普通の判定は単純コンテストで十分ですが、 時には映画のクライマックスシーンのような一進一退の攻防を時間をかけて演出したいと思うかもしれません。 そのような場合に使用するのが拡張コンテスト(Extended Contest)です。
拡張コンテストは物語の山場においてその勝敗によって物語の行方が大きく変ってしまうような転換点でのみ使用します。 戦闘シーンだからとかサスペンスシーンだからといって安易に拡張コンテストを使用し過ぎないように注意してください。 物語上においてその勝敗を全員が固唾を飲んで見守る、 その進行に一喜一憂するそういった特別な状況でのみ使用します。
拡張コンテストにも1対1のものと、 複数の参加者で行う集団拡張コンテストが存在しますが、 まずは1対1で行う通常の拡張コンテストを説明します。 手順は以下のような流れになります。
- コンテストの枠組を決める
- ラウンドごとにエクスチェンジを繰り返す
- どちらが解決ポイント(RP)を 5ポイント獲得したら最終結果を決める
●エクスチェンジ
拡張コンテストにおけるラウンドごとの判定をエクスチェンジ(exchange:応酬)と言います。 エクスチェンジの方法は単純コンテストと同じで、 ラウンドごとにその戦術と使用するアビリティを決め、 アビリティに対する修正があれば適用します。 ナレーターはその戦術に対する対抗値を決めてダイスを振ります。 その結果を元に解決ポイントを獲得します。
ヒーローポイントで各エクスチェンジの成功度を繰り上げることができますが、 制限として拡張コンテストではエクスチェンジごとにヒーローポイントを 1ポイントしか使用できません。
エクスチェンジに勝利した場合に得られる解決ポイントは集団単純コンテストと同じく、 完全勝利なら 5ポイント、 大勝利なら 3ポイント、 通常勝利なら 2ポイント、 ぎりぎり勝利ならば 1ポイントになります。 引き分けの場合は双方 0ポイントになります。
解決ポイントを獲得したということは、 それだけ勝利に近付いたという意味になります。 戦闘ならば相手を負傷させたとか、 有利な位置を占めたとかいった具合です。 エクスチェンジごとに何が起こりどのような結果になったかを描写するようにしてください。 ただし、 この時点で最終的な影響は確定していないため決定的な描写は行なわないよう注意してください。 例えば 「強烈な打撃により骨が折れた」 と描写するのではなく 「強烈な打撃により骨までいったかもしれない」 といった感じにします。
●最終結果の判定(拡張コンテスト)
獲得した解決ポイントの合計が先に 5ポイントに達すれば、 相手側の獲得しているポイントにかかわらず勝利します。 勝敗の度合はその時の双方の獲得した解決ポイントを元に拡張コンテスト結果表を使って決めます。 拡張コンテスト結果表にはライジング・アクション用のものとクライマックス・シーン用のものと二種類あります。
●ライジング・アクション結果表
ライジング・アクションというのは脚本用語で物語が昇りつめて行く途中段階を意味します。 要はクライマックス以外の途中シーンを意味すると思ってください。 シナリオの最後のクライマックス以外で拡張対決を行った場合には以下の 「ライジングア・クション結果表」 を使用して結果を決めます。 双方が獲得した解決ポイントの差分を元に決めるため極端な勝利や敗北は発生し難くなっています。
差分 | 結果 | 継続効果 | ボーナス/ペナルティ |
---|---|---|---|
+7以上 | 完全勝利 | 継続ボーナス | +9 |
+5,+6 | 大勝利 | 継続ボーナス | +6 |
+4,+3 | 通常勝利 | 継続ボーナス | +3 |
+2 | ぎりぎり勝利 | なし | 0 |
+1 | ぎりぎり勝利 | かすり傷 | -3 |
0 | 引き分け | かすり傷 | -3 |
-1,-2 | ぎりぎり敗北 | かすり傷 | -3 |
-3,-4 | 通常敗北 | 軽傷 | -6 |
-5,-6 | 大敗北 | 重傷 | 自動繰り下げ |
-7 | 完全敗北 | 瀕死 | 行動不能 |
