コンテストの勝敗が決まったら、 それを解釈し結果を描写します。 勝敗レベルはだいたい以下のような意味になっています。
完全敗北: | 決定的な敗北により再起がとても困難な状況 |
---|---|
大敗北: | 目標を達成できないだけでなく大きな被害を被る状況 |
通常敗北: | 明確に敗北し目標を達成できない状況 |
ぎりぎり敗北: | ほんのわずかな差でぎりぎり目標を達成できない状況 |
引き分け: | 状況に変化がないか双方が同じだけ獲得または損失している状況 |
ぎりぎり勝利: | ほんのわずかな差でぎりぎり目標を達成できた状況 |
通常勝利: | 明確に勝利し目標を達成した状況 |
大勝利: | 目標を達成しただけでなく副次効果が残り続ける状況 |
完全勝利: | 決定的な勝利により後まで重大な影響が残る状況 |
またコンテストの結果として最初の枠組で決めた目標を達成できたかどうかに加えて、 その勝敗の度合によって後まで影響が残り続ける継続効果(Consequences)が発生します。 敗北した側は被害状態(States of Adversity)を、 勝利した側は継続利益(Lingering Benefits)を得る可能性があります。 勝敗に加えて続いて説明する継続状態を元に、 どのような過程をたどってどういう結果になったかを相談して決めてます。
●被害状態
コンテストは敗北した側はその敗北の度合によって被害状態((States of Adversity)を被ります。 これは後々にまで残る不利な修正で、 例えば負傷などとして演出されます。 戦闘などの肉体的な行動の場合には通常の身体ダメージになりますが、 コンテストの性質によっては精神的なダメージや、 金銭的なダメージ、 社会的な信用や評判に対するダメージなど様々に解釈してください。 芸術などの内面的なコンテストなどの場合でも自信に対するダメージなどとして演出できます。 ほかにも被害状態を道具が壊れたり資源を失ったりという形で表現することもできます。
単純コンテストの被害状態は敗北レベルによって以下のように決まります。 複数のコンテストにより複数の被害状態を受けた場合その効果は累積します。
勝敗レベル | 被害状態 | ペナルティ |
---|---|---|
勝利・引き分け | 健康 | なし |
ぎりぎり敗北 | かすり傷 | -3 |
通常敗北 | 軽傷 | -6 |
大敗北 | 重傷 | 自動繰り下げ |
完全敗北 | 瀕死 | 行動不能 |
健康(Healthy): 特に問題のない状態です。 戦闘の結果として痣ができていたり服が破れていたりなどの外見の変化はあるかもしれませんが不利な修正はありません。
かすり傷(Hurt): ちょっとした傷を受けた状態です。 その傷に関連したアビリティ全てに -3 のペナルティを受けます。 セッションの終り、 もしくはゲーム内で傷ごとに1日程度の休息を取ることにより回復します。
軽傷(Impaired): 大きな衝撃を受けた状態です。 その傷に関連したアビリティ全てに -6 のペナルティを受けます。 回復魔法のような回復イベントを行うか、 傷ごとに1週間の休息を取ることにより回復できます。
重傷(Injured): 深刻なショックにより無防備な状態になります。 今後何か行動をしようとするごとに傷に対して気力コンテスト(contest of wherewithal)で勝利する必要があります。 「体力」とか「鉄の意志」とか「主君への忠誠」などの適切なアビリティで、 中くらいの難易度に対抗する必要があり敗北したら行動できません。 勝利すれば行動は可能ですが、 ほとんどのアビリティに自動繰り下げが適用されます(気力コンテストで大勝利や完全勝利した場合にのみ自動繰り下げは適用されません)。
瀕死(Dying): 再起不能の状態で何も行動できず、 そのまま放置されて助けてもらえなければ、 そのまま死亡します。 助けるためには他の PC は時間おかずに回復関連のアビリティで困難なコンテスントに勝利する必要があります。 コンテストに勝利すれば重傷まで回復(完全勝利ならば軽傷まで回復)しますが、 敗北したらそのまま死亡します。
死亡(Dead): 肉体的なダメージの場合は実際の死を意味します。 即死ではなく死ぬ前に言葉をかわしたり、 最後の行動を行うくらいのことはできます。 肉体的なダメージ以外の場合には実際に死ぬわけでありませんが比喩的な意味での死亡となり、 傷に関係したアビリティは永久的に使用不能になります。 比喩的な死亡であってもナレーターはそのPCをゲームから取り除く決定をすることができます。 その場合はショックにより旅に出たり、 発狂により隔離されたり、 長期投獄されたり、 破産して隠退したりといった形で処理します。
●継続利益
逆に大きく勝利した側は目的の達成に加えて継続利益(Lingering Benefits)を得ることができます。 これはコンテストに関係したアビリティに対する継続的なボーナスとして獲得します。 コンテストに使用したアビリティそのもでなくても理由が説明できれば別のものにすることもできます。 どのアビリティに利益を得るかをナレーターと相談して決めてください。 ちょっとしたコツを掴んだとか、 相手の弱点に気付いたとか、 有利な道具を手に入れたとか、 敵に恐怖を植えつけたとか、 モンスターの持っていた財宝を入手したとか色々と考えてみてください。
勝敗レベル | 継続効果 | ボーナス |
---|---|---|
完全勝利 | 継続ボーナス | +9 |
大勝利 | 継続ボーナス | +6 |
通常勝利 | 継続ボーナス | +3 |
ぎりぎり勝利 | なし | なし |
この継続ボーナスはその状況が相応しくなくなるか、 ボーナスを適用したアビリティを使用して敗北するまで継続します。 ボーナスを適用可能な状況では必ず適用しなければならずわざとボーナスを使用せずにおくことはできません。
●アビリティの選択
以上が単純コンテストのやり方になります。 説明が少し長くなりましたが実際にやってみるととても簡単であることがわかると思います。 運用にあったて一番問題になりそうなのがアビリティの適用だと思うので、 その点を補足したいと思います。
アビリティの説明のところでも少し書きましたが、 HeroQuest のアビリティは広く応用が効くものだと思ってください。 各キャラクターは 10個強のアビリティしか持っておらず、 それを使ってあらゆる困難に立ち向っていく必要があります。 このため厳格な運用をし過ぎると何もできなくなってしまいます。
なぜそのアビリティが使えるのかどうやって使うのかについて説明がつきさえすれば、 ペナルティ無しで応用できるものと考えてください。 判断基準としては小説などの物語の中でそういう説明がなされたとして読者が 「いかにも有りそう」 とか 「そいういうことも有るかもね」 と言って納得してくれるかどうかだと考えると良いでしょう。 このため応用可能な範囲は物語のジャンルやモードによって異なります。 コメディやスーパーヒーローものなら幅広い応用が可能かもしれませんが、 現代サスペンスものならばそこまで広い応用はできないかもしれません。
アビリティの選択する際にはそれがどのような演出になるかについて考えるようにしてください。 同じ剣を使った戦闘場面でも少年が「猪突猛進」を使った場合と、 ベテラン海兵が「海の男」を使った場合では状況描写が全く違ったものになることはイメージできると思います。 ナラティブRPGとしては勝率にこだわるのではなく、 このような演出の違いを楽しむのが良い遊び方です。
●集団単純コンテスト
次に集団単純コンテスト(Group Simple Contest)について説明します。 通常の単純コンテストは一人のプレイヤーの行動を対象にしています。 しかし場面によっては複数のPCが力を合わせて一つのことを為し遂げようとすることもあります。 このような場合に使用するのが集団単純コンテストです。
集団単純コンテストはプレイヤー側の参加者が多いだけで普通の単純コンテストと大きな違いはありません。 各プレイヤーが 1回づつ、 ナレーターは参加人数分だけダイスを振って結着をつけます。 判定手順も原則的には普通の単純コンテストと同じ流れですが、 少し違う部分がありますのでそこを説明します。
- コンテストの枠組を決める: 単純コンテストと同じですが、 最初の枠組を決める際に誰が参加者するのか、 それぞれがどのアビリティを使用するのかを決めます。
- 使用するアビリティに修正値を適用する: 単純コンテストと同じですが、 PCごとに異なる修正値が与えられる可能性があります。
