2014年6月15日

HeroQuest紹介(6) - キャラクター作成(続き)

●作成手順6. アビリティの選択
キャラクター作成の続きです。 今回は具体的なアビリティの選択方法の説明をします 。アビリティの決め方には以下の三種類の方法が記載されています。 どれも一長一短があるので自分たちの遊び方にあったものを使うようにとのことです。
  • 散文メソッド(Prose Method)
  • 一覧メソッド(List Method)
  • 即興メソッド(As-You-Go Method)
順次説明していきます。


●散文メソッド
散文メソッド(Prose Method)とは一段落の程度の短い文章を書いてその中からアビリティを決める方式です。 単純な列挙は避けて完全な文章にしなければなりません。 文章の長さは英語ではちょうど百単語を目指すと良いとされます。 日本語ならば四百文字原稿用1枚くらいを目安にすると良いかもしれません。

その短い文章でキャラクターの来歴や能力を詳しく説明する必要はありません。 そのキャラクターの立ち位置や最も特徴的な行動や動機のみを簡潔に記述するようにしてください。 ちょうど映画のパンフレットとか小説やコミックの登場人物紹介の部分を書いているつもりで書く内容を取捨選択すると良いでしょう。

文章が書けたらその中のフレーズのうちキーワードやアビリティや欠点として使えそうなもの全てにアンダーラインを引きます。 そしてその部分をその言葉のままキャラクターシートに書き写してアビリティにします。 このメソッドで取得するアビリティの数はいくつでも構いませんが、 単なる羅列の部分は最初の二つしかアビリティにできません。

散文メソッドには、 よりキャラクターのイメージを伝えることができアビリティの数も制限されないという利点がありますが、 文章力が必要で準備時間がかかるという欠点があります。 長期キャンペーン用のキャラクターを作るのに向いたやり方ではないかと思います。


●一覧メソッド
一覧メソッド(List Method)は以下の手順でアビリティを選びます。
  1. コンセプト等に即した専門職業をアビリティまたはキーワードとして取得する
  2. ナレーターが要求した場合は文化や宗教などのキーワードを無料で取得する
  3. 最大10個までアビリティを自由に選択する
  4. 望むならば3個まで欠点を選択する
一覧メソッドでは比較的時間をかけず簡単にアビリティを揃えることができ、 その数も公平になるという利点がありますが、 自由に選んでしまうとキャラクターとしての一貫性が取れなくなりやすいという欠点があります。 一番ベーシックな方法なのでどのメソッドを使うか迷った時はこの方法を使うのがお勧めです。


●即興メソッド
即興メソッド(As-You-Go Method)はアビリティを詳細に決めずにゲームを開始するやり方です。 既に決めたコンセプトや物語フックに関連するアビリティやキーワードがあれば、 それだけを最初に決めて残りはゲームをしながら決定していきます。

物語を進めていく中でアビリティが必要になった最初の機会に名前と数値を決めてキャラクターシートに記入します。 最初のアビリティを加えて11個目までは無料で取得できますが、 それ以降は通常どおり成長コストを支払う必要があります。

この方式は準備にほとんど時間をかけずにゲームを開始できて、 物語に最適なアビリティを取得できるという利点がありますが、 最初の頃はキャラクターが曖昧過ぎて物語に入り込みにくいとか、 アビリティが最初の物語に依存しがちとかの欠点が指摘されいます。 単発セッションなど時間がない時に使うのがおすすめです。


●ハイブリッドメソッド
これはルールブックに書かれている正式のやり方ではありませんが、 個人的に試行錯誤している中で自然発生的に見つけた方法で、 割と好評なので紹介したいと思います。 上記の三種類の混合を目指したやり方なのでハイブリッドメソッド(Hybrid Method)と名付けました。

1. 最初は各プレイヤーに順番に自分のキャラクターについて思うままに語ってもらいます。 散文メソッドの文章作成にあたりますが、 実際に文章を書かなくて済み文字数制限もないので気軽に実施できます(メモくらいは取った方が良いです)。 キャラクターはステレオタイプでも構いませんが一つだけでもそのキャラクターが他と違うユニークになる点を挙げるようにします。 この時に他のプレイヤーは単に聞いているだけでなくて質問したり提案したりしてキャラクターのイメージを固めるのを手伝ってあげてください。

2. 次に全員でキャラクターどうしの関連性を相談します。 どういう理由で一緒にいるのか、 いつからの付き合いなのか、 始めて出会った時は互いにどうのような行動をしたのか、 最近一緒にどのような冒険をしたのかなどなどを考えてみます。 単独で完成されたキャラクターを遊ぶよりも、 欠陥を補い合って全員で完成するような関係性が理想です。 PCどうしがが互いを必要とする理由を考えてみてください。

3. これまでの手順で固めたイメージを元に 「一覧メソッド」 と同じ手順でアビリティを選択します。 ただ一覧メソッドと違って最初に全てのアビリティを決める必要はなく、 いくつかのアビリティは決めず残して置くことが推奨されます。 だいたい4個前後を残しておくと良いでしょう。

4. あとは普通にゲームを開始して、 ゲームの途中で必要となった時に即興メソッドと同じ手順で残りのアビリティを決定します。 物語を通して隠れていた一面が見えて来るというわです。

いかがでしょうか? 最初に少しだけ手間はかかりますがイメージが固まるの早く物語に集中しやすくなります。 また三つの方法を混ぜることにより互いの欠点を補いあって全体的に良くなる感じです。 もし気にいったら使ってみて感想を聞かせてください。


●アビリティの数値の意味
次に選択したアビリティの数値を決めます。 その前にアビリティの数値の意味について簡単に説明します。

通常の RPG の技能値などはシミュレーショにおける客観的な成功確率を示していますが、HeroQuest のアビリティ値は物語中でそのアビリティでどれだけ活躍しそうかを示しています。

例えば 「ジャンプ 15」 を持つキャラクターと 「ジャンプ 20」 のキャラクターがいたとして 20 のキャラクターの方が必ずしも高く跳べるとか遠くへ跳べるという意味ではありません。 もう少し抽象的なもので 20 のキャラクターの方がよりジャンプを適切に使って困難の局面を乗り切り目標を達成できるということを意味しています。 どこでジャンプすべきか、 いつジャンプすべきかなどのジャンプの特性を良く知っているとか、 応用が効くととか、 このキャラクターがジャンプすると幸運なことが起こるなど様々な感じで解釈すると良いかもしれません。

もう一つ重要なの、 この数値は相対的なものであり絶対値による指標ではないという点です。 二つのアビリティを比べた時に、 その数値の違いはどちらのアビリティの方がより活躍しやすいかを示しているに過ぎません。 「ジャンプ」 の数値が非常に大きいからといって(魔法無しで)屋根に飛び上がったりできるわけではありません。


●作成手順7. アビリティの数値を決める
以下の手順に従ってアビリティの値を決定してください。

1. まず最初にどれでも好きなアビリティ一つに 17 を設定します。一番重要と思えるものを選択してください。 専門職業などのメインのアビリティやキーワードが選ばれることが多いようです。

2. 次に残りのアビリティとキーワード全てに 13 を設定します。

3. 最後に 20 ポイントを好きなように割り振ります。 1 ポイント割り振るごとにアビリティを 1 上昇させることができます。 キーワードも同じく 1 ポイントで 1 上昇させることができるのでキーワードに割り振ると少しお得です。 ただし同じアビリティやキーワードには最大でも 10 ポイントまでしか割り振ることができません。


●欠点の数値を決める
アビリティと同じよう欠点(flaw)も数値を持ちます。 一つ目の欠点の値はアビリティの最大値と同じ数値になります。 二つ目の欠点があれば二番目に値が大きなアビリティと同じ数値になります。 三つ目の欠点は値が最小のアビリティと同じになります。


●高レベルキャンペーン
最初からみんなで強いキャラクターを作って遊びたいということがあるかもしれません。 アビリティはあくまで相対的な値なので、 高レベルキャンペーンを遊びたい時でも特に大きな値を割り振る必要はありません。 PCを強くしたい場合には作成時の値はそのままで、 物語に登場してくる障害や相手役の抵抗値を相対的に小さくすることで表現します。

ただし特殊な背景設定では一部のアビリティの絶対値に特別な意味を持たせている場合があります。 このようなワールドで高レベルキャンペーンを遊びたい場合には初期値や割り振るポイントをブーストしてやる必要があります。


●マスタリー
作成時のポイントの配分や成長によって値が 21 以上になったアビリティはマスタリー(Mastery)になります。 21, 22, 23, ... と表記する代りに 1W, 2W, 3W と表記します。 この "W" の部分は実際には王冠をもしたグローランサのマスタリー(支配)のルーンで以下のような記号使用します。

マスタリーを持つアビリティが成長してさらに 20W を超えた場合には二つ目のマスタリーを獲得します。 表記は 1WW, 2WW, 3WW, ... ではなく、 1W2, 2W2, 3W2, ... のように W の後にマスタリーを持つ数を記述します。さらに成長すれ三つ目のマスタリーを獲得して ..., 20W2, 1W3, 2W3, 3W3, ... のように表記します。

マスタリーはアビリティの使用の際に大きな利点を与えてくれます。 詳しくは次回の判定の個所で説明する予定です。


●ヒーローポイント
キャラクター作成時にヒーローポイントを3点もらえます。 合わせてキャラクターシートに記入しておいてください。 ヒーローポイントの使用方法も同じく次回以降の判定方法と、 成長方法の場所て説明する予定です。


《続く》
今回でキャラクター作成は完了です。 次回は判定方法について紹介する予定です。

1 件のコメント:

  1. 能力の高い人は同じだけ弱点も強いというのが面白いですね。大暴れ3Wを持つ人は逆に怠惰3Wを持ってたりするわけですね。

    返信削除