2018年7月10日

RQG 戦闘ルール解説 (暫定版) 第4回 その他

今回が一応最終回です。よく使われると思われる戦闘オプションおよび、ダメージの処理について解説します。

●100%を超える対抗スキル

武器スキルや回避スキルなどが 100% を超えていても 5%(96-00)は必ず失敗なので成功率は 95% にしかなりません。その代りに 100% を超えている分を対抗する相手のスキルへのペナルティにすることができます。この場合に増強や魔術や状況修正などによりスキルが増えている分も含みます。

例えば修正後の攻撃側の武器スキルが 133% の場合には相手の受け流しや回避のスキルに -33% のペナルティを適用できます。逆に受け流し側のスキルが 148% ある場合には攻撃側の武器スキルに -48% のペナルティがを与えることができます。

双方のスキルが 100% を超えている場合には大きい方のスキルの 100% を超えている部分を両方のスキルから引きます。例えば攻撃側が 142% 防御側が 105% の場合は両方から 42% を引いて 100% 対 63% として判定します。

●100%を超える攻撃スキルの分割

攻撃側の近接武器スキルが 100%以上の場合にはスキルを分割することもできます。この場合は魔術や状況修正は含めずに素のスキルで 100%以上の必要があります。スキルの分割はそれぞれが 50%以上であれば、どのように分割しても構いません。例えば 140% のスキルを持っている場合 70%と70% でもいいし 90%と50% にすることもできます。1回目の攻撃は通常の武器攻撃 SR に実行し、2回目の攻撃にはさらに同じ武器攻撃 SR を足したます。例えば元が SR 5 の武器ならば、SR 5 と SR 10 に攻撃判定します。2回目の攻撃が SR 12 以内に納まらなければ分割はできません。

各攻撃に 50% 以上を割り振ること、全体が SR 12 までに納まることの条件を満たすことができれば 3回以上に分割することもできます。例えば武器スキル 150% で SR 4 の武器を使用しているならば、各 50% で SR 4、SR 8、SR 12 と 3回攻撃することができます。

RQ2/RQ3 ではスキルの分割はあくまでも二人以上の敵を相手にしている場合のみで同じ敵に対してスキルを分割することはできませんでしたが、RQG ではこの制限は無くなり、同じ敵に対して 2回攻撃することも可能なようです。あと RQG では受け流しや回避については分割しなくても複数回実行することができます。

●二刀流(Two-Weapon)

初回にも説明したように両手に別々の武器を持っている場合には、その両方を攻撃にも受け流しにも使うことができます。RQ2/RQ3 では両方の武器で攻撃した場合には受け流し(パリィ)ができませんでしたが、この制限は無くなったとのことで、複数回の攻撃を行なったとしても通常どおり受け流しや回避を実行することができます。

2回目の攻撃は 1回目の武器攻撃 SRに 2回目の武器攻撃の SR を加算した SR に解決します。もし加算した結果が 12 SR を超えていた場合には 2回目の攻撃は実行できません。十分に素早やければ上記のスキル分割と組み合わせて 3回以上の攻撃を行なうことも論理的には可能です。

キャラクター作成時に特に違う決定をしない限り、全てのキャラクターは右利です(グローランサには左利きはドラゴンの血を引く者という設定がある)。右手用と左手用の武器スキルは別のものとして扱います。利腕でない方の手は基本成功率 05% から成長させなければなりませんが、同じカテゴリーの武器ならば半分で流用できるというルールが適用できるため、左手スキルより右手スキルの半分の方が大きければ、そちらで判定することもできます。

[検討] 盾や身体武器

盾には同じ戦闘ラウンドに攻撃と受け流しのどちらかしかできないという個別ルールがあるため、盾を使った二刀流は制限を受けます。剣と剣なら 2回攻撃できるが剣と盾は 1回しか攻撃できないというのは中途半端な感じがしますが、現在のところそういう解釈のようです。

二刀流においてキックや噛みつきなどの身体武器がどのような扱いになるのかは不明です。

●無防備な敵

相手がこちらに気付いていない場合や、背後から攻撃する場合、気付いていても移動できないなどの理由により十分な対応ができない場合には、攻撃に +40% のボナースがあります。

気絶していたり縛られているなど相手が完全に無力化されている場合には、攻撃成功率が 95% になります(96-00以外で成功)。この場合でもファンブルは通常のスキル値に依存して発生します。

●転倒

攻撃対象が転倒している場合には攻撃スキルに +40% の修正を受けます。

逆に自分が転倒している場合には攻撃スキルは半分になり、攻撃に成功してもダメージ・ボーナスを加算することはできません。命中部位は 1D10 で決定します。転倒状態では回避はできませんが受け流しは通常どおり可能です。

