2019年10月21日

RuneQuest Glorantha 簡易キャラクター作成

御無沙汰です。 1年間くらい更新をさぼっていました。
新刊あまり出ないし、出てもネタバレで書きたいこと書けないし悩ましい。

今回はルーンクエスト・グローランサ(RuneQuest: Roleplaying in Gloratha 以下RQG)用の簡易キャラクター作成を作ったので記録しておきます。

○背景

RQG のキャラクター作成は経歴や家族や色々あってとても楽しいですが、とても時間がかかるのが問題です(フルスクラッチで作成するとだいたい3時間くらいかかります)。キャンペーンの第一回ならばキャラクター作成のみに 1セッションを丸々使ってしまうのも手ですが残念ながら最近の風潮として、そういう贅沢な時間の使い方はできないことが多いです。

特にコンベンションなどで単発セッションを行う場合には、キャラクター作成にそんなに時間をかけてはいられません。1番手間がかかる経歴作成ルールを除いても軽く2時間以上かかります。ということでコンベンション等では作成済み(プレロールド)キャラクターから選んでもらことになります。

プレロールドはそれはそれで良いやり方なのですが、特にグローランサ世界の初心者にとっては。一方で少しグローランサに詳しくなってくると様々な出身地や職業や魅力的なカルトを選べないのが残念になってきます。

ということで選択肢の多様性を削らずに、キャラクター作成時間を短縮する方法がないか考えてみました。

○目的

以下のような要求を全て満たすキャラクター作成方法ができないか検討したくなりました。

・基本ルールのフルスクラッチのキャラクター作成と完全互換
・キャンペーンにも単発セッションにも対応できる
・出身地、職業、カルト、武器や呪文などを幅広く選択可能
・できればダイスを振ったり表を参照する回数を少なくする
・作成時間は1時間以内、可能ならば30分程度で

かなり難しそうだけど、やってみれば何とかなるかも?

○準備

まずは下準備として、キャラクター作成だけを繰り返したり、友人に頼んでみて、どこで時間がかかるかを確認してみました。

1) 当然ながら経歴作成ルールには時間がかかる(特にルールブックの冊数が少ないと参照て手間)。
2) 意外とルールブックをめくるの時間がかかる。作成に必要な情報が1個所に載ってなくてルールブック全体に散らばってる。私は記載場所だいたい暗記したけど、それでも大変
3) 表を参照しながら、能力値から属性値を計算するにはかなり大変。人によってはカスタマイズ(配分しなおし)とか始めるので試行錯誤。
4) 英語はやっぱり大変。だいたい読める人でも知らない英単語1つあるそこで手が止まることも。

のような感じでした。
あと経歴作成表でどのような情熱(パッション)やスキルがどのような確率で入手できるかとか、カルトごとのデータの比較調査を行ったりしました。

○対策の検討

1)  の経歴作成は一番面白いところなんだけど、作成時間の短縮には大幅省略も仕方がないかなと思います。作成しながら色々な時代背景とか事件を共有できてスムーズに入って行ける効果も
あるで個人的は残念なのです(お前が「ペンネル浅せの戦い」とはとか、「トロール大移動について」とか、語り始めるから余計に時間がかかるとい批判は甘んじて受けます)。 方針としてはプレロールドの経歴を準備してその中から選択してもらう方向にしよと思います。

2) が今回の主眼でルールブック全体に記載されている内容を綺麗にまとめられないだろうか、具体的にはキャラクター作成のところにある能力と属性値の情報、職業データ、カルトの初期データ、戦闘の章にある武器データ、魔術の章にあるカルトの技能と精霊呪文とルーン呪文の説明など必要な情報がかなり多いのです。

3) この部分の RQG のルールは RQ2 完全互換で RQ2 Player はこのあたり慣れたものなので、時間がかかるというのは完全に盲点でした。早見表とか作っても割り振りに試行錯誤/最適化したりで時間かかるみたい。実際には典型的な割り振りって、いくつかパターンがあるので、過去に自分が作ったり、他の人が作っていたデータを参考にすると何とかなりそう。

4) 持ち物とか技能名とかは翻訳しておいた方が良い感じです。慣れると英語でも問題ないと思うのですが、少なくとも1回目は日本語があった方が迷いがないです。

○作成物

色々と作っては壊しした結果、とりあえず以下のような4枚のテンプレートを使う方式になりました。
最初は「サーター出身のオーランス信者の戦士」のようは1枚のテンプレートを試していたのですが、これだとグローランサの多様性に十分対応できず悩ましいのです(オーランス信者だけで10枚くらいテンプレートが欲しくなってしまった)。