- ナレーターが抵抗値を決める: 抵抗値は全参加PCで同じ数値を使います。 人数が多くなると目標達成が簡単になる部分は抵抗値を下げることで対応します。
- d20を振ってそれぞれ対決し成功度を決める: 参加プレイヤーごとに1回 d20 を振ってナレーターと対決します。 ナレーターは参加 PC ごとにダイスを振ることになります。
- 勝敗の結果を決める: 参加 PC の成功度を解決ポイントという数値に変換して合計して結果を求めます。 詳しくは以下で説明します。
- ヒーローポイントを使って繰り上げする: 必要なヒーローポイントの量が普通の単純コンテストとは異なります。 詳しくは以下で説明します。
- 継続効果を決め結果を描写する
●解決ポイント
個々の対決で勝利した側は解決ポイント(RP: Resolution Point)を獲得します。 完全勝利なら 5ポイント、 大勝利なら 3ポイント、 通常勝利なら 2ポイント、 ぎりぎり勝利ならば 1ポイントを獲得します。 敗北した側は 0ポイントです 引き分けの場合は双方 0ポイントです。
勝利した側の解決ポイントをまとめると下記の「解決ポイント表」のようになります。
クリティカル | 成功 | 失敗 | ファンブル | |
---|---|---|---|---|
クリティカル | 1 | 2 | 3 | 5 |
成功 | 2 | 1 | 2 | 3 |
失敗 | 3 | 2 | 1 | 2 |
ファンブル | 5 | 3 | 2 | 0 |
●コンテスト結果表(集団単純コンテスト)
集団単純コンテストでは参加キャラクター全員の獲得した解決ポイントを合計し、 それから相手側の獲得した合計を引いて差分を用いて以下の表で最終結果を求めます。
差分 | 総合結果 | 継続効果 | ボーナス/ペナルティ |
---|---|---|---|
+5以上 | 完全勝利 | 継続ボーナス | +9 |
+3,+4 | 大勝利 | 継続ボーナス | +6 |
+2 | 通常勝利 | 継続ボーナス | +3 |
+1 | ぎりぎり勝利 | かすり傷 | -3 |
0 | 引き分け | かすり傷 | -3 |
-1 | ぎりぎり敗北 | かすり傷 | -3 |
-2 | 通常敗北 | 軽傷 | -6 |
-3,-4 | 大敗北 | 重傷 | 自動繰り下げ |
-5以下 | 完全敗北 | 瀕死 | 行動不能 |
表にあるように集団コンテストでは勝利したのに被害を受けることもあります。 継続効果は物語の状況に応じて参加した全キャラクターに与えても良いですし、 特に活躍したり失敗したキャラクターのみに与えても構いません。 どのような結果になったかを相談して決めてください。
●ヒーローポイント(集団単純コンテスト)
集団単純コンテストではヒーローポイントの使い方が少し異っています。 全員の解決ポイントを合計して差分から結果を求めた後でヒーローポイントを使うかどうか決めることができます。
参加キャラクターの人数の1/3(端数切り上げ) 以上のヒーローポイントを支払えば結果を 1段階良くすることができます。 このヒーローポイントは参加キャラクターならば誰が何ポイント支払っても構いません。 さらに2倍のポイントを支払うことにより2段階上昇させることができます。 それ以上支払っても3段階上昇させることはできません。 例えば4人が参加したのならば合計で2ポイントを支払えば1段階、 倍の4ポイント支払えば2段階上昇させることができます。
ヒーローポイントを支払ったということは、 主にそのキャラクターにとって何か特別なことが発生したということです。 どのようなことが起こってどのような活躍をしたのか話し合ってください。
《続く》
今回はコンテストの結果と、 集団単純コンテストについて説明しました。 次回はより複雑な拡張コンテストについて説明する予定です。
集団単純コンテストだと、好転させるためのヒーローポイントが一杯必要になるのですね。みんなで協力して勝つ見たいな演出はやりやすいですね。
返信削除そうですね。 みんなでヒーローポイントを出し合って協力して活躍とか、 一人でヒーローポイントをたくさん支払って超大活躍とか、 色々な演出ができて面白いです。
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