサンプルが全てグローランサの話になっているところがグローランサファンに嬉しいところでしょうか。 サンプルキャラクターはコミックの Prince of Sartar で話題になったノチェットのサマスティナ(Samastina)たちです。

●魔術
そして次のグローランサ魔術ルールが、 この本のメインになると思います。 完全に新しいルールというよりは Sartar: Kingdom of Heroes とか Pavis: Gateway to Adventure とかで導入されたルールを元に再調整されたもにになっていて、 今までグローランサを舞台にして HeroQuest を遊んできた人たちにとっても違和感のないできになっているようです。 精霊魔術(Spirit Magic)、 ルーン魔術(Rune Magic)、 妖術(Sorcery)、 ルナー魔術(Lunar Magic) についてページ数をさいて詳しく説明しています。 (そうです神性魔術の名前が昔懐しい RuneQuest2版の Rune Magic に戻っています。 さすがに下位魔術は戦闘魔術(Battle Magic)にはならず基本魔術(Basic Magic)という呼び名になったようです。)

魔術は小さな部分が色々と変っている感じで、 例えば精霊魔術だと、 精霊ごとに禁忌(Taboo)が設定されるようになりました。 これにより今までは他の魔術に比べて制限が少なく好きな種類の精霊を集めることで何でもできた精霊魔術が、 多種の精霊を集めるとそれだけ多くの禁忌を受けることになり、 少し難しくなっています。 神の入信者だと信仰する神の性格に合った行動を行うことによりルーンに状況ボーナスやプロット増強がもらえるようになりました。 妖術の呪文は召喚/消去、 命令、 合成/分離、 吸収(Tap)という原理をルーンに適用する形で整理されたようです。

カルトライト・アップにはアーナールダ(ルーン)、 オーランス(ルーン)、 イサリーズ(ルーン)、 ヒューマクト(ルーン)、 ワーハ(ルーン/精霊)、 ランカー・マイ(ルーン/妖術)、 七母神(ルナー)が載っています。


●その他いろいろ
魔術の次にグローランサにおけるヒーロークエスト(英雄の探索)とは何かと遊び方について一章を使って説明しています。  HeroQuest Glorantha を遊ぶにあたってもグローランサを理解する上でも非常に重要な部分になっています。

次の章は「グローランサの生物」として、 古えの種族とか動物やドラゴンや精霊や混沌の生物などなどグローランサ特有の生物について説明しています。 HeroQuest 用なので能力値とかはありませんし、説明の文章も短かいですが一通り揃っているようです。  種類別になっていてやっぱりグリフィンはドラゴンの亜種なんだとか、 狼の兄弟とかが神知者の分類名のスンチェンではなく毛皮歩き(Skin-Walkers)というグループ名になっているなどが興味深です。

最後の章は 「グローランサで遊ぶ(Gaming in Glorantha)」 となっており、 グローランサで遊ぶ上でその雰囲気を保つために心がけること、 グローランサでの冒険の作り方、 そして実際に作ったシナリオの例が載っています。 表紙はこのサンプルの冒険の一場面のようです。  この章は HeroQuest などのナラティブRPG のシナリオ作成の方法としても非常に興味深いです。

最後に付録としてA.グローランサのカレンダー、 B.装備、 C.グローランサの言語、 D.用語集、 E.文献、 F.他のグローランサ資料、 G.早見表がついています。 特に「装備」は HeroQuest  では細かい所持金や重さを管理するのはお勧めではないとしながらも、 重さと価格も記載されています。 内容的にもルーンクエスト等と比べても、 より古代風になっているようです。 (ちなみに貨幣換算が気になる人向け: 乳牛(cow)は 20ルナーでした)。


●ルール変更点
「HeroQuest 紹介」の連載を読んでくれた人のために、 今までに気付いた HeroQuest Core Rule からのルール変更点をメモしておきます。 正式版の発売までにまた変更されるかもしれないのでご留意ください。

変更点1: 成功度が同じ時にはダイス目が高い方が勝利。 コアルールではダイス目が低い方が勝利で、 オプションルールで高い方を勝利にしても良いということだったのですが HeroQuest Glorantha では高い方が勝利が標準になったようです。 こうすることによりアビリティの数値の違いがより判定に反映されやすくなるので、 個人的にはこちらのルールの方が好みです。 小さい方が勝利だとダイスの影響が大きく、例えば相手が 1 の目を出すとヒーローポイントを使っても逆転不可能という問題がありました。

変更点2: 単純コンテストでも使えるヒーローポイントは1ポイントだけ。 コアルールだと単純コンテストの場合は好きな数のヒーローポイントを重ねて使うことができましたが、 1ポイントだけに制限されたようです。 上記のダイスが大きい方が勝ちになったことによりヒーローポイントを大量に注ぎ込めばどんなに不利なコンテストでも勝利できてしまう問題があるのでこうなったようです。 (変更点1を見た時に、 これでジャイールにも勝てるとか思ったけど駄目でした。)

変更点3: セッションごとにアビリティを成長できるのは最大1ポイントまで。 コアルールだとヒーローポイントを 3ポイント使えば +2、 6ポイント使えば +3の成長ができましたが、 これはできなくなったようです。 一つに集中せず色々なアビリティを成長させて欲しいということかもしれません。

変更点4: 基本抵抗値の上昇が4セッションごとに+1。  コアルールだと2セッションごとに +1 だったのが緩やかになっています。 上記の集中成長ができなくなったことと、 ヒーローポイントを成長ではなくより積極的にセッション中に使って欲しいということではないかと思われます。


●まとめ
ドラフトといいながらもほぼ書き上がっており読んでいてワクワクしました。 最近の Moon Design の本はイラストも素晴しいので、 早く挿絵入りの完成版を見てみたい気持ちで一杯です。 正式版が発売されたらキャララクター作成ルールや魔術ルールの詳しい紹介をしようかとか考えています。


2014年9月8日

13th Age in Glorantha kickstarter 開始


前に伝えた 13th Age in Glorantha の kickstarter による支援募集が始まりました。 最初のアナウンスよりかなり遅れて、 日本時間で9月8日の午前4時にスタートしました。 募集終了は10月14日の午前3時の予定のようです。


13th Age in Glorantha という名前からもわかるように 13th Age というd20系のRPGシステムを使って、 グローランサを遊ぶサプリが今回の対象になります。内容的には以下のゆに紹介されています。
  • フルカラーで196ページ以上
  • 13th Ageをグローランサで遊ぶための完全なルール
  • グローランサの神々やルーンに関連した新しいアイコン
  • 新しいクラス: 風の王、狂戦士、大地の女祭など
  • その他グローランサに関連したクラスの変更
  • 混沌のモンスターやそれほど危険でないモンスター
  • グローランサ用の One Unique Things
  • 遊べる形になった遭遇と神話
  • その他キャンペーンのアドバイス、サンプル・キャラクターなどいろいろ


さらに別に Glorantha Source Book という本が同時に作られる予定になっています。これはルール的なものは入ってなくて、以下のようなグローランサに関する入門書になる予定のようです。
  • フルカラーで128ページ以上
  • グローランサとルーン紹介
  • 宇宙論、歴史、グローランサの神々のサマリー
  • ドラゴン・パスとその周辺に焦点を当てた主要地域の外観
  • 英雄戦争における人名録、第三期末グローランサの劇的な闘争
どちらもグローランサ関連の資料としても役に立つので、RuneQuestHeroQuest を遊ぶのにも有用だろうとのことです。


支援レベルやアドオンなど詳細は「もっと読む »」で。

2014年8月16日

Glorantha Poster Map Set

Guide of Glorantha と同時発売で Kickstarter のアドオンとして注文していた  Glorantha Poster Map Set が届きました。


二種類あって、 右は 90cm×60cm の6枚からなるジェナーテラ大陸の地図セット(GENERTELA 6 POSTER SET)です。 左は1/4サイズの 45cm×30cm の24枚からなるグローランサ全体の地図セットです(なぜか名前がGENERTELA 24 POSTER SET となっていますがグローランサ全図です) 。

地図自体は Guide に載ってるものや地図帳の Argan Argar Atlas のものと同じですが、 切り離された大判のポスター地図になっていて、 セッションで机に広げたり、 つなげて見たりするのに便利なようになっています。縮尺的には24枚地図が最も大きく(地図が小さく)、 次が6枚地図、  Argan Argar Atlas の最も小縮尺(地図が大きい)です。 

 2Lペットボトルと比較したサイズは以下のうな感じです。上が6枚地図、 下が24枚地図です。




6枚ジェナーテラ地図を全部をつなげみようと試みましたが、 狭い私の部屋では無理でした。


24枚のグローランサ全体の地図の方も全部つなげるのは無理だったので、 パマールテラと中央の島嶼部のみつなげてみました。

広い部屋が欲しくなりますね。

2014年8月15日

Glorantha: The Gods War

発表ラッシュが続きますが、 Petersen Games からグローランサを舞台にした新しいボードゲーム Glorantha: The Gods War の製作が発表されました。 この耳慣れない Petersen Games というのは Sandy Petersen たちが Cthulhu Wars というボードゲームのため作った会社(?)です。


     公式サイト: http://petersengames.com/gods-war/

Sandy Petersen といえば言わずと知れた「クトゥルフの呼び声(Call of Chuthlhu) 」などの RPG のデザイナーですが、 グローランサまわりでも、 トロウル・パックやグローランサ動物誌の主著者ですし他にも様々な活躍を行い、 グレッグに次いでグローランサの設定に影響を与えた人物です。

そのサンディー・ピーターセンがグローランサを舞台にしたボードゲームを作るとなれば、 興味を持たざるを得ません。 まだ詳しい情報はありませんが、 3〜5人向けのマルチプレイヤーのミニチュア・ボードゲームで、 上述の Cthulhu Wars のグローランサ版のような感じになるようです。 

Cthulhu Wars もまだ実際には発売されてないのですが、 以下の kickstarter 募集時の写真とか見るとだいたいのイメージがつかめるのではないかと思います。

          Chuthlhu Wars Kickstarter:
          https://www.kickstarter.com/projects/1816687860/cthulhu-wars

ゲーム内容ですが Glorantha: the God War は各パンテオンごとの勢力を担当して、各勢力は個別の呪文やユニットや神々を持っていて、 手下や神々を召喚し、神殿や社を建築し、呪文を唱え、ヒーロークエストを行い、神秘のルーンを集め、敵を倒し、領域を奪。 ミニチュアは 28mm の巨大サイズで基本セットには36体、 拡張セットを使えばさらに多くが使用できると説明されています。

現時点で発売時期や価格など詳しいことはわかりません。 これも kickstarter にかけるのかな?

2014年8月12日

King of Dragon Pass (Android版)

今日は紹介すべきニュースが多い日です。 週末に GenCon を控えてリリースラッシュだからかな?

A Sharp が作製したグローランサを舞台にした氏族シミュレーションゲームの傑作 King of Dragon Pass が iOS から Android に移植されました。  Android版の移植と販売は Androidゲームの老舗 HeroCraft が担当したようです。

内容的には IOS 版と同じということなので、 そっちを既に購入した人には必要ないかもしれませんが、 iPhone/iPad は持っていないけど Android の Pad やスマートフォンを持っている人は検討してはいかがでしょうか?