1枚目: 能力値テンプレート


上記のように(クリック少し拡大します)、能力値および、それに関連して計算される属性値を提供するテンプレートです。過去に自由割り振りで作成したキャラクターを参考に14種類を準備しました。もっと増やせるのですがあまり増やすと選ぶのが大変になるかと思って比較的尖ったやつを中心に取捨選択しました。

時間があればこの1枚目は使用せずに、サイコロを振ったり自由割り振りで作成することも可能です。このように全部のテンプレートを使用しなくても、時間に応じて一部だけ本来のやり方に戻せるのが4枚テンプレート形式の良い所です。

この1枚目の能力値テンプレートの右側に簡易キャララクター作成方式の全手順を書いてあります。GMに相談したりルールブック参照せずに、各自で作成が進められるようにしています。

2枚目: 出身地テンプレート


各出身地ごとのデータを集め、簡単な説明を加えたテンプレートです。データとしてはルールブックの出身地別のデータの情報を1ページにまとめなおして参照しやすくしたものです。基本ルールブックに加えてルナー属領地各国および、タラスター、シーリーラの出身地テンプレートを自作してみまし、全部で13枚作成しました。

右側にはキャラクターのプレロールドの経歴データを載せています。同じ出身地でも経歴部分が異なった出身地テンプレートを複数作ることも可能ですが、現在はサンプルということで各地域ごとに1枚づつしか準備できていません。時間が取れるなら、この作成済みの経歴は使わずルールブックの経歴作成ルールでロールするのも可能です。

3枚目: 職業テンプレート


これはルールブックにある職業データをそのまま、1ページにまとめて読みやすく整形しただけのもです。日本語になってるのと、読み易くレイアウトされているくらいが利点です。基本ルールブックの職業20種類(うち戦士は4分割)を作成しました。

右側部分には主要な武器のデータをまとめたものを記載しました。ルールブックの戦闘の章のあちこちに散らばっている情報を探さなくても済みます。意外と重要です。

4枚目: カルト・テンプレート


カルトの初期データとカルトで取得可能な呪文のデータと説明の要約を記載しています。初期データは簡易版ではなくカルトのフルライトアップを元に調整してあります。本当は神様ごとに簡単な解説を入れたかったのですが、スペースの都合で諦めました。初心者の人にはタイトル「雷鳴轟かせるもの」、「貌無き盗賊の王」、「混沌殺し」、「夜の息子」などで何となく分ってもらう感じです。

特に選択可能な精霊呪文とルーン呪文の要約を載せてあるのが重要で、作成時の呪文の選択が素早くでき、ゲーム中も呪文の早見表として利用できます。スペースの都合から呪文の説明はかなり省略していますし、カルトによっては全呪文ではなく冒険でよく使う呪文のみに絞らざる得ませんでした。あとギフト(加護)とギアス(誓約)はさずがに同じ1枚には入らなかったので、一部のカルトは5枚目が存在しています。

基本ルールブックにあるだけでなく Gods of Glorantha のドラフトデータを使ってルナー・カルトの分も作成しましたが、さすがに時間が足りなかったので、魔道カルトやシャーマン・カルトやトリックスターなどのあまり初心者向けではないカルトを省略して26カルト分準備しました。

○結果

最後の家伝の品以外では、ほとんどダイスを振ったりルールブックをめくったりすることなく、フルスクラッチと同様のキャラクターが作成できるようになりました(家伝の品のロールは楽しみのためにあえて残しました。逆に拡張してもっと色々なアイテムが入手できると面白そう...)

作成時間も自分で試した感じでは30分くらいで行けそうな感じでした。実際には先週東京で行われたグレッグ追悼コンベンション(順延版)でプレイヤー参加してくれた人たにち試してもらった所、30分では無理で1時間ちょっとかかった感じです。それでも大幅短縮なのでまあまあ満足。

○今後の課題

さらに短縮とか考えたいのですが、計算とキャラクターシートの記入に時間を取られるので、コンピューターを使ったキャラクターシートの自動作成とかやらないと難しそうです。(自分で試した時に早かったのはキャラクターシートのどこにどの情報を書き込むか事前に分っていたからみたいです)。

コンベンション用限定ならば、ここまで選択自由度と基本ルールブック互換性は考えなくても良さそうなので、1枚テンプレート(半完成済みキャラクターシート)をベースに仕上げてもらう方式にした方が、短縮という意味では良さそうです(その空いた時間で簡易経歴を作成するとかコダワル)。

まずは現状で色々な人に使ってもらって意見を聞きたいところです。是非使ってみたいとか、中身詳しく見たいなどありましたら、ツィッター(Twitter)アカウント宛てにでも連絡ください。