●ノックバック

RQG には RQ3 のような自動ノックバックのルールは存在していませんが、戦闘中に故意に相手を押してノックバックさせることはできます。ノックバックの試みは宣言フェイズに予め宣言しておかねばならず、その戦闘ラウンド中はそれ以外には防御しかできません。

ノックバックは常に SR 12 に解決します。まず相手を押すのに使用する盾や武器などのスキルをロールします。命中したらダメージを与える代りに自分の STR + SIZ で相手の DEX + SIZ と対抗ロールをします。

対抗ロールに成功したら相手は 1D3メートルノックバックされます。対抗ロールにスペシャル成功したら相手は転倒(ノックダウン)します。クリティカル成功ならばさらに持っている武器などを落としてしまいます。

対抗ロールに失敗した場合は DEX×5 をロールしなければならず、失敗した場合には自分が転倒します。もし転倒しなかった場合には自分が 1D3 メートルノックバックされます。

●部位狙い(Aimed Blow)

敵の身体のうち特定の命中部位を狙って攻撃したい場合に使用します。宣言フェイズに予め攻撃したい部位を宣言しておく必要があり、そのラウンドには他には防御しかできません。

部位狙いは常に SR 12 に解決します。通常のスキルの半分で攻撃判定をして成功した場合には宣言した命中部位に当たったことになります。もちろん相手はそれに対して防御を試みることができます。もし複数の人物が部位狙いを宣言した場合には SR 12 に本来の攻撃が早い順に解決します。

●近接戦闘中への射撃

敵味方が入り乱れて近接戦闘を行なっている場所へ射撃をした場合、間違って味方を誤射する可能性があります。狙った対象に当たる確率は、通常の成功率を近接戦闘中の人数で割った値になります。その値を出せなかったものの本来の命中率以下をロールした場合には、その場にいる者の中からランダムに命中します(本来の目標に命中する可能性もあります)。スペシャル命中やクリティカル命中の確率は割り算をした修正後の値から計算します。

●固まっている集団への射撃

敵が多数近くに固まっており、その集団の中の誰に命中しても良い場合に武器スキルに集団の人数一人につき +5% ボーナスを得ます。もし命中した場合には誰に当たったかはランダムに決めます。ただしスペシャル命中およびクリティカル命中の確率はボーナスを含めない本来の値で計算します。

●接敵状態からの離脱(Disengage)

RQG では接敵状態になったら、それ以上移動することができません。移動したい場合には、まず最初に離脱を行なう必要があります。離脱には以下のような方法があります。

撤退(Retreating)

1戦闘ラウンドを費やして相手との距離を開きます。これを行なうには宣言フェイズそう宣言する必要があり、そのラウンドは他には防御しかできません。その後、次のラウンドから通常に移動できます。

騎兵が歩兵から撤退する場合には丸1ラウンド消費する必要がなく、6ストラインク使えば撤退できます。逆に歩兵は騎兵から通常の方法では撤退できません。

[検討] 撤退後の距離

撤退を行なった場合に相手との距離がどうなっているのか明確な記述がありません。次のラウンドから移動を開始できるとなっていることより近接武器の間合いの外、つまり 1移動単位(3メートル)ほど相手と離れているとするのが妥当ではないかと思います。

ノックバック(Knockback)

上記の故意のノックバックのルールを使用して離脱をすることも可能です。ノックバックに成功して相手を間合いの外に押し出すか、転倒させれば次のラウンドから普通に移動できます。

逃走(Flee)

このラウンドにすぐに移動開始したい場合には、いきなり背中を見せて逃げ出すこともできます。その場合はストラインク・ランクに関係なく相手は無条件で 1回だけ攻撃することができます。この攻撃に対しては受け流しも回避もできません。

●身体へダメージの影響

全身ヒットポイント(Total Hit Point)

全身ヒット・ポイントが 1 か 2 になるとその時点で気絶します。全身ヒット・ポイントが 0 以下になると、そのラウンドの最後に死亡します。

ラウンドの最後というのが微妙な感じですが、これは昔からのルールでラウンド中の行動は多かれ少なかれ同時進行なので、同じラウンドに打撃と回復魔術の宣言が行なわれた場合には両方の結果を適用して生死を決定するというものです。ルーンクエストの回復呪文は発動が遅くラウンドの後の方になることが多いので助かります。

部位HPを超えるダメージ

の HP がゼロ以下になると転倒し、そのラウンドは何もできません。次のラウンド以降は転倒したまま戦うことができます。

の HP がゼロ以下になると両脚が使用できなくなり転倒し、そのラウンドは何もできません。次のラウンド以降は転倒したまま戦うことができます。10分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

の HP がゼロ以下になると転倒し、血を吐く以外に何もできなくなります。自分自身を治癒することすらできません(注:ルーン呪文なら可能ではないかと思います)。10分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

の HP がゼロ以下になるとその腕が使用不能になり、その手に持っている物を落としますが、転倒はせず残りの腕で戦い続けることができます。

の HP がゼロ以下になると気絶します。5分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

部位HPの 2倍を超えるダメージ

に一撃で部位 HP の 2倍を超えるダメージを受けるた場合、全身ヒットポイントへは部位の 2倍までしか影響しません。複数の打撃の場合にはそれぞれの打撃ごとに最大 2倍まで全身ヒットポイントへ影響します。一撃で2倍を超えるダメージを受けたら、その部位は使用不能になりショックで治療されるまで戦闘できなくなります。自分自身に治癒呪文をかけることは可能です。

に部位の HP の 2倍を超えるダメージを受けた場合には意識を失ない、治癒か応急手当てを受けるまで、毎ラウンド 1 HP を失ない続けます。

部位HPの 3倍を超えるダメージ

に一撃で部位 HP の 3倍を超えるダメージを受けた場合、同じく全身ヒットポイントへは部位の 2倍までしか影響しませんが、その部位は切断されるか不具化されます(下記参照)。そしてそのショックにより気を失ないます。

に部位の HP の 3倍を超えるダメージを受けると即死します。

[検討] 一撃

腕や脚へのダメージに対しては「一撃」で部位の 2倍、3倍を受けた場合となっているのに対して、胸、腹、頭に対しては特に「一撃」でという限定は明記されていません。RQ2 においても同じ記述になっていました。私はルールの対称性から胸や腹や頭も一撃でとして運用していますが、それらの命中部位は累積で 2倍、3倍のダメージを受けた場合と解釈している人たちもいます。明確ではありません。

切断(Servered)

剣などの切り裂き武器で四肢に対して一撃で部位 HP の 3倍以上のダメージを受けた場合にはその部位が切断されます。切断された部位を再接続するためには 10分以内に治癒(ヒール) 6 もしくは同等以上の魔術をかける必要があります。間に合わなければ、その部位は使用不能になり HP 1 を永久に失ないます。治すためにはルーン呪文の四肢再生(リグロウ・リム)のような特殊な魔術が必要になります。

不具化(Maimed)

切り裂き武器以外で四肢に対して一撃で部位 HP の 3倍以上のダメージを受けた場合にはその部位は不具化されます。不具化された部位を治療するには 10分以内にその部位の HP を完全回復させる必要があります。間に合わなければ、その部位は使用不能になり治すためにはルーン呪文の四肢再生(リグロウ・リム)のような特殊な魔術が必要になります。

●応急手当て

応急手当てには出血を止めるためのものと、傷を治療して HP を回復させるためのものがあります。

出血を止めるための応急手当てには 1戦闘ラウンド必要で失敗した場合には次の戦闘ラウンドに再度試みることができます。

傷を治療して HP を回復させるための応急手当てには 5戦闘ラウンドかかり、5ラウンドの目の最後にスキル判定を行ないます。通常成功ならば 1D3、スペシャル成功なら 2D3、クリティカル成功なら 1D3+3 ダメージを回復することができますが、ファンブルだと逆に 1D3ダメージが追加されます。傷を治すための応急手当ては受けた傷ごとに 1回しかできず、失敗したとしても再度試みることはできません。

●武器へのダメージ

武器がダメージを受けたとしても、武器の HP がプラスならば通常どおり攻撃に使うことができます。受け流しに使用した場合は武器の HP が減った分だけ止められるダメージが減少します。この状態ならば戦場でも適切な製作スキルを使って修理が可能です。

武器の HP がゼロ以下になると、それ以上受け流しに使用できなくなります。攻撃に使用するためには武器スキルの半分で判定して成功しなければなりません。この状態でもまだ修復(リペア)呪文を使えば修理可能ですし、適切な道具と時間をかければ製作スキルでも修理できます。しかし修理したとしても最大 HP が 1 減少し、武器にかけてあった呪化(エンチャント)などは失なわれます。

累積で武器の HP の2倍以上のダメージを受けると(HP がマイナス最大値)になると、完全に破壊され修理不能になります。

[終りに] Maximum Game Fan

グローランサのゲームにおいては Maximum Game Fan (MGF) という標語があります。これは世界設定やルールを適用するに当たって何が最も面白いかを考えて一番面白いと思うものを採用せよという考え方です。RuneQuest Glorantha のルールには一部に一貫していなくて悩ましい部分がありますが、考え方によっては複数のルールが提示されており、遊ぶ人が自由に選択可能とも言えます。結局自分たちが一番面白いと思うルールを採用すれば良いのかもしれません。この解説がその一助にでもなれば幸いです。

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以上で戦闘ルール解説(暫定版)は終りです。全ての戦闘オプションを紹介はできていないので騎乗戦闘や戦車(チャリオット)、ファランクス陣形や組み打ち(グラップル)など様々な選択肢については是非ルールブックを参照してください。

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