  Goole Play: https://play.google.com/store/apps/details?id=com.herocraft.kodp

現在の価格は 999円のようです(iOS版はもっと高かった気がするので、 期間限定の特価かもしれません)。 スマホのアプリとしては値段高めですが、 他に類を見ないユニークなシステムでとても面白いです。 (面白過ぎて時間がいくらあっても足りないので、 封印中だったんだけど)。 アプリのインストール後の初回起動時に巨大データのダウンロードがあるので、 無線LANなどの太い回線があることろで落とすと良いでしょう。

2014年8月11日

ウェブコミック Prince of Sartar 連載開始

絵:Kalin Kadiev,  作:Jeff Richard によるウェブコミック Prince of Sartar が開始されました。 定期連載とのことですが、 最初の3ページが公開されいます。

     連載サイト:  http://www.princeofsartar.com

上記のサイトを開くと、 いきなり最終ページ(今だと3ページ目)が開くので 1ページ目から読む場合には上段のボタンで戻る必要があります。

内容的にアーグラス、 サマスティナ、 ジャ=イール、 ハレックなどの活動を通してグローランサの英雄戦争や神話について語られるということだったので、 最初に出てきているこの純朴そうな少年が後の...  なのですね。

サマスティナ(Samastina)というのが馴染みのない名前ですが、 Guide of Glorantha によると、 ノチェット出身の高貴な女性で「古き大地の同盟」の指導者なんだそうです。 このコミックのヒロイン役になるのかな?

まだ分量的には少ないですが雰囲気が出ていて期待大です。


13th Age in Glorantha

13th Age in Glorantha が今月末から Kickstarter にかけられることが発表されました。 予測してなかったために結構びっくりしています。 完成は来年の6月頃を目指しているようですが、 これでグローランサ用のルールに晴れて D20系統のクラス/レベル制のシステムが加わることになりそうです。

●13th Age
13th AgeD&D4版の主デザイナーの一人である Rob Heinsoo と D&D3版の主デザイナーの一人である Jonathan Tweet が WotC を辞めた後に Fire Opal Media Inc として作製したファンタジーRPG で、 イギリスの Pelegrane Press (GUMSHOE システムや Hillfolk とかを出している会社)より昨年(2013)に出版されました。  いろいろとRPG界隈の話題をさらい ENnie Award 2014 にもノミネートされています。

システム的には WotC の Open Game License に基いた クラス/レベル制の D20システムですが、 ドラマチックな戦闘システムや、 キャラクター背景作成やアイコンと呼ばれる重要 NPC との関係などストーリー強化するための独特の仕組みなどが取り入れられています。

私も気になって買ったものの斜め読みで、 時間取れなくて読み込んではいないのですが。


●13th Age in Glorantha
この 13th Age のルールでグローランサを舞台にして遊ぶサプリメント 13th Age in Glorantha の資金募集が 8月27日で始まることが発表されました。 (最近のRPG業界では資金募集だけでなく事前の宣伝効果により kickstarter が広く活用されいるようです。)

    公式サイト:  http://www.13thageinglorantha.com

独立したルールではなく、 あくまでサプリメントなので遊ぶには 13th Age の基本ルールが必要になるとのことです。 今から買って読んどくと良いかも?

この 13th Age in Glorantha は形の上では 13th Age Compatibility license に基いた独自サプリメントとして Moon Design Publishing から発売される形になりそうですが、 クリエーターとして Jeff Richard, Rob Heinsoo, Jonathan Tweet などの名前が上がっており、 実際には Fire Opal と Moon Design の全面タッグで開発されているようです。

Rob は WotC の前は Chaosium でグローランサのライセンス関係の仕事をしており、 Jonathan も(結局日本語には翻訳されませんでしたが) Stranger in Prax という RuneQuest3版のシナリオ集で、 グローランサ。・シナリオの執筆をしています。 昔から Moon Design のメンバーとは顔見知りで一緒にキャンペーンを遊んだりしていたらしいので、 自然な流れだったのかもしれません。

ということで来年後半には3つ目のグローランサ舞台で遊べるシステムが登場しそうです。  同じ頃には RuneQuest: Adventure in Glorantha も登場しているかな?

2014年8月8日

Guide to Glorantha が届きました!!

今朝、 Guide to Glorantha の実物の本が届きました。 ポスターマップ等のアドオンは届いてなくて、 まだ発送元でペンディング中みたいなので、 そっちを待たずに本だけ先に届けてくれた感じなのかな。

デジタル版はすでに読みふけっていますし、 実物が目の前にあるのですが、 長く待ち過ぎたせいかまだ信じられない気分です。


HeroQuestの1版の頃から Moon Design の予定リストにあり続けて、 Kickstarter の募集終了からでも21か月待ちに待ちました。 そして待ったかいのある素晴らしいできです。

浮かれているので、 あんまり丁寧にはいきませんが、 簡単なレビューと写真などを。

●外観
本体が Volume 1 と Volume 2 の二冊セットで、 それぞれ 400ページあります。 合わせて 800 ページです。 そして 128ページの地図帳である Argan Argar Atlas があります。

とりあえず表紙は以下のような感じです。 まずは Volume.1。

そしてこれが Volume.2 の表紙。


そして Argan Argar Atlas の表紙はこんな感じ。 地図の年代は 1625 ST ですね。


そしてカーバーを取った中身も大変立派な装丁です。 この記号はサーター(Sartar)のルーンですね(Moon Design Publication なのに...)


そして、裏のカーバーの折り返しには著者の写真があります。 上からグレッグ、 サンディー、 ジェフです。




●サイズ
まず、 一見してとにかく立派な書籍で、でかくて、 重いです。百聞は一見にしかずということで、サイズ比較画像だと以下のような感じです。 比較対象が 500ml ではなくて 2Lペットボトルという点で既におかしいです。

 重さも3冊合わせて 6.0kg ほとあります。台所用の秤では計れなくて、 計測には体重計を使ったので精度はそれほど高くありません(何かおかしい)。 ついでに手元にあった懐しいのとも比較してみました。

ホビージャパンから出ていた3版の『グローランサ』ボックスセットの箱との比較です。 スケールが何かおかしい気がしますが、 間違いではありません。 これでスカスカの箱ではなくて、 中身までギッシリテキスト、 地図、 イラストが詰まっているのだから読みごたえ十分です。


 調子ののって iPad とのサイズ比較です。 小さく見えますが iPad mini ではありません!!

●中身
内容は PDF版と同じなので、 特に説明するまでもないのですが、  全ページともフルカラーで紙も非常に上質なものを使っています。 本体の方は光沢紙です。それだけだとさびしいので参考に写真をいくつか張っておきます。

まずVol.1。


Vol.2 も


A.A.A.。


 ●まとめ
とにかく凄いの一言です。  内容は予想した以上のできで、 個人的にはずっと欲しいかったものが現実になった感じです。 分量も多く読んでも読んでも終らない新しい驚きに満ちています。 地図やイラストのクォリティが非常に高いのも大満足です。 人間は欲深いもので、 読んでいくうちにここが足りないとか、 ここはもっと深掘りして欲しいと思うところはありますが、 ロールプレイング・ゲームの世界設定本としては史上最高の出来栄えではないでしょうか。

書籍としてはとても重いが玉に傷ですかね。 手に持って読むのはとても無理です。  試しにやってみましたが軟弱な私は5分でギブアップしました。 広い机かテーブルの上に広げて読む必要があります。 セッション等へ持っていくのも無理そうです。 実用という意味ではここまで立派でなくて良いので6分冊とか、 8分冊とかにしてもらった方が便利だった気がします。 ということで個人的には実本は保存版扱いで、 デジタル版の方をノートPCや iPad で活用することになりそうです。

もっと書きたいことは一杯あるのですが、今は言葉にならないので、 この辺で終りにします。

2014年8月5日

Designers & Dragons (新版) が Kickstarter に

Shannon Appelcline の Designers & Dragons (デザイナーズ&ドラゴンズ)の新版が Kickstater に上がっています。 この本、ご存知の人もいるかもしれませんが、ロールプレイング・ゲームの歴史についてまとめた本です。

前の版はイギリスの大手ゲーム会社の Mongoose Publishing からの出版でしたが絶版になっています。 新しい版はアメリカの Evil Hat Production というインディ・ゲーム出版社から出るようです(ナラティブ系RPGの Fate Core System を出しているところです)。 しかし最近の Evil Hat は勢いがありますね。


前の版は大きな版で一冊本でしたが、 新版は大幅増強されて年代別(10年ごと)の4分冊となるようです。 (しかし RPG が世に出て40年たつのですね。 )  内容的には出版社ごとの章立てになっていて各RPGの出版の時期や経緯などが詳しく紹介されています、 よくここまで知らべたよなぁという力作です。 (言うまでもないとは思いますがアメリカ・イギリス中心で、日本は対象外です)。

著者の Shannon Appelcline も多才な人ですね。 Evil Hat のウェブページでは「ゲーム歴史家」という肩書で書かれていたりしますが、 色々な RPG のルール/サプリ/雑誌記事などを書いていて、 個人的にはクトゥルフの呼び声とかグローランサのエルフ本の執筆者という印象が強いです。

この本は普通にロールプレイング・ゲームを遊ぶ分には全く必要ありませんが、 その歴史を知りたい人や、 知ったかぶりをしたい人には必須の本だと思います。  そうでなくても 「Stormbringer(ストームブリンガー)と Call of Cthulhu (クトゥルフの呼び声)のどっちが先に出版されたんだっけ?」 という疑問に答えてくれる稀有な本なのです。

気になった人は以下 Kickstarter へ。

   https://www.kickstarter.com/projects/evilhat/designers-and-dragons

残念なこととに国際小包の価格高騰を理由に国際配送オプションが準備されていないようですが、 $15のデジタル版(PDF)は日本からでも申し込めるのでそれを申し込むと良いでしょう。 kickstarter 終了後に有償での書籍の国際配送へのアップデートを準備するようです。 (こうすることによって 配送料分の御布施を Kickstarter へ支払わなくて済むので配送料を少しでも安くできるからではないかと思われます。)

どうしようか迷っている人は無料サンプルとして1冊目の TSRの章を読むことができます。 さらに最低限の $1 を支援することで、 すぐに1冊目の 1970代をまるまるダウンロードできるので読んでみて検討すると良いかもしれません。

追記: グローランサファンへ、 1冊目の前書きは Greg Staffordが書いているようです。

追記(2014-08-8): その後に Pledge Level が追加されて国際配送も選択可能になりました。 ただし応募金額には配送料金が含まれていないので注意が必要です。 配送料金は時価ということで本が完成した時に、 その時点での料金が別途請求されることになるようです。 最近 USPS が国際配送料金の値上げを繰り返すので事前に決めることができないのだとか。

2014年7月24日

完全版神名録だと!

Jeff Richard が Google+ の Glorantha コミュニティに投稿したところによると、 彼は現在、 新しい Gods Book の付録として完全版神名録(Complete Prosopaedia)を執筆中らしい。 『グローランサの神々』についていた神名録が240柱だったのに対して、 この新しいバージョンでは 530柱くらいになりそうとのこと。

パンテオンごとの内訳はオーランス(127柱)、 イエルム(113柱)、 マルキオン(50柱)、 フォンリット(42柱)、 ルナー(42柱)、... だとか。  Guide of Glorantha の例にならうと、 実物を入手できるのは大分先になりそうだけど、 超期待。

https://plus.google.com/108191783232173529938/posts/7LLvrEe9HKh

2014年7月10日

OpenQuest 2 Basic 無料

忘れないうちにこっちも紹介。 OpenQuest 2 Basic edition がリリースされて DriveThruRPG より無料で購入できるようになっています。

OpenQuest というのは D101 Games から出ている D100系のRPGシステムで、 いわゆるルーンクエストのクローンの一つです。 OpenQuest 2 はその二版にあたります。 二版が出ていることからもわかるように、 いくつかあるルーンクエストのクローンの中でも出来が良くて人気があるものです。 そういう意味で RuneQuest 6版の対抗馬といえそうです。

出版元の D101 Games は Hearts in Glorantha というグローランサの雑誌を作っていたり、  Gloranthan AdventuresThe Book of Glorious Joy というグローランサ・サプリも出していることもからもわかるようにグローランサに詳しく、  OpenQuest 2 も汎用設定ながら比較的グローランサにも親和性のあるルールになっています。

この OpenQuest 2 から主要なルールのみを抜き出して、 お試し版としたのが OpenQuest 2 Basic edition です。  挿絵とかはありませんが全部で150ページあり一通り遊ぶのに十分なルールが含まれています。 RuneQuest 6版が RuneQuest Essentials を出したから対抗したわけではなくて、 前々から準備されて来たもののようですが、 両者を比べてみるのも面白いかもしれません。

購入(無料): OpenQuest2 Basic edition via DriveThruRPG

読んでみて面白そう思ったら Deluxe版の購入を検討してあげてください。 PDF版ならばたったの15ドルですし。

購入(PDF $15): OpenQuest 2 Deluxe

Guide to Glorantha 正式版PDFがダウンロード可能に

待ちに待った Guide to Glorantha の正式版がリリースされました。  Kickstarter で支援していた人たちや事前予約した人は glorantha.com のアカウントから PDF がダウンロード可能になっているようです。  書籍版の発送はまだ始まっていないみたい。

私は Kickstarter で支援したので Sneak Peak として事前にほとんど見せてもらっていたとはいえ、 正式版ということで感慨もひとしおです。  本当に長かった(ちなみに募集時のリリース予定は2月でした。 去年の!!)。

Guide to Glorantha は Vol.1 と Vol.2 の二分冊になっていて、 それぞれ400ページあります。内容的にはRuneQuest3版の『グローランサ』と『古えの秘密』を合わせて超増量したような感じです。  魔法関係や特定のゲームに依存したデータはありませんが、  グローランサ地誌完全版な感じで、  今まであまり語られて来なかったパマールテラ大陸や、  ヴォルメイン、  ジルステラ、  東方諸島などなどの島々の情報などもあります。  英語読めなくてもカラフルな地図や挿絵を見ているだけでも飽きません。

あとグローランサの詳細地図を地図帳の形で独立させた  Argan Argar Atlas も同時に発売になっていますので、 こっちもお勧め。  グローランサを100以上に分割してヘックスマップになっています。  付録でついている時代ごとの文化圏別色分け地図も素敵です。

書籍版の方は重さ6kgと置き場所に困りそうですが  PDF ならば置き場所には困りませんので、 グローランサ好きな人はPDFだけでも絶対に買うべきです。 グローランサそれほど知らなくても「ファンタジー」好きな人ならば世界創造の究極形の一つという意味で色々参考になるのではないかと思います。

2014年7月9日

HeroQuest紹介(12) - ナレーティング

●ナレーターの仕事
ナラティブRPGである HeroQuest ではナレーターの仕事は一般的なRPGのゲームマスターのそれとは大きく違う部分があります。 この違いを理解することがとても大切です。 ナラティブRPGのゲームマスターの仕事はプレイヤーと対立することではありません(これはまあ普通のPRGでもそうですが)。 プレイヤーに何ができて何ができないかを伝えることでもありません。 間抜けなプレイヤーを罰したり、 逆に賢いプレイヤーにご褒美を与えることでもありません。 物語の筋書を決めるのも詳細な設定をつくるのもナレーターの仕事ではありません。

ナレーターの仕事はプレイヤーの物語に全面協力すること、 物語が停滞しないように動かし続けること、 物語が説得力を持ち魅力的であるように維持することです。

これらを行うためのナレーティングのコツを紹介してみたいと思います。 と言っても私もまだまだ未熟なナレーターなので大上段にこれがナレーティングのやり方だと教えることはできそうにないので、 ルールブックやその他で紹介されているやり方や経験を元に私なりに説明してみたいと思います。


●ナレーターはストーリーを語らない
一般的なRPGではゲームマスターは舞台やストーリー展開を予め決めておいて、 それに合わせて地図やモンスターやNPC等の数値や様々な仕掛けなどを準備しておきます。 ゲームマスターは準備した筋書から大きく外れると、 せっかく手間をかけた数値情報や仕掛などが無駄になるため、 できる限りこれを避けるのが普通です。 プレイヤー側もそのことを念頭において、 ゲームマスターの考えを読んでその筋を辿るのが礼儀正しいプレイとされ、 そこから外れて勝手な方向に進めるのは無作法とみなされがちです。

ナラティブRPGではここが逆でストーリーを語るのはプレイヤーの役目です。 ナレーターが物語の筋書を決めるのは御法度です。 ナレーターは舞台を準備する時に面白そうな筋書を考えついたりするものですが、 それは最初から捨てるつもりでいてください。 あらかじめ準備したストーリーにプレイヤーを誘導するようなことは絶対にしてはいけません。

単なるストーリー指向とナラティブの最大の違いはこのプレイヤーが物語を作るという点です。 ナラティブRPGでストーリーを語るのはプレイヤーの仕事で、 ナレーターはその物語に対して全面協力する立場です。 通常のRPGに馴れているプレイヤーにはこの点を何度でも説明してあげてください。 それでも最初は何をどう進めていいのかて戸惑うと思うので、 ナレーターは質問などの形でプレイヤーが物語を作るのように促して上げてください。


●「はい」と言おう
このプレイヤーの物語に全面協力するということを最もうまく表現したのが“「はい」と言おう”手法です。 ナレーターはプレイヤーの全ての質問に「はい」と答えてください。
「この塀は登れるかな?」  「はい。 なんとか登れそうです」 
「この家に勝手口はないかな?」  「はい。 あるみたいですね」 
「花鉢の下とかに裏口の鍵を隠してないかな?」  「おお、 よく見つけたね。 探してみると確かに小さな薔薇の鉢の下に鍵らしきものがあるよ」 
「この裏口が突入すると犯人の不意をつけないかな?」  「はい。 多分うまくいきそうですね」
プレイヤーが思いついたことに対して肯定することとにより、 プレイヤー側に物語の主導権を渡してください。 ナレーターとして予め決めておいた設定とかは無視して構いません。 それよりはプレイヤーの話しに合わせるのが重要です。 裏口なんか設定してなかった? いえいえプレイヤーが裏口について語ったのならそれはあるのです。 ナレーターの脳内設定も事前準備もいくらでも変更可能です。 それどころかプレイヤーの物語と公式の世界設定が矛盾するようならば世界設定の方を変えてください。 全面協力というのはそういことです。

ナラティブな遊び方に馴れていないプレイヤーたちは最初は大いに戸惑うと思いますが、 自分たちの作った設定が全て受け入れられるということを理解してもらえれば、 自然と自分たちで物語を作るようになるはずです。


●「はい、 しかし」と言おう
ナレーターの二つ目の仕事は物語が動き続けるように保つことです。 どちらの方向へ物語を動かすかを決めるのはプレイヤーの役目なので、 ナレーターはとにかく動かすことだけを考えます。 プレイヤーの議論が堂々巡りしているようならば決断を求めてください。 何をしていいか全く判らないようならば質問や新しい情報の形で支援してください。

そして、 PCの行為や結果描写が物語の流れを止めてしまいそうな時に使うのが“「はい、 しかし」と言おう”手法です。

時にプレイヤーたちは、 つまらない安易な方法で障害を克服しようとしたり、 せっかくの面白くなりそうな要素を台無しにするような提案をしてくるものです。 このような場合には単に「はい」と答えるのではなく、 「はい、 しかし」を使います。
「この塀は登れるかな?」  「はい。 登るのは簡単そうだけど、 上の方に何か仕掛けが見えるね。 赤外線センサーか何かかな。」 
「この家に勝手口はないかな?」  「はい、 探すとすぐ見つかったよ。 でも大きな木の板が何枚も打ちつけてあって開けるのは大変そうだね 」 
「打ちつけている板だけど頑張れば外せそうかな?」  「はい。 しかし大きな音を立てずに丁寧に外そうとすると、 それなりの工具とかが必要だろうね」 
「この裏口から突入すると犯人の不意をつけないかな?」  「多分いけそうだけど、 犯人グループの中に猜疑心の強そうなのが一人いたよね、 そいつが何か準備してるかもね」
このような工夫により、 プレイヤーの提案を拾った上で、 新たな別の問題へと展開させることにより物語の流れを止めないようにします。


●「いいえ」と言おう
ナレーターの三つ目の仕事は物語が説得力を持ち続けるように保つことです。 魅力的な物語は一貫性を持ちその世界観を維持しているものです。 これを実現するためにはナレーターは時々「いいえ」と言う必要もあります。

例えばファンタジー設定なのに火薬兵器を持ちだしたり、 勧善懲悪物なのにヒーローたちが一般市民を虐殺したら興醒めという他ないですよね。 このような最初に決めた物語の「前提」からの逸脱は阻止しなければなりません。

同様に既に語られた出来事や設定に反するような物語展開を認めてはいけません。 まだ語られておらずナレーターしか持っていない設定やプロットに関してはそちらを変えてしまえば良いのですが、 一旦語られた過去の物語との一貫性は維持しなければなりません。

このように物語が、 いかにも有りえそうな、 信頼できるもになっているかの確認する作業を信憑性テスト(Credibility Test)と言います。 プレイヤーの提案した行為や結果描写がその世界観で可能かどうか物語として納得いくものになっているかを読者の視点できちんと確認するのはナレーターの役目です。 信憑性テストに合格しないようならば「いいえ」といって止めてください。


●シナリオの準備
ナレーターの仕事の中でもシナリオの準備というのは難しい課題です。 ストーリーラインが全面的にプレイヤーまかせなために、 結局はアドリブにならざるを得ません。 そういう意味でベテランのゲームマスターならばアドリブで最初から最後まで全部進めることができるかもしれませんが、 普通はなかなか難しいものです。

ナラティブRPGでは一般的なRPGと違ってストーリーを準備してそれに関連する設定を詳細に決めておくという具合にはいきません。 かといって全てアドリブでは手が回りません。 ということで HeroQuest のシナリオとして以下のような物を準備しておくのが良いようです。
  1. 物語のきっかけ: これは解決すべき問題の準備です。 そして、 それを何故PCが解決しなければいけないかの理由と、 それがPCにもたらされる経緯を決めておきます。 物語の最初は比較的ナレーターが主導権を持って進められるので難しくないと思います。
  2. 物語の終り: どのような条件を満たせば物語が終るのかをある程度決めておきます。 一つだけである必要はなく複数でも構いません。 プレイヤーたちが全く違ったエンディングを指向したりするので役に立たないことも多いのですが、 全然決めずにおくとプレイヤーにアイディアがない時にみんなで途方に暮れることにもなりかねません。
  3. 対立関係: 物語内で誰と誰がどのような理由で対立する可能性があるかを決めておきます。 ドラマは対立と葛藤から生まれます。 これが問題が何故簡単に解決できないかの理由にもなります。 集団かもしれませんし個人かもしれません。 NPC対PCかもしれませんし、 NPCどうしの対立にPCが絡むかもしれません。 具体的な人物ではなく自然の脅威とか法律が立ちはだかるのかもしれません。
  4. 背景の流れ: 実際の物語を作るのはプレイヤーたちですが、 もしPCたちが物語に積極的に関わらなかった時に、 何が起こりどのような展開になるのかをある程度決めておきます。 これは悪い未来を予想させてPCたちの関与を引き出すための仕掛けにもなります。
  5. NPCの設定: 主要な登場人物(NPC)の名前(重要)、 外見、 性格、 人間関係、 得意な事、 欠点などを決めておきます。 敵(やライバル)は欠かせませんし、 潜在的な協力者も必要です。  HeroQuest では他のPRGのように数値的な詳細を決めたり戦力バランスを取っておく必要はないので、 その労力をNPCの性格や人間関係の設定に使います。
だいたい以上のようなものを部品のまま準備してゲームに望みます。 そして事前準備したことに拘らずに物語の展開に沿って使ったり、 使わなかったり、 大きく変更して流用したりします。


●マクガフィン
シナリオの準備はだいたい上記のような感じで済むのですが、 それだけで良いセッションになるかというと必ずしもうまく行くわけではありせん。 良いシナリオの作成には映画や活劇のシナリオ作成術が役に立ったりします。 そういうわけで少し例をあげてみたいと思います。

映画のシナリオ用語でマクガフィン(MacGuffin)という言葉があります。 ヒッチコック監督の言葉なので聞いたことがある人も多いかもしれません。 「それ自体には特別な意味がないけれども登場人物の重大な関心事になっているなっているアイテム」くらいの意味で、 スパイ映画でスパイたちが奪い合う書類がマクガフィンに当ります。 その書類が原爆の設計図なのか大統領のスキャンダルなのかといった内容は重要ではなく、 それを巡って物語を転がっていくことに意味があるものです。

ナラティブRPGのシナリオにおいてもマクガフィンはとても役に立ちます。 マクガフィンの登場により物語が始まり、 マクガフィンの運命を巡ってPCたちの物語が展開して行き、 その意味の消滅によって物語が終わるようにします。 ナラティブRPGはバラバラの指向を持つプレイヤーたちによって物語が発散しがちなのですが、 マクガフィンを導入することにより、 PCやNPCたちの注目を一点に集めてることができ、 シナリオが空中分解を起こさずに、 一つにまとめることができます。


●セットピース
もう一つ別のものも紹介してみます。 同じく映画の用語でセットピース(Setpiece)というのがあります。 これは「あらかじめ準備され綿密に練られた重要なシーン」を指します。 ファンタジー特有の壮大で幻想的な風景なのかもしれませんし、 手に汗握るアクションシーンかもしれませんし、 抱腹絶倒のコメディシーンかもしれません。 とにかく、 その映画を見た人たちの記憶に後々まで残ることを企図したシーンを言います。

ナラティブRPGでもこのようなセットシーンを準備するのは良い考えです。 ありきたりの展開だけではプレイヤーたちの記憶からすぐに忘れられてしまうかもしれませんが、 非常に際だった特徴的なシーンを設けることによりシナリオをより印象深く記憶に残るものにすることができます。

ナラティブRPGのストーリーはプレイヤーがつくるので必ずしも準備したセットピースが使えるとは限りませんが、 プロットではなく単発のシーンだけならば挟み込む余地があるものです。 準備したシーンにPCを誘導するのは避けなければなりませんが、 セットピースの方をプレイヤーたちの語るストーリーに合わせて変更することはできます。


●ナレーターの心掛け
最後になりましたが経験にもとづいてナレーター(とプレイヤー全員)の心掛けるべき点とかを書いておきます。 これは言われるまでもなく当り前の話なのかもしれませんが、 以下の二つはナラティブRPGでは特に重要と感じています。


●世界観の共有
ナラティブRPGを遊ぶ上において世界観の共有というのは非常に重要な意味を持ちます。 例えば海洋冒険小説を読んだり映画を見たりしたことがない人に航海物語をつくれというのは、 とても困難というのは判ると思います。

逆に参加者が全員がよく知っている物語世界で遊ぶのは簡単です。 例えば日本人ならば時代劇の「水戸黄門」で遊ぶのはとても簡単でしょう。 もちろん参加者全員がよく知っているアニメやコミックの世界を舞台に遊ぶのは、 大変遊び易いし面白いはずです。

世界観がわからないと登場人物に何ができて何ができないか、 物語展開のお約束や禁止事項など細かい事がわからないので遊ぶのが難しく面白くもないものです。 通常のRPGでもそういう面はあるのですがナラティブRPGでは特にそういう問題点が出易いので、 参加者の中に世界観に詳しくないプレイヤーがいる場合には、 他のプレイヤーやナレーターで時間をとって十分にフォローしてあげる必要があります。


●公平性
ナラティブRPGの目的は面白いストーリーを語ることなのですが、 当然ならがそれが得意なプレイヤーと不得意なプレイヤーがいます。 そのためにある程度(プレイヤーとしての)活躍に差が出るのは仕方がないのですが、 ナレーターとしてはプレイヤー間の公平性には気を配ってください。 これは結果としての公平性という意味ではなくて、 プレイヤーには平等に物語を語るチャンスを与えるべきという意味です。

放っておくと話しが面白いプレイヤー、 アイディアが豊富なプレイヤー、 ともすれば声が大きなプレイヤーばかりが話している状況になりがちです。 共同作業というのはナラティブRPGの楽しみの一つですので、 あまり話していないプレイヤーがいるようならば他のプレイヤーやナレーターはその人のために時間をとって語ってもらようしてください。 特にナレーターは話を進める前に個々のプレイヤーの意見に十分に耳を傾けるようにしてください。


●最後に
以上で HeroQuest の紹介/解説の連載を終わりにしたいと思います。 ナラティブなRPGに馴染みがない人にわかるよう意図したため冗長になってしまい申し分けないのですが、 ここまで付き合ってくれた人は HeroQuest をプレイヤーとして遊ぶのに十分な情報が伝わっているものと思います。

ナレーターをする人は是非ルールブックを買って読んでください。 考え方やプレイの例が豊富ですし、 とどめの一撃、 離脱、 援助、 危険な賭け、 防御対応、 犠牲の上での勝利、 回復、 知人、 部下、 相棒、 共同体などなど色々な場面で使えるオプションのルールが記載されています。

この記事を読んでナラティブRPGに興味を持った人は Fate系(そういう名前のRPGシステムがあります。 Type-Moonとは関係ないです)とか、 Apocalypse World系などの他のナラティブなRPGを調べててみるのも面白いかもしれません。

個人的にはグローランサに趣味が寄っているので次は HeroQuest Glorantha が発売されたらその紹介を書きたいなとか思っています。 要望があるようなら上記のオプションとかを紹介するのもありかな。 それではまた機会があれば。

《以上》

2014年7月8日

HeroQuest紹介(11) - ヒーローポイントと成長

●ヒーローポイントの入手
今回はヒーローポイント(Hero Point)成長について説明します。 まず各プレイヤー・キャラクターは作成時に3ポイントのヒーローポイントをもらえます。 そして各セッションの終りに2〜4ポイントのヒーローポイントを獲得できます。 さらにセッションで最も面白いプレイをしたプレイヤーを投票して1ポイントのボーナスを与えるというオプションもあります。

2〜4ポイントと幅があるのはセッションの時間やその濃さによって変えるためです。 この時に欧米で毎週決まった曜日の夜に集まって数時間ゲームを遊ぶという習慣があるということを覚えておくと良いでしょう。 このため1回のセッションというのは2〜3時間程度というのを前提に計算して、休日に集まって1日遊ぶ場合には途中で切って何回かのセッションに分けて遊ぶと良いでしょう。

数セッションからなるシナリオの終りにさらに追加で3ポイントのヒーローポイントが配布されます。 オプションとしてシナリオ全体を通してのMVPを投票してその報奨を与えることもできます。


●アビリティの成長
セッションの終りにヒーローポイントを使用してキャタクターを成長(Improve)させることができます。 ヒーローポイントを1ポイント支払うことにより持っているアビリティのうち一つを +1 することができます。

一度に複数上げるのはより難しくなります。 +2 するためには 1+2 で3ポイント必要になります。 +3 するためには 1+2+3 で6ポイント、 +4 するためには 1+2+3+4 で10ポイント必要になります。


●キーワードの成長

アンブレラ型のキーワードはアビリティではなく、 キーワード自身を上昇させることもできますが、 それにはアビリティの2倍のヒーローポイントが必要になります。 +1 するために2ポイント、 +2 するためには6ポイント、 +3 するためには12ポイントといった具合です。


●新しいアビリティの獲得

ヒーローポイントを1ポイントを支払うことにより新しいアビリティを13で獲得できます。 これにはそのアビリティを獲得した経緯に関して合理的な説明が必要になります。

最も一般的な使い方はゲームの中での出来事に関連したアビリティを獲得することです。 逆に言うとセッション中で入手したアイテムや新しい友人などの人間関係をそのキャラクターの属性の一部として永続化した場合にはヒーローポイントを支払って新しいアビリティとして獲得しなければなりません。 これを経験の固定化(cementing an experience)と言います。


●キャッチアップ
有能な主人公たちは際だった能力を持っているものです。 これは多くのRPGでも同様で、 プレイヤーたちがそのキャラクターの最も得意な分野を一本伸ばしする強い動機になります。 HeroQuestも例外ではなく、 プレイヤーたちはPCの得意な能力を中心的に成長させようとするはずです。 そうすると時間が経つに従って得意なアビリティそうでないアビリティとの数値な差が大きくなってしまうためますます得意分野しか使用できなくなってしまいます。

この問題を補正するためにキャッチアップ(Catch-Up:追い上げ)というシステムが整備されています。 成長においてアビリティに新しいマスタリーを獲得する毎に、 成長してマスタリーを獲得したアビリティよりも5ポイント以上低いアビリティを最大5個まで選んで、 3ポイントづつ成長させることができます。 これにより主要な数個のアビリティを成長させていくだけで、 残りのアビリティもそれなりに成長する仕組みになっています。

アンブレラ型キーワードを使用している場合にはキーワードの中に含まれる個別アビリティをキャッチアップで上昇させたり、 個別アビリティの上昇ではキャッチアップは獲得できません。 そしてキーワード自身をキャッチアップで上昇させたい場合にはアビリティ2個分として計算します。


●指示成長
ナレーターはPCの特定のアビリティを指定して1〜3ポイント上昇させることができます。 これを指示成長(Directed Improvement)といいます。 これはセッション中でもその場ですぐに成長が適用されます。 多くの場合、指示成長は特に重要だたりドラマティックな物語上の障害を克服した報酬として与えます。 ナレーターはこれによりプレイヤーが通常は成長させないようなアビリティを成長させて、多彩なアビリティを維持することができます。

またナレーターは指示成長を使って物語中で獲得した能力や新しい人間関係やのうちの特に重要なものを新しいアビリティとして(たいては13で)獲得させることもできます。 これにより物語中での一貫性を推奨することができます。


●成長速度の補正
多くの物語において主人公たちは最初から完成された存在であり、 物語を通して大きな成長はありません。 これを表現するために HeroQuest においてはPCの成長速度はゆるやかなものになっています。 しかしながらファンタジーのような一部のジャンルではキャラクターの成長がテーマになっており早い速度で成長するのが普通です。 逆に例えばホラーやサバイバルやハードSFのような分野では主人公たちは弱い存在のままでほとんど成長することはありません。

これを表現するために成長に必要なヒーローポイントの量を調整することができます。 ファンタジーなどで成長を重視するならばより少ないヒーローポイントで成長させることができるようにします。 逆にホラー等で成長を遅くしたいならば成長に必要なヒーローポイントの量を増やします。

PCの成長速度を変更した場合には、 前回に紹介した抵抗の基本値も同様に修正してバランスを取るようにしてください。


●ヒーローポイントと成長のバランス
HeroQuest のヒーローポイントはコンテストにおける成功度の繰り上げと、 キャラクターの成長の両方に使用します。  ゲーム的には配布されたヒーローポイントの半数強をセッション内での繰り上げに使い残りを成長に使うバランスで設計されているようです。 前回に説明したセッション数による抵抗の基本値の表も半分未満を成長に使う感じになっています。

個人的な経験になりますが、ナラティブRPGに馴れていないプレイヤーの中には他のRPGのように成長を目的として、あまりセッションの中での繰り上げにヒーローポイントを使いたがらず温存する傾向を持つ人がいます。 ヒーローポイントを使用した活躍は HeroQuest の華であり、 キャラクターを生かし物語を面白くする最大の機会なのですが。

このようなプレイヤーたちにはナラティブRPGにおいてはキャラクターを成長させ強くすることは目的ではなく、 面白い物語を創ることが目的であることを再度強調して、 配布したヒーローポイントの少なくとも半分は成長ではなく、 セッション中の活躍に使うべきであると伝えてあげてください。

それでもプレイヤーたちが納得がいかず成長を重視してヒーローポイントの使用を渋るようならば、 いっそのこと成長用のヒーローポイントと繰り上げ用のヒーローポイントを別々に配布するようにするとうまく回るようです。 さらに繰り上げ用のヒーローポイントはセッションごとの使い捨てで余ったとしても成長には使えないことにすれば積極的に使うしかありませんね。


《続く》
簡単ですがヒーローポイントと成長について説明しました。 とても軽量なRPGである  HeroQuest においてヒーローポイントは唯一管理すべきリソースで、 主としてプレイヤー間の活躍のバランスを取っています。 だいたい主要なルールは今回までで全て説明し終りました。 次回は最終回としてナレーターのテックニックについて説明できればと思います(私にうまくできるかな?)。

2014年7月3日

HeroQuest紹介(10) - 修正値と抵抗値

●修正値
コンテストで状況によりPCのアビリティに対して足したり引いたりする値を修正値(Modifier)と言います。 HeroQuest の修正値には特定アビリティボーナス、 拡大解釈ペナルティ、 状況修正値、 増強、 プロット増強などの種類があります。

HeroQuest ではこれらの修正値も主としてナラティブな考え方にもとづいて決めます。 それぞれの修正について少し詳しく説明してみます。


●特定アビリティボーナス
プレイヤーたちはアビリティを決める際にできるだけ多彩な面白いものにするように求められます。 ゲームの中で、 詳細なアビリティのうち一つが状況にピッタリ一致していて、 それを使うのはこの場面しかないということがあります。 この場合には特定アビリティボーナス(Specific Ability Bonus)といって +3 または +6 の修正を獲得します。

これは多彩で詳細化されたアビリティを設定したことに対するご褒美のようなものなので、 汎用的なアビリティに対しては与えられません。 とはいえナラティブRPGはプレイヤーが自分の思うようにストーリーを誘導できるので、 詳細化されたアビリティでもそれなりにボーナスを得る機会はあるものです。

逆に同じゲームに参加しているPCの中に特定の状況に対してよく一致したアビリティを持つキャラクターと、 明らかに広汎なアビリティを持つキャラクターが両方いる場合にはPC間のバランスを取るために、 広汎なアビリティを持つプレイヤーには -3 または -6 ペナルティが適用されます。 これはあくまでバランスを取るためで後述の拡大解釈とは違う点に注意してください。汎用的なアビリティでも、 今実際に行おうとして行為に関して自分より適切なアビリティを持つキャラクターがいないならばペナルティを受けるこはありません。


●拡大解釈ペナルティ
時々プレイヤーから不可能とまでは言い切れないまでも普通は有りそうにないアビリティの応用が提案されることがあります。 これを拡大解釈(Stretch)といいます。 例えば「英文学」のアビリティでイタリア語で会話しようとするような完全に無関係とは言い切れないけれども一般性の低いものです。

物語を進めていくためには場合によってこういった拡大解釈も必要になります。 ただしキャラクターの一貫性を維持するために拡大解釈をした場合には拡大解釈ペナルティとしてアビリティに -6 が適用されます。 さらにそのコンテストに完全勝利大勝利したとしても通常勝利までとして扱います。

どこまでが通常の応用でどこからが拡大解釈になるか、 どこまでの拡大解釈が許されてどこから不可能になるかは物語のジャンル、 モード、 キャラクターの過去の経緯などによって様々です。 ナレーターが適宜判断することになります。


●状況修正値
状況による難易度の違いは通常は抵抗値を変化させることで表現しますが、 拡張コンテストの途中などでプレイヤーの行動に対する一時的な変化はアビリティへの修正として適用します。 これを状況修正値(Situational Modifier)といいます。

プレイヤーのとった行動によってそのラウンドのエクスチェンジが顕著に有利だったり不利だったりと判断した場合にはアビリティに -6, -3, +3, +6 の修正を適用してください。 全員に適用される永続的な補正は状況修正ではなく抵抗値の方を変化させます。


●増強
HeroQuest のコンテストにおいて、あるアビリティを使って別のアビリティの成功率を上昇させることができます。 これを増強(Augment)といいます。 増強は独立した単純コンテストを行って、 その勝利レベルにより対象のアビリティに以下の表のようなボーナスを得ることができます。

勝利レベルボーナス
完全勝利+W
大勝利+9
通常勝利+6
ぎりぎり勝利+3
引き分け0
ぎりぎり敗北0
通常敗北0
大敗北0
完全敗北-3

ナラティブな遊び方において増強も演出手段の一つです。 このため論理的に可能な増強全てが許されるわけではなく、 物語的に意味があるもののみが許可されます。 増強を行うためには以下のいずれかの条件(できれば複数)を満たす必要があります。

    新鮮(fresh): 目新しい手段で読者に驚きを与えるような増強の使い方。 最近使った増強を繰り返すような退屈なことは認められません。

    照明(illuminate): そのキャラクターやキャラクター間の関係性に照明をあてて、 読者にキャラクターの何かを明らかにしたり特徴を認識させる増強の使い方。 既にわかりきっていることはアビリティや抵抗値に含まれているものと考えます。

    緊張(suspense): その増強を行うのに何らかのリスクをともない、 それによって物語の緊張感を高めその増強の成否に参加者全員が関心を持つような使い方。

    感情(emotinal): その増強により全員が興奮したり、 心から笑ったり、 同情心を共有したりなどの何らかの感情的な反応を引き出すことができる使い方。

ナラティブRPGである HeroQuest では勝率を上げるためではなく、 物語を面白くするために増強を使います。 退屈な増強のために無駄な時間を使わないようにしてください。 原則として一つのコンテストにつき一回しかアビリティの増強は試みることができません。 ただしナレーターが指示して行う増強にはこの制限はありません。 また増強のために増強を行うような連鎖は許されません。


●プロット増強
冒険においてプロット上の障害を克服することにより得られる特別な増強をプロット増強(Plot Augment)といいます。 通常の増強と違ってそのサブシナリオをクリアするためには複数のコンテストで勝利する必要があるかもしれませんし、 場合によってはコンテスト全く無しで賢いロールプレイの結果としてプロット増強が与えられるかもしれません。

このようなシナリオ上の障害を克服することにより後の冒険において +3, +6, +9, +W のいずれかのプロット増強を得ることができます。 プロットの内容によっては一人ではなく複数のキャラクターのアビリティに増強を得ることができる場合もあります。 通常の増強と違ってプロット増強は同時に複数を獲得することができますし、 通常の増強と重ねることもできます。

これはゲームブックやコンピューターゲームにおけるフラグ立てによるボーナスと同じようなものだと考えると判り易いかもしれません。 以前に適切な冒険を行ってフラグを立てておくことにより後のコンテストで有利な修正を得るというものです。 ドラゴンを倒しに行く前に寄り道をして弱点を調べたりドラゴンスレイヤーを入手したりすれば良いというわけです。


●抵抗値の決め方
コンテストにおいて相手側の目標値となる数値を抵抗値(Resistance)といいます。 HeroQuest ではシナリオであらかじめ抵抗値を決めておくことはしません。 コンテストごとにその状況に合わせてナレーターがその値を決めます。

基本的な考えとして、その状況における成功および失敗の可能性にもとづいて難易度を決めます。 ただしここでいう可能性はシミューレション的な意味の可能性ではなく、 ナレーターの物語的な直感によります。 これまでの流れで物語的感覚で主人公が失敗しそうならば高い難易度を、 成功が予想されるならば低い難易度を設定します。 どうしてその抵抗値になるのかの具体的な理由は後付けで決めて構いません。

直感で決めるといっても馴れていないナレーターには難しいかもしれません。 そのため以下に紹介するようないくつか指針があります。 あくまで指針なので直感と指針が矛盾するようならば直感の方を優先してください。


●抵抗の基本値
まず以下の表を使ってセッションの回数から基本となる抵抗値を決めます。

セッション回数基本抵抗値増強抵抗値
1〜21414
3〜41514
5〜61615
7〜81715
9〜101816
11〜121916
13〜142017
15〜161W17
17〜182W18

この数値がそのセッションでの平均的な難易度になります。 この表はセッション回数が進んでキャラクターが成長するとコンテストの難易度が上がって行くことを示しています。 主要なアビリティは2セッションごとに+1、 増強に使うような補助的なアビリティは4セッションごとに+1される前提になっています。 PCが強くなれば障害もそれに合わせて手強くなっていくということです。


●抵抗クラス
次にコンテストの抵抗を「ほとんど不可能」「とても高い」「高い」「中くらい」「低い」「とても低い」の6段階の抵抗クラスのどれに当るか決めます。 そして上記の基本値を以下の表に従って補正します。

抵抗クラス抵抗値
ほとんど不可能基本+W2
とても高い基本+9
高い基本+6
中くらい基本
低い基本-6
とても低い基本-W (最高でも6)

この抵抗クラスはキャラクターの行動や物語の展開によって以下のような感じで決めます。
  • 絶対とはいえないまでもほぼ成功しそうにないことならば「ほとんど不可能」とします
  • シナリオの山場ならば「とても高い」または「高い」を選択します
  • つまらない方法で面白い障害が台無しになりそうならば「とても高い」にします
  • 成功するよりも失敗する方が面白いようならば「高い」や「とても高い」とします
  • 失敗した時の展開があるけれどもそれほど面白くないなら「とても低い」にします
  • 失敗した時に面白い物語がないないようならば、 そもそも自動成功にします
  • 成功した時と失敗した時の両方の展開が同じくらい面白いようならば「中くらい」にします
プレイヤーたちを映画の視聴者として考えてみて、 そのムードによりどのような結果を期待しているか予想すると決めやすいかもしれません。 それと HeroQuest のシステムではダイスの影響が非常に大きいという点については十分留意してください。 「とても低い(抵抗値-20)」でも普通に失敗しますし、 「ほとんど不可能(抵抗値+40)」でも5%程度の確率で成功します(ヒーローポイントを使えばだらに高い確率で成功します)。


●成功/失敗サイクル
ナラティブなゲームではプレイヤーの発想で物語が進むため、 あらかじめ難易度を決めておくことはできません。それで予想もしないような展開により難易度を決めるのが非常に難しいことが多々あります。 プレイヤーたちがいきなり「井戸を掘る」とか「古道具屋を探す」とか言い出した時、 その難易度はどうすべきでしょうか?  特に理由がなく展開が想定できなければ「中くらい」の難易度を選ぶのが基本ですが、 それではコンテストの難易度が「中くらい」ばかりになってしまいそうです。

この時に参考にするのが成功/失敗サイクルです。 多くの小説、 映画、 昔話、 神話などにおいて主人公たちは成功ばかりではなく何度も失敗します。 成功と失敗を交互に繰り返すことにより徐々に最終目標に近付いていく形態を取ります。 これを成功/失敗サイクル(Pass/Fail Cycle)と呼びます。 成功と失敗の連鎖が物語を盛り上げる基本です。

このメカニズムを難易度の決定に応用することができます。 過去2回の主要なコンテストの勝敗を以下の表で参照して次のコンテストの難易度を決めます。 その際に完全勝利大勝利は勝利2回分、 完全敗北大敗北は敗北2回分として計算します。

過去2回の結果次の抵抗値
3〜4敗北とても低い(基本-W)
2敗北低い(基本-6)
2引き分け低い(基本-6)
1勝1敗中くらい(基本)
2勝0敗高い(基本+6)
3〜4勝とても高い(基本+9)

これにより平板で同じような難易度が続くことなく物語にリズムを与えることができます。 覚えておいて欲しいのはこの成功/失敗サイクルというのは他の方法で抵抗値を決めることができない時に使用する予備の方法であるということです。 ナレーターの直感や物語の流れにより抵抗値が決まる場合はそちらを優先してください。


《続く》
今回はコンテストの要である修正値と抵抗値の決め方について説明しました。 通常のRPGと考え方が大きく違うことが伝わったでしょうか?  次回は残った成長に関するルールを紹介する予定です。

2014年6月30日

HeroQuest紹介(9) - 拡張コンテスト

●拡張コンテスト
普通の判定は単純コンテストで十分ですが、 時には映画のクライマックスシーンのような一進一退の攻防を時間をかけて演出したいと思うかもしれません。 そのような場合に使用するのが拡張コンテスト(Extended Contest)です。

拡張コンテストは物語の山場においてその勝敗によって物語の行方が大きく変ってしまうような転換点でのみ使用します。 戦闘シーンだからとかサスペンスシーンだからといって安易に拡張コンテストを使用し過ぎないように注意してください。 物語上においてその勝敗を全員が固唾を飲んで見守る、 その進行に一喜一憂するそういった特別な状況でのみ使用します。

拡張コンテストにも1対1のものと、 複数の参加者で行う集団拡張コンテストが存在しますが、 まずは1対1で行う通常の拡張コンテストを説明します。 手順は以下のような流れになります。
  1. コンテストの枠組を決める
  2. ラウンドごとにエクスチェンジを繰り返す
  3. どちらが解決ポイント(RP)を 5ポイント獲得したら最終結果を決める
おおまかに言えばラウンドごとに単純コンテストを繰り返して解決ポイントを獲得し、 早く 5ポイントを獲得した方が勝ちということです。


●エクスチェンジ
拡張コンテストにおけるラウンドごとの判定をエクスチェンジ(exchange:応酬)と言います。 エクスチェンジの方法は単純コンテストと同じで、 ラウンドごとにその戦術と使用するアビリティを決め、 アビリティに対する修正があれば適用します。 ナレーターはその戦術に対する対抗値を決めてダイスを振ります。 その結果を元に解決ポイントを獲得します。

ヒーローポイントで各エクスチェンジの成功度を繰り上げることができますが、 制限として拡張コンテストではエクスチェンジごとにヒーローポイントを 1ポイントしか使用できません。

エクスチェンジに勝利した場合に得られる解決ポイントは集団単純コンテストと同じく、 完全勝利なら 5ポイント、 大勝利なら 3ポイント、 通常勝利なら 2ポイント、 ぎりぎり勝利ならば 1ポイントになります。 引き分けの場合は双方 0ポイントになります。

解決ポイントを獲得したということは、 それだけ勝利に近付いたという意味になります。 戦闘ならば相手を負傷させたとか、 有利な位置を占めたとかいった具合です。 エクスチェンジごとに何が起こりどのような結果になったかを描写するようにしてください。 ただし、 この時点で最終的な影響は確定していないため決定的な描写は行なわないよう注意してください。 例えば 「強烈な打撃により骨が折れた」 と描写するのではなく 「強烈な打撃により骨までいったかもしれない」 といった感じにします。


●最終結果の判定(拡張コンテスト)
獲得した解決ポイントの合計が先に 5ポイントに達すれば、 相手側の獲得しているポイントにかかわらず勝利します。 勝敗の度合はその時の双方の獲得した解決ポイントを元に拡張コンテスト結果表を使って決めます。 拡張コンテスト結果表にはライジング・アクション用のものとクライマックス・シーン用のものと二種類あります。


●ライジング・アクション結果表
ライジング・アクションというのは脚本用語で物語が昇りつめて行く途中段階を意味します。 要はクライマックス以外の途中シーンを意味すると思ってください。 シナリオの最後のクライマックス以外で拡張対決を行った場合には以下の 「ライジングア・クション結果表」 を使用して結果を決めます。 双方が獲得した解決ポイントの差分を元に決めるため極端な勝利や敗北は発生し難くなっています。

差分結果継続効果ボーナス/ペナルティ
+7以上完全勝利継続ボーナス+9
+5,+6大勝利継続ボーナス+6
+4,+3通常勝利継続ボーナス+3
+2ぎりぎり勝利なし0
+1ぎりぎり勝利かすり傷-3
0引き分けかすり傷-3
-1,-2ぎりぎり敗北かすり傷-3
-3,-4通常敗北軽傷-6
-5,-6大敗北重傷自動繰り下げ
-7完全敗北瀕死行動不能
-8以下完全敗北死亡死亡

●クライマックス・シーン結果表
主にシナリオの最後の山場にあたるクライマックス・シーンでは結果を決めるのは以下の表を使用します。 ライジング・アクションとは違い解決ポイントの差分ではなく相手が獲得した解決ポイントそのままで被害状態が決まります。 これは敵味方の双方に被害が出る可能性があることを示しています。
相手の解決ポイント被害状態
9以上死亡
8瀕死
6,7重傷
4,5軽傷
2,3かすり傷
1めまい
0なし

たいていは最終シーンなので詳細勝利レベルを決める必要はない場合も多いのですが、 決める必要がある場合は以下の表により相手の受けたダメージに基いて勝利レベルを決めます。

相手の被害状態勝利レベル
死亡/瀕死完全勝利
重傷大勝利
軽傷通常勝利
かすり傷ぎりぎり勝利

例えば、 解決ポイントが 5対4 の状態で勝利した場合には、 自分が軽傷を負い、 相手も軽傷で通常勝利となります。 解決ポイントが 2対8 で敗北した場合には自分が瀕死となり相手がかすり傷で相手の完全勝利(自分は完全敗北)になります。


●集団拡張コンテスト
拡張コンテストでも 1対1 ではなく多数の敵味方が入り乱れての乱戦を演出したい場合があります。 そのような時に使用するのが集団拡張コンテストです。 他のコンテストに比べて時間がかるので本当に重要な場面でのみ使うようにしてください。 集団拡張コンテストは以下の手順で実行します。
  1. コンテストの枠組を決める
  2. 敵と味方の組み合わせてペアにする
  3. ラウンドごとにペアどうしでエクスチェンジを繰り返し相手を排除する
  4. 片側のコンテスト参加者がいなくなったら最終結果を決める
以下もう少し詳しく説明してます。


●対戦するペアを決める(集団拡張コンテスト)
コンテストの枠組(目的や参加者)が決まったら、 参加者を敵と味方で 1対1 のペアにします。 だれとだれが戦うかは状況に合わせて相談して決めます。 片方のみが飛び道具で攻撃するような一方的な状況の場合でも攻撃者と防御者でペアを形成します。

この時に複数の敵と同時に戦いたい場合には一人が複数のペアに参加できます。 例えば3人と同時に戦いたい場合には 1対1 のペアを 3組つくります。 ただし複数の相手と戦う場合には、 二人目の相手には -3、 三人目の相手には、 -6, 四人目の相手には -9 という具合にペナルティがつきます。 誰を一人目として誰を二人目とするかとかは担当のプレイヤーが自由に決めて構いません。


●エクスチェンジ(集団拡張コンテスト)
対戦ペアが決まったら、 その組み合わせで通常の拡張コンテストと同じようにエクスチェンジを繰り返します。 どのペアから解決するかは特に重要ではないので席順とか楽な順番で処理してください。

複数の相手と同時に戦う場合でも解決ポイントはペアごとに個別に計上しこの時点では合算はしません。 特定の相手に対して解決ポイントを 5ポイント獲得したらならば、 行動不能や戦線離脱などにより、 その相手はコンテストから除外されます。

そして全部のペアの判定が終ったら、 そのラウンドに何が起こったかを話し合って決めます。


●最終結果(集団拡張コンテスト)
どちらかの側の参加者が全て除外されるとコンテストは終了します。 コンテストの最終結果がどうなったか相談して決めてください。

通常の拡張コンテストと同じライジング・アクション結果表やクライマックス・シーン結果表を使って各キャラクターの継続効果を決めます。 複数の相手と戦った場合にはライジング・アクションならば、 それぞれを個別に計上します。 クライマックス・シーンでは被った解決ポイント全てを合計した上で表を参照します。 このためクライマックス・シーンではコンテストに勝利したのに重傷や死亡することもあります。

最終的な勝利レベルを決める際に複数の敵がいた場合には最も手強い相手のものを基準に決めます。


《続く》
次回はコンテストにおける修正値と抵抗値について説明する予定です。

2014年6月27日

HeroQuest紹介(8) - コンテスト(続き)

●7. 継続効果と結果

コンテストの勝敗が決まったら、 それを解釈し結果を描写します。 勝敗レベルはだいたい以下のような意味になっています。

完全敗北: 決定的な敗北により再起がとても困難な状況
大敗北: 目標を達成できないだけでなく大きな被害を被る状況
通常敗北: 明確に敗北し目標を達成できない状況
ぎりぎり敗北: ほんのわずかな差でぎりぎり目標を達成できない状況
引き分け: 状況に変化がないか双方が同じだけ獲得または損失している状況
ぎりぎり勝利: ほんのわずかな差でぎりぎり目標を達成できた状況
通常勝利: 明確に勝利し目標を達成した状況
大勝利: 目標を達成しただけでなく副次効果が残り続ける状況
完全勝利: 決定的な勝利により後まで重大な影響が残る状況

またコンテストの結果として最初の枠組で決めた目標を達成できたかどうかに加えて、 その勝敗の度合によって後まで影響が残り続ける継続効果(Consequences)が発生します。 敗北した側は被害状態(States of Adversity)を、 勝利した側は継続利益(Lingering Benefits)を得る可能性があります。 勝敗に加えて続いて説明する継続状態を元に、 どのような過程をたどってどういう結果になったかを相談して決めてます。


●被害状態
コンテストは敗北した側はその敗北の度合によって被害状態((States of Adversity)を被ります。 これは後々にまで残る不利な修正で、 例えば負傷などとして演出されます。 戦闘などの肉体的な行動の場合には通常の身体ダメージになりますが、 コンテストの性質によっては精神的なダメージや、 金銭的なダメージ、 社会的な信用や評判に対するダメージなど様々に解釈してください。 芸術などの内面的なコンテストなどの場合でも自信に対するダメージなどとして演出できます。 ほかにも被害状態を道具が壊れたり資源を失ったりという形で表現することもできます。

単純コンテストの被害状態は敗北レベルによって以下のように決まります。 複数のコンテストにより複数の被害状態を受けた場合その効果は累積します。

勝敗レベル被害状態ペナルティ
勝利・引き分け健康なし
ぎりぎり敗北かすり傷-3
通常敗北軽傷-6
大敗北重傷自動繰り下げ
完全敗北瀕死行動不能

    健康(Healthy): 特に問題のない状態です。 戦闘の結果として痣ができていたり服が破れていたりなどの外見の変化はあるかもしれませんが不利な修正はありません。

    かすり傷(Hurt): ちょっとした傷を受けた状態です。 その傷に関連したアビリティ全てに -3 のペナルティを受けます。 セッションの終り、 もしくはゲーム内で傷ごとに1日程度の休息を取ることにより回復します。

    軽傷(Impaired): 大きな衝撃を受けた状態です。 その傷に関連したアビリティ全てに -6 のペナルティを受けます。 回復魔法のような回復イベントを行うか、 傷ごとに1週間の休息を取ることにより回復できます。

    重傷(Injured): 深刻なショックにより無防備な状態になります。 今後何か行動をしようとするごとに傷に対して気力コンテスト(contest of wherewithal)で勝利する必要があります。 「体力」とか「鉄の意志」とか「主君への忠誠」などの適切なアビリティで、 中くらいの難易度に対抗する必要があり敗北したら行動できません。 勝利すれば行動は可能ですが、 ほとんどのアビリティに自動繰り下げが適用されます(気力コンテストで大勝利や完全勝利した場合にのみ自動繰り下げは適用されません)。

    瀕死(Dying): 再起不能の状態で何も行動できず、 そのまま放置されて助けてもらえなければ、 そのまま死亡します。 助けるためには他の PC は時間おかずに回復関連のアビリティで困難なコンテスントに勝利する必要があります。 コンテストに勝利すれば重傷まで回復(完全勝利ならば軽傷まで回復)しますが、 敗北したらそのまま死亡します。

    死亡(Dead): 肉体的なダメージの場合は実際の死を意味します。 即死ではなく死ぬ前に言葉をかわしたり、 最後の行動を行うくらいのことはできます。 肉体的なダメージ以外の場合には実際に死ぬわけでありませんが比喩的な意味での死亡となり、 傷に関係したアビリティは永久的に使用不能になります。 比喩的な死亡であってもナレーターはそのPCをゲームから取り除く決定をすることができます。 その場合はショックにより旅に出たり、 発狂により隔離されたり、 長期投獄されたり、 破産して隠退したりといった形で処理します。


●継続利益
逆に大きく勝利した側は目的の達成に加えて継続利益(Lingering Benefits)を得ることができます。 これはコンテストに関係したアビリティに対する継続的なボーナスとして獲得します。 コンテストに使用したアビリティそのもでなくても理由が説明できれば別のものにすることもできます。 どのアビリティに利益を得るかをナレーターと相談して決めてください。 ちょっとしたコツを掴んだとか、 相手の弱点に気付いたとか、 有利な道具を手に入れたとか、 敵に恐怖を植えつけたとか、 モンスターの持っていた財宝を入手したとか色々と考えてみてください。

勝敗レベル継続効果ボーナス
完全勝利継続ボーナス+9
大勝利継続ボーナス+6
通常勝利継続ボーナス+3
ぎりぎり勝利なしなし

この継続ボーナスはその状況が相応しくなくなるか、 ボーナスを適用したアビリティを使用して敗北するまで継続します。 ボーナスを適用可能な状況では必ず適用しなければならずわざとボーナスを使用せずにおくことはできません。


●アビリティの選択
以上が単純コンテストのやり方になります。 説明が少し長くなりましたが実際にやってみるととても簡単であることがわかると思います。 運用にあったて一番問題になりそうなのがアビリティの適用だと思うので、 その点を補足したいと思います。

アビリティの説明のところでも少し書きましたが、 HeroQuest のアビリティは広く応用が効くものだと思ってください。 各キャラクターは 10個強のアビリティしか持っておらず、 それを使ってあらゆる困難に立ち向っていく必要があります。 このため厳格な運用をし過ぎると何もできなくなってしまいます。

なぜそのアビリティが使えるのかどうやって使うのかについて説明がつきさえすれば、 ペナルティ無しで応用できるものと考えてください。 判断基準としては小説などの物語の中でそういう説明がなされたとして読者が 「いかにも有りそう」 とか 「そいういうことも有るかもね」 と言って納得してくれるかどうかだと考えると良いでしょう。 このため応用可能な範囲は物語のジャンルやモードによって異なります。 コメディやスーパーヒーローものなら幅広い応用が可能かもしれませんが、 現代サスペンスものならばそこまで広い応用はできないかもしれません。

アビリティの選択する際にはそれがどのような演出になるかについて考えるようにしてください。 同じ剣を使った戦闘場面でも少年が「猪突猛進」を使った場合と、 ベテラン海兵が「海の男」を使った場合では状況描写が全く違ったものになることはイメージできると思います。 ナラティブRPGとしては勝率にこだわるのではなく、 このような演出の違いを楽しむのが良い遊び方です。


●集団単純コンテスト
次に集団単純コンテスト(Group Simple Contest)について説明します。 通常の単純コンテストは一人のプレイヤーの行動を対象にしています。 しかし場面によっては複数のPCが力を合わせて一つのことを為し遂げようとすることもあります。 このような場合に使用するのが集団単純コンテストです。

集団単純コンテストはプレイヤー側の参加者が多いだけで普通の単純コンテストと大きな違いはありません。 各プレイヤーが 1回づつ、 ナレーターは参加人数分だけダイスを振って結着をつけます。 判定手順も原則的には普通の単純コンテストと同じ流れですが、 少し違う部分がありますのでそこを説明します。

  1. コンテストの枠組を決める: 単純コンテストと同じですが、 最初の枠組を決める際に誰が参加者するのか、 それぞれがどのアビリティを使用するのかを決めます。
  2. 使用するアビリティに修正値を適用する: 単純コンテストと同じですが、 PCごとに異なる修正値が与えられる可能性があります。
  3. ナレーターが抵抗値を決める: 抵抗値は全参加PCで同じ数値を使います。 人数が多くなると目標達成が簡単になる部分は抵抗値を下げることで対応します。
  4. d20を振ってそれぞれ対決し成功度を決める: 参加プレイヤーごとに1回 d20 を振ってナレーターと対決します。 ナレーターは参加 PC  ごとにダイスを振ることになります。
  5. 勝敗の結果を決める: 参加 PC の成功度を解決ポイントという数値に変換して合計して結果を求めます。 詳しくは以下で説明します。
  6. ヒーローポイントを使って繰り上げする: 必要なヒーローポイントの量が普通の単純コンテストとは異なります。 詳しくは以下で説明します。
  7. 継続効果を決め結果を描写する

●解決ポイント
個々の対決で勝利した側は解決ポイント(RP: Resolution Point)を獲得します。 完全勝利なら 5ポイント、 大勝利なら 3ポイント、 通常勝利なら 2ポイント、 ぎりぎり勝利ならば 1ポイントを獲得します。 敗北した側は 0ポイントです 引き分けの場合は双方 0ポイントです。

勝利した側の解決ポイントをまとめると下記の「解決ポイント表」のようになります。

クリティカル成功失敗ファンブル
クリティカル1235
成功2123
失敗3212
ファンブル5320


●コンテスト結果表(集団単純コンテスト)
集団単純コンテストでは参加キャラクター全員の獲得した解決ポイントを合計し、 それから相手側の獲得した合計を引いて差分を用いて以下の表で最終結果を求めます。

差分総合結果継続効果ボーナス/ペナルティ
+5以上完全勝利継続ボーナス+9
+3,+4大勝利継続ボーナス+6
+2通常勝利継続ボーナス+3
+1ぎりぎり勝利かすり傷-3
0引き分けかすり傷-3
-1ぎりぎり敗北かすり傷-3
-2通常敗北軽傷-6
-3,-4大敗北重傷自動繰り下げ
-5以下完全敗北瀕死行動不能

表にあるように集団コンテストでは勝利したのに被害を受けることもあります。 継続効果は物語の状況に応じて参加した全キャラクターに与えても良いですし、 特に活躍したり失敗したキャラクターのみに与えても構いません。 どのような結果になったかを相談して決めてください。


●ヒーローポイント(集団単純コンテスト)
集団単純コンテストではヒーローポイントの使い方が少し異っています。 全員の解決ポイントを合計して差分から結果を求めた後でヒーローポイントを使うかどうか決めることができます。

参加キャラクターの人数の1/3(端数切り上げ) 以上のヒーローポイントを支払えば結果を 1段階良くすることができます。 このヒーローポイントは参加キャラクターならば誰が何ポイント支払っても構いません。 さらに2倍のポイントを支払うことにより2段階上昇させることができます。 それ以上支払っても3段階上昇させることはできません。 例えば4人が参加したのならば合計で2ポイントを支払えば1段階、 倍の4ポイント支払えば2段階上昇させることができます。

ヒーローポイントを支払ったということは、 主にそのキャラクターにとって何か特別なことが発生したということです。 どのようなことが起こってどのような活躍をしたのか話し合ってください。


《続く》
今回はコンテストの結果と、 集団単純コンテストについて説明しました。 次回はより複雑な拡張コンテストについて説明する予定です

2014年6月26日

Guide to Glorantha 予約開始

Moon Design Publishing のオンラインスト http://www.glorantha.com/shop/ にて Guide to Glorantha の予約が開始されたようです。 7月7日までの期間限定というこなので、 欲しかったけれど kickstarter には参加しそこねたという人は早めに予約すると良いかと。 少し高価ですがグローランサ好きには堪えられない内容ですよ。

Charles Corrigan が Google+ の glorantha コミュニティで語ったところによると、2000部刷っていて、 そのうち1500部近くが kickstarter 分なので、  残り500部くらいあるとのことです。

2014年6月24日

HeroQuest紹介(7) - コンテスト

●HeroQuestのメカニズム
少し間が空きましたが、 今回から HeroQuest での判定方法などのメカニズムついて説明していきたいと思います。

HeroQuest はできるだけプレイヤーやナレーターのやりたい物語を邪魔しないようにするという思想の元にシステムが作られています。  このため判定システムは単純かつ抽象的に作られており、 事象を説明したりする仕組みはありません。 実際に何が起きたかその結果どうなったかを説明するのはプレイヤーとナレーターにまかされています。

同じく一部のゲームが持っているような物語を発生させたりする仕組みや、 システムに従っているだけで皆がある程度楽しめるような仕掛けも一切持っていません。 ナラティブRPGで楽しむべきはあくまで皆で物語を創るところであって、 ゲームシステムを楽しむのが目的ではないという考えによっています(ゲームシステムを楽しみたいのならば別のゲームを遊ぶことを検討してください)。

HeroQuest においてはゲームメカニズムはできるだけ無色透明になるよう設計されています。  HeroQuest は先鋭的というか純粋なナラティブ専用なので、 そのシステムの単純さに戸惑うかもしれませんが、 ナラティブRPGの考え方に馴れてくると余計なおせっかいシステムは必要ないどころか、 むしろ邪魔に感じるのも確かです。

もう一つ HeroQuest のメカニズムの大きな特徴はダイスの影響が非常に大きいということです。 例えばアビリティにマスタリー 1つ分(+20)の差があっても 25% 近くの確率で逆転が起きます。 マスタリー 2つ分(+40)の大差でも 5% 前後の逆転の可能性があります。 ゲーム的な RPG ならばダイス依存度が高いとプレイヤーの工夫が無駄になるので興醒めですし、 シミュレーションならばリアルな確率分布が求められます。 ナラティブRPGである HeroQuest においてダイスに求められるのはドラマです。 物語を面白くするためには現実以上に特別な事態や番狂わせが必要です。


●コンテストとは
HeroQuest において他のRPGでの技能判定や行為判定に相当するものをコンテスト(Contest:勝負)と呼びます。 多くのRPGではキャラクターや NPC たちの行った個々の行動、 例えば 「ゴブリンへの剣による攻撃が命中したかどうか」 の成功失敗を判定するために行為判定を行います。 HeroQuest ではもう少し粒度が大きく抽象的に PC がその目的を達成できたかどうか、 例えば 「ゴブリンの集団を迎撃して追い払うことができたかどうか」 を判定するためにコンテストを行います。

HeroQuest ではダイスを振るのは現実のシミュレーションを行うためではなく、 物語のシミューレーションを行うため、 そして物語にドラマを与えるためです。 そのため物語の中で勝敗に注目が集っている場面でのみダイスを振ります。 物語上重要でない場面(ドラマが必要ない場面)ではコンテストは行いません。

HeroQuest における判定には以下の種類があります。

    自動成功: ダイスを振らずに成功を決定します

    単純コンテスト: 普通の判定方法でダイスを1回づつ振って結果を判定します

    集団単純コンテスト: 複数のPCが協力して単純コンテンストを行います

    拡張コンテスト: 互いに複数回ダイスを振って時間をかけて解決を行う方法です

    集団拡張コンテスト: 同時に敵味方の多数が参加して行う拡張コンテストです

これらは主に物語的な重要度で使いわけます。 こんな風に考えてみてください。 小説の中だと 10行で片が付くような戦闘場面は自動成功で処理し、 10ページで行われるような戦闘ならば単純コンテストで解決し、 100ページ続くような重要な戦いならば拡張コンテストを使うといった感じです。

もう一度書きますがコンテストは行動判定ではないので、 全ての行為をコンテストで判定しようとしないでください。 コンテストはそれによって物語が分岐する(かもしれない)ような重要な場面でのみ使用してます。 具体的な運用のアドバイスとしては、 馴れるまでは各シーンごとに最も重要な問題についてだけでコンテストを行って、 それによって次のシーンへ進むものと考えてください。 その目標を達成する行為が複数のタスクに分割できるとしても通常シーンならば、 それらの中で一番難易度が高いもの、 もしくは一番面白くなりそうな事のみをコンテストの対象として残りは話し合いで解決します。

それでは、 それぞれのコンテストの詳細を順次説明していきたいと思います。


●自動成功
HeroQuest では多くの行動の成否は話合いの中で決めていきます。 物語上でたいして重要でない部分では判定は必要ありません。  例えば戦闘のような危険をともなう行為であっても物語上重要でないと感じるならば自動成功(Automatic Success)として処理します。 形式的に行うならば自動成功は以下の手順で解決します。
  1. プレイヤーはキャラクターがどのアビリティを使って何を達成しようとしているかを宣言します。
  2. ナレーターは自動成功を宣言します。 勝利レベルが問題になる場合には通常勝利 として扱います。
  3. そのキャラクターがヒーローポイントを 1ポイント支払えば結果を完全勝利扱いに変更できます。
  4. 何が起こり結果どうなったかを話し合って決めます。
自動成功を使えば  PC たちの強さや有能さを演出することができます。 PC たちにとっては深刻な問題ではないならば全て自動成功で処理してください。

さらに、 もう一つ自動成功の大切な使い方があります。 それは失敗した際の分岐先では物語が面白くなりそうにないと感じる場合です。 もし失敗するとその後の展開がつまらなくなると思った場合や、 失敗後の物語の展望が全くない場合には迷わず自動成功で処理してください。


●単純コンテスト

最も一般的な判定方法が単純コンテスト(Simple Contenst)です。  HeroQuest ではほとんどの戦闘場面も単純コンテストで処理します。 合戦のように多数の参加者がいる場合でも通常は代表者(リーダー)による単純コンテストで結着させます。 より複雑な拡張コンテストを使うのは敵首領との決戦のような物語上で重要な山場だけです。

単純コンテストは以下の手順で解決します。
  1. コンテストの枠組を決める
  2. 使用するアビリティに修正値を適用する
  3. ナレーターが抵抗値を決める
  4. プレイヤーとナレーターがそれぞれ d20 を振って成功/失敗を決める
  5. マスタリーやヒーローポイントによる繰り上げ/繰り下げをを適用する
  6. 双方の成功度を比較して勝利と敗北を決定する
  7. 継続効果を決め結果を描写する
以下、個々の手順についてもう少し詳しく説明します。


●1. コンテストの枠組を決める
コンテストを開始するにあったてプレイヤーとナレーターは以下のようなコンテストの枠組を明確にします。

    戦利品を定める(naming the prize): 抽象的に何を獲得しようとしているか目標を明確にします。 戦利品は実際の品物の獲得だけではなく権利の獲得や何らかの有利な状況をもたらすため、 敵の行動を妨害するためなど様々に決めることができます。

    戦術(Tactics): 定めた目標を獲得するためにどのような手段を取るのか考え、 それが適切なものになるようにナレーターと相談して決めます。 その際にどのキャラクターがどのアビリティを使用するかも一緒に決めます。

    敵対者または抵抗: その戦術において敵対者はいるのか、 いたとしてその敵対者の目的は何か、 または自然の障害はあるのか、 失敗したらどうなるかなどの状況をナレーターの視点から説明します。


●2. 修正値
使用するアビリティの数値に修正値(Modifiers)を適用して最終的な数値を決定します。 修正値には特化アビリティボーナス、 状況修正、 拡大解釈ペナルティ、 別のアビリティでによる増強、 プロット増強など様々なものがあります。


●3. 抵抗値
HeroQuest のコンテストでは必ずプレイヤーとナレーターの双方がダイスを振ります。 この時にナレーター側の目標値のことを抵抗値(Resistance)といいます。 一般に障害の主な要因が NPC やモンスターの場合にはそのアビリティを抵抗値とします。 自然の障害の場合にはその特性が抵抗値になります。

普通の RPG ならばシナリオであらかじめ敵の強さや崖の高さなどが決められていて、 これらが行為判定の目標値になりますが、 HeroQuest ではシナリオであらかじめ目標値を決めておくことはしません(そもそも決まったシナリオに従って進むことが少ないですし)。 抵抗値は物語上の要請に従ってその場で決めます。 ぶっちゃけて言えば成功した方が面白そうか、 失敗した方が面白そうかによって即興で目標値を決めます。 そしてなぜその目標値なのかは後付けで理由を考えます。 例えば簡単な崖登りの難易度を高くしたい場合には、たまたま凍りついていたり、 登っている途中に急に突風が吹いてきたりするわけです。


●4. ダイスを振る
それぞれ決めたアビリティと抵抗値を目標値にしてプレイヤーとナレーターは 20面ダイス(d20) を振ります。 そしてその出目で以下のように成功度を決定します。 この時点ではマスタリーは無視して数値の部分だけ判定してください。

    クリティカル:  ダイスの出目が 1 ならば目標値に関係なくクリティカルです
    成功:               ダイスの出目が 2 以上で目標値以下ならば成功です
    失敗:               ダイスの出目が目標値より大きく 19 以下ならば失敗です
    ファンブル:     ダイスの出目が 20 ならば目標値に関係なくファンブルです

後でダイス目が必要になることがありますので、 ダイスは取り除かず出た目のまま残しておいてください。


●5. 繰り上げ
成功度が決まったら以下の手順で、 成功度の繰り上げ(bump up)または繰り下げ(bump donw)を適用します。
  1. 双方がマスタリーを所有している場合は同じ数だけマスタリーを相殺します。 結果としてどちらもマスタリーがないか、 片方だけがマスタリーを持っている状態になります。
  2. マスタリーが残っている方は、 マスタリー 1つにつ 1段階成功度を繰り上げます。 ファンブルが失敗になり、 失敗が成功になり、 成功がクリティカルに上昇します。 クリティカルより上はありません。
  3. 自分の成功度をクリティカルまで上昇させてもまだマスタリーが残っているならば、 相手の成功度を繰り下げることができます。 残っているマスタリー 1つにつき 1段階相手の成功度を繰り下げます。 ファンブルより下はありません。
  4. ヒーローポイントを消費することにより、 1ポイントにつき自分の成功度を 1段階繰り上げることができます。 単純コンテストならば 1度に何ポイント使っても構いません。 自分の成功度を上げるためにしか使えず、 味方を成功度を上げたり相手の成功度を下げるためには使用することはできません。 この際に従者(followers)は自分の一部とみなします。
ヒーローポイントを使うと確実に成功度を高めることができ、 使うかどうかはダイスの結果を見てから決めることができる点に注目してください。 このため HeroQuest  のヒーローポイントは他のゲームに比べて強力に状況をコントロールすることができます。 ヒーローポイントを使うということは普通でない何か特別なことが起こっているということです。 どのような特別なことがあったかを考えて描写するようにしてください。


●6. 勝敗の決定
双方の成功度を比べて勝敗を決定します。成功度の 1段階の差があれば「通常勝利」と「通常敗北」になります。 成功度に2段階の差があれば「大勝利」と「大敗北」、 3段階差があれば「完全勝利」と「完全敗北」です。

成功度が同じならばダイス目を比べて出目が小さい方が「ぎりぎり勝利」に大きい方が「ぎりぎり敗北」になります。 ダイス目まで同じならば「引き分け」です。 ナレーターは両方がファンブルした場合は状況によって双方を「ぎりぎり敗北」と判定しても構いません。

まとめると以下の表のようになります。 この表ではPC側から見た勝敗を示しています。 相手側は反対の結果になります(PCが大勝利ならば相手は大敗北になります)。

PCの成功度相手の成功度

クリティカル成功失敗ファンブル
クリティカル *1 通常勝利 大勝利 完全勝利
成功 通常敗北 *1 通常勝利 大勝利
失敗 大敗北 通常敗北 *1 通常勝利
ファンブル 完全敗北 大敗北 通常敗北 *2

*1: 双方のダイス目を比べて小ければ「ぎりぎり勝利」、 大きければ「ぎりぎり敗北」、 同じならば「引き分け」
*2: 「 引き分け」(もしくは双方が「ぎりぎり敗北」)


《続く》
単純コンテストの説明の途中ですが今回はここまでとします。 残りの「7.継続効果の決定と結果の描写」は次回の頭で説明する予定です。