-8以下 | 完全敗北 | 死亡 | 死亡 |
●クライマックス・シーン結果表
主にシナリオの最後の山場にあたるクライマックス・シーンでは結果を決めるのは以下の表を使用します。 ライジング・アクションとは違い解決ポイントの差分ではなく相手が獲得した解決ポイントそのままで被害状態が決まります。 これは敵味方の双方に被害が出る可能性があることを示しています。
相手の解決ポイント | 被害状態 |
---|---|
9以上 | 死亡 |
8 | 瀕死 |
6,7 | 重傷 |
4,5 | 軽傷 |
2,3 | かすり傷 |
1 | めまい |
0 | なし |
たいていは最終シーンなので詳細勝利レベルを決める必要はない場合も多いのですが、 決める必要がある場合は以下の表により相手の受けたダメージに基いて勝利レベルを決めます。
相手の被害状態 | 勝利レベル |
---|---|
死亡/瀕死 | 完全勝利 |
重傷 | 大勝利 |
軽傷 | 通常勝利 |
かすり傷 | ぎりぎり勝利 |
例えば、 解決ポイントが 5対4 の状態で勝利した場合には、 自分が軽傷を負い、 相手も軽傷で通常勝利となります。 解決ポイントが 2対8 で敗北した場合には自分が瀕死となり相手がかすり傷で相手の完全勝利(自分は完全敗北)になります。
●集団拡張コンテスト
拡張コンテストでも 1対1 ではなく多数の敵味方が入り乱れての乱戦を演出したい場合があります。 そのような時に使用するのが集団拡張コンテストです。 他のコンテストに比べて時間がかるので本当に重要な場面でのみ使うようにしてください。 集団拡張コンテストは以下の手順で実行します。
- コンテストの枠組を決める
- 敵と味方の組み合わせてペアにする
- ラウンドごとにペアどうしでエクスチェンジを繰り返し相手を排除する
- 片側のコンテスト参加者がいなくなったら最終結果を決める
●対戦するペアを決める(集団拡張コンテスト)
コンテストの枠組(目的や参加者)が決まったら、 参加者を敵と味方で 1対1 のペアにします。 だれとだれが戦うかは状況に合わせて相談して決めます。 片方のみが飛び道具で攻撃するような一方的な状況の場合でも攻撃者と防御者でペアを形成します。
この時に複数の敵と同時に戦いたい場合には一人が複数のペアに参加できます。 例えば3人と同時に戦いたい場合には 1対1 のペアを 3組つくります。 ただし複数の相手と戦う場合には、 二人目の相手には -3、 三人目の相手には、 -6, 四人目の相手には -9 という具合にペナルティがつきます。 誰を一人目として誰を二人目とするかとかは担当のプレイヤーが自由に決めて構いません。
●エクスチェンジ(集団拡張コンテスト)
対戦ペアが決まったら、 その組み合わせで通常の拡張コンテストと同じようにエクスチェンジを繰り返します。 どのペアから解決するかは特に重要ではないので席順とか楽な順番で処理してください。
複数の相手と同時に戦う場合でも解決ポイントはペアごとに個別に計上しこの時点では合算はしません。 特定の相手に対して解決ポイントを 5ポイント獲得したらならば、 行動不能や戦線離脱などにより、 その相手はコンテストから除外されます。
そして全部のペアの判定が終ったら、 そのラウンドに何が起こったかを話し合って決めます。
●最終結果(集団拡張コンテスト)
どちらかの側の参加者が全て除外されるとコンテストは終了します。 コンテストの最終結果がどうなったか相談して決めてください。
通常の拡張コンテストと同じライジング・アクション結果表やクライマックス・シーン結果表を使って各キャラクターの継続効果を決めます。 複数の相手と戦った場合にはライジング・アクションならば、 それぞれを個別に計上します。 クライマックス・シーンでは被った解決ポイント全てを合計した上で表を参照します。 このためクライマックス・シーンではコンテストに勝利したのに重傷や死亡することもあります。
最終的な勝利レベルを決める際に複数の敵がいた場合には最も手強い相手のものを基準に決めます。
《続く》
次回はコンテストにおける修正値と抵抗値について説明する予定です。