2019年10月21日

RuneQuest Glorantha 簡易キャラクター作成

御無沙汰です。 1年間くらい更新をさぼっていました。
新刊あまり出ないし、出てもネタバレで書きたいこと書けないし悩ましい。

今回はルーンクエスト・グローランサ(RuneQuest: Roleplaying in Gloratha 以下RQG)用の簡易キャラクター作成を作ったので記録しておきます。

○背景

RQG のキャラクター作成は経歴や家族や色々あってとても楽しいですが、とても時間がかかるのが問題です(フルスクラッチで作成するとだいたい3時間くらいかかります)。キャンペーンの第一回ならばキャラクター作成のみに 1セッションを丸々使ってしまうのも手ですが残念ながら最近の風潮として、そういう贅沢な時間の使い方はできないことが多いです。

特にコンベンションなどで単発セッションを行う場合には、キャラクター作成にそんなに時間をかけてはいられません。1番手間がかかる経歴作成ルールを除いても軽く2時間以上かかります。ということでコンベンション等では作成済み(プレロールド)キャラクターから選んでもらことになります。

プレロールドはそれはそれで良いやり方なのですが、特にグローランサ世界の初心者にとっては。一方で少しグローランサに詳しくなってくると様々な出身地や職業や魅力的なカルトを選べないのが残念になってきます。

ということで選択肢の多様性を削らずに、キャラクター作成時間を短縮する方法がないか考えてみました。

○目的

以下のような要求を全て満たすキャラクター作成方法ができないか検討したくなりました。

・基本ルールのフルスクラッチのキャラクター作成と完全互換
・キャンペーンにも単発セッションにも対応できる
・出身地、職業、カルト、武器や呪文などを幅広く選択可能
・できればダイスを振ったり表を参照する回数を少なくする
・作成時間は1時間以内、可能ならば30分程度で

かなり難しそうだけど、やってみれば何とかなるかも?

○準備

まずは下準備として、キャラクター作成だけを繰り返したり、友人に頼んでみて、どこで時間がかかるかを確認してみました。

1) 当然ながら経歴作成ルールには時間がかかる(特にルールブックの冊数が少ないと参照て手間)。
2) 意外とルールブックをめくるの時間がかかる。作成に必要な情報が1個所に載ってなくてルールブック全体に散らばってる。私は記載場所だいたい暗記したけど、それでも大変
3) 表を参照しながら、能力値から属性値を計算するにはかなり大変。人によってはカスタマイズ(配分しなおし)とか始めるので試行錯誤。
4) 英語はやっぱり大変。だいたい読める人でも知らない英単語1つあるそこで手が止まることも。

のような感じでした。
あと経歴作成表でどのような情熱(パッション)やスキルがどのような確率で入手できるかとか、カルトごとのデータの比較調査を行ったりしました。

○対策の検討

1)  の経歴作成は一番面白いところなんだけど、作成時間の短縮には大幅省略も仕方がないかなと思います。作成しながら色々な時代背景とか事件を共有できてスムーズに入って行ける効果も
あるで個人的は残念なのです(お前が「ペンネル浅せの戦い」とはとか、「トロール大移動について」とか、語り始めるから余計に時間がかかるとい批判は甘んじて受けます)。 方針としてはプレロールドの経歴を準備してその中から選択してもらう方向にしよと思います。

2) が今回の主眼でルールブック全体に記載されている内容を綺麗にまとめられないだろうか、具体的にはキャラクター作成のところにある能力と属性値の情報、職業データ、カルトの初期データ、戦闘の章にある武器データ、魔術の章にあるカルトの技能と精霊呪文とルーン呪文の説明など必要な情報がかなり多いのです。

3) この部分の RQG のルールは RQ2 完全互換で RQ2 Player はこのあたり慣れたものなので、時間がかかるというのは完全に盲点でした。早見表とか作っても割り振りに試行錯誤/最適化したりで時間かかるみたい。実際には典型的な割り振りって、いくつかパターンがあるので、過去に自分が作ったり、他の人が作っていたデータを参考にすると何とかなりそう。

4) 持ち物とか技能名とかは翻訳しておいた方が良い感じです。慣れると英語でも問題ないと思うのですが、少なくとも1回目は日本語があった方が迷いがないです。

○作成物

色々と作っては壊しした結果、とりあえず以下のような4枚のテンプレートを使う方式になりました。
最初は「サーター出身のオーランス信者の戦士」のようは1枚のテンプレートを試していたのですが、これだとグローランサの多様性に十分対応できず悩ましいのです(オーランス信者だけで10枚くらいテンプレートが欲しくなってしまった)。

1枚目: 能力値テンプレート


上記のように(クリック少し拡大します)、能力値および、それに関連して計算される属性値を提供するテンプレートです。過去に自由割り振りで作成したキャラクターを参考に14種類を準備しました。もっと増やせるのですがあまり増やすと選ぶのが大変になるかと思って比較的尖ったやつを中心に取捨選択しました。

時間があればこの1枚目は使用せずに、サイコロを振ったり自由割り振りで作成することも可能です。このように全部のテンプレートを使用しなくても、時間に応じて一部だけ本来のやり方に戻せるのが4枚テンプレート形式の良い所です。

この1枚目の能力値テンプレートの右側に簡易キャララクター作成方式の全手順を書いてあります。GMに相談したりルールブック参照せずに、各自で作成が進められるようにしています。

2枚目: 出身地テンプレート


各出身地ごとのデータを集め、簡単な説明を加えたテンプレートです。データとしてはルールブックの出身地別のデータの情報を1ページにまとめなおして参照しやすくしたものです。基本ルールブックに加えてルナー属領地各国および、タラスター、シーリーラの出身地テンプレートを自作してみまし、全部で13枚作成しました。

右側にはキャラクターのプレロールドの経歴データを載せています。同じ出身地でも経歴部分が異なった出身地テンプレートを複数作ることも可能ですが、現在はサンプルということで各地域ごとに1枚づつしか準備できていません。時間が取れるなら、この作成済みの経歴は使わずルールブックの経歴作成ルールでロールするのも可能です。

3枚目: 職業テンプレート


これはルールブックにある職業データをそのまま、1ページにまとめて読みやすく整形しただけのもです。日本語になってるのと、読み易くレイアウトされているくらいが利点です。基本ルールブックの職業20種類(うち戦士は4分割)を作成しました。

右側部分には主要な武器のデータをまとめたものを記載しました。ルールブックの戦闘の章のあちこちに散らばっている情報を探さなくても済みます。意外と重要です。

4枚目: カルト・テンプレート


カルトの初期データとカルトで取得可能な呪文のデータと説明の要約を記載しています。初期データは簡易版ではなくカルトのフルライトアップを元に調整してあります。本当は神様ごとに簡単な解説を入れたかったのですが、スペースの都合で諦めました。初心者の人にはタイトル「雷鳴轟かせるもの」、「貌無き盗賊の王」、「混沌殺し」、「夜の息子」などで何となく分ってもらう感じです。

特に選択可能な精霊呪文とルーン呪文の要約を載せてあるのが重要で、作成時の呪文の選択が素早くでき、ゲーム中も呪文の早見表として利用できます。スペースの都合から呪文の説明はかなり省略していますし、カルトによっては全呪文ではなく冒険でよく使う呪文のみに絞らざる得ませんでした。あとギフト(加護)とギアス(誓約)はさずがに同じ1枚には入らなかったので、一部のカルトは5枚目が存在しています。

基本ルールブックにあるだけでなく Gods of Glorantha のドラフトデータを使ってルナー・カルトの分も作成しましたが、さすがに時間が足りなかったので、魔道カルトやシャーマン・カルトやトリックスターなどのあまり初心者向けではないカルトを省略して26カルト分準備しました。

○結果

最後の家伝の品以外では、ほとんどダイスを振ったりルールブックをめくったりすることなく、フルスクラッチと同様のキャラクターが作成できるようになりました(家伝の品のロールは楽しみのためにあえて残しました。逆に拡張してもっと色々なアイテムが入手できると面白そう...)

作成時間も自分で試した感じでは30分くらいで行けそうな感じでした。実際には先週東京で行われたグレッグ追悼コンベンション(順延版)でプレイヤー参加してくれた人たにち試してもらった所、30分では無理で1時間ちょっとかかった感じです。それでも大幅短縮なのでまあまあ満足。

○今後の課題

さらに短縮とか考えたいのですが、計算とキャラクターシートの記入に時間を取られるので、コンピューターを使ったキャラクターシートの自動作成とかやらないと難しそうです。(自分で試した時に早かったのはキャラクターシートのどこにどの情報を書き込むか事前に分っていたからみたいです)。

コンベンション用限定ならば、ここまで選択自由度と基本ルールブック互換性は考えなくても良さそうなので、1枚テンプレート(半完成済みキャラクターシート)をベースに仕上げてもらう方式にした方が、短縮という意味では良さそうです(その空いた時間で簡易経歴を作成するとかコダワル)。

まずは現状で色々な人に使ってもらって意見を聞きたいところです。是非使ってみたいとか、中身詳しく見たいなどありましたら、ツィッター(Twitter)アカウント宛てにでも連絡ください。








2018年9月29日

RuneQuest Glorantha スキル計算用紙

ルーンクエスト・グローランサ(RuneQuest: Roleplaying in Glorantha)のキャラクター作成を何度かやっているうちに欲しくなって「スキル計算用紙」を作成してみました。

手元にコンピュターがあれば表計算ソフトとかを使って作るのが早いのですが、キャラクター作成で各自ノートパソコンを持ち寄るのも難しいので、少しでも簡単にならないかと試行錯誤中です。

使い方は説明しなくてもわかると思いますが、一点、対になるルーンについては一緒の項目にしていますので左のルーンはマイナスの、右のルーンについてはプラスの修正として記載すると便利です。



GM Pack についてきた新キャラクターシートの技能全てを記載すると、A4用紙には納まらなかったのでB4サイズになっています。RQG のキャラクター作成する機会があれば以下から PDF 版をダウンロードして使ってみて感想を教えてください。

ダウンロード ⇒ RQG_skill_calc_sheet_20181003.pdf

2018年9月22日

RuneQuest Glorantha 戦闘処理表

ルーンクエスト・グローランサ(RuneQuest: Roleplaying in Glorantha)が発売になってしばらくたちます。昨日ハードカーバ版も発売になり、先週にはゲームマスター・パック(GMスクリーン、地域設定、シナリオのセット)の PDF版も発売になっています。

たいへん良いできなのですが、細部には色々と問題が残っており、ゲームマスターパックでも修正されていないようです。

●攻撃と受け流し

特に「攻撃」と「受け流し」の戦闘処理の少し複雑な部分のルールについて、ルール本文に書かれている内容と表に書かれている内容と異差があるのが困りものです。 最終的に公式に正誤表(エラータ)待ちということになりますが、現時点でどう処理するのが良いかということで、個人的に整理したのが以下の表(クリックで拡大します)になります。

前回の戦闘ルール解説で説明した内容と基本的に同じです。簡単にまとめると
  1. 攻撃と受け流しが同じ成功レベルならば、通常成功vs通常成功として扱う。それ以外は成功レベルによって攻撃ダメージが決まる。
  2. どのレベルでも受け流しに成功してさえいれば、受けた武器のHP分だけダメージを減らすことができる。その際に成功レベルの差によって武器がどれだけ傷つくか決まる。
  3. 受け流しの成功レベルが攻撃の成功を上まわっていれば、防御側は一切ダメージを受けず、逆に攻撃側の武器が傷つく可能性がある(成功レベルの差によって決まる)
となっています。

●攻撃と回避

「攻撃」と「回避」の方の表も整理してみました。こちらは回避側が上回れば回避成功という単純なルールの方に合わせたのですが、「回避ファンブル表」は存在しないので、その部分も修正しています。


●印刷用

印刷用の PDF版も作成しましたので、実際のセッションで使用する場合はこっちを印刷してご利用ください。⇒ (RQG_Battle_20180922.pdf)
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何か気付いた点などありましたら、ご指摘いただけると助かります。

2018年7月10日

RQG 戦闘ルール解説 (暫定版) 第4回 その他

今回が一応最終回です。よく使われると思われる戦闘オプションおよび、ダメージの処理について解説します。

●100%を超える対抗スキル

武器スキルや回避スキルなどが 100% を超えていても 5%(96-00)は必ず失敗なので成功率は 95% にしかなりません。その代りに 100% を超えている分を対抗する相手のスキルへのペナルティにすることができます。この場合に増強や魔術や状況修正などによりスキルが増えている分も含みます。

例えば修正後の攻撃側の武器スキルが 133% の場合には相手の受け流しや回避のスキルに -33% のペナルティを適用できます。逆に受け流し側のスキルが 148% ある場合には攻撃側の武器スキルに -48% のペナルティがを与えることができます。

双方のスキルが 100% を超えている場合には大きい方のスキルの 100% を超えている部分を両方のスキルから引きます。例えば攻撃側が 142% 防御側が 105% の場合は両方から 42% を引いて 100% 対 63% として判定します。

●100%を超える攻撃スキルの分割

攻撃側の近接武器スキルが 100%以上の場合にはスキルを分割することもできます。この場合は魔術や状況修正は含めずに素のスキルで 100%以上の必要があります。スキルの分割はそれぞれが 50%以上であれば、どのように分割しても構いません。例えば 140% のスキルを持っている場合 70%と70% でもいいし 90%と50% にすることもできます。1回目の攻撃は通常の武器攻撃 SR に実行し、2回目の攻撃にはさらに同じ武器攻撃 SR を足したます。例えば元が SR 5 の武器ならば、SR 5 と SR 10 に攻撃判定します。2回目の攻撃が SR 12 以内に納まらなければ分割はできません。

各攻撃に 50% 以上を割り振ること、全体が SR 12 までに納まることの条件を満たすことができれば 3回以上に分割することもできます。例えば武器スキル 150% で SR 4 の武器を使用しているならば、各 50% で SR 4、SR 8、SR 12 と 3回攻撃することができます。

RQ2/RQ3 ではスキルの分割はあくまでも二人以上の敵を相手にしている場合のみで同じ敵に対してスキルを分割することはできませんでしたが、RQG ではこの制限は無くなり、同じ敵に対して 2回攻撃することも可能なようです。あと RQG では受け流しや回避については分割しなくても複数回実行することができます。

●二刀流(Two-Weapon)

初回にも説明したように両手に別々の武器を持っている場合には、その両方を攻撃にも受け流しにも使うことができます。RQ2/RQ3 では両方の武器で攻撃した場合には受け流し(パリィ)ができませんでしたが、この制限は無くなったとのことで、複数回の攻撃を行なったとしても通常どおり受け流しや回避を実行することができます。

2回目の攻撃は 1回目の武器攻撃 SRに 2回目の武器攻撃の SR を加算した SR に解決します。もし加算した結果が 12 SR を超えていた場合には 2回目の攻撃は実行できません。十分に素早やければ上記のスキル分割と組み合わせて 3回以上の攻撃を行なうことも論理的には可能です。

キャラクター作成時に特に違う決定をしない限り、全てのキャラクターは右利です(グローランサには左利きはドラゴンの血を引く者という設定がある)。右手用と左手用の武器スキルは別のものとして扱います。利腕でない方の手は基本成功率 05% から成長させなければなりませんが、同じカテゴリーの武器ならば半分で流用できるというルールが適用できるため、左手スキルより右手スキルの半分の方が大きければ、そちらで判定することもできます。

[検討] 盾や身体武器

盾には同じ戦闘ラウンドに攻撃と受け流しのどちらかしかできないという個別ルールがあるため、盾を使った二刀流は制限を受けます。剣と剣なら 2回攻撃できるが剣と盾は 1回しか攻撃できないというのは中途半端な感じがしますが、現在のところそういう解釈のようです。

二刀流においてキックや噛みつきなどの身体武器がどのような扱いになるのかは不明です。

●無防備な敵

相手がこちらに気付いていない場合や、背後から攻撃する場合、気付いていても移動できないなどの理由により十分な対応ができない場合には、攻撃に +40% のボナースがあります。

気絶していたり縛られているなど相手が完全に無力化されている場合には、攻撃成功率が 95% になります(96-00以外で成功)。この場合でもファンブルは通常のスキル値に依存して発生します。

●転倒

攻撃対象が転倒している場合には攻撃スキルに +40% の修正を受けます。

逆に自分が転倒している場合には攻撃スキルは半分になり、攻撃に成功してもダメージ・ボーナスを加算することはできません。命中部位は 1D10 で決定します。転倒状態では回避はできませんが受け流しは通常どおり可能です。

●ノックバック

RQG には RQ3 のような自動ノックバックのルールは存在していませんが、戦闘中に故意に相手を押してノックバックさせることはできます。ノックバックの試みは宣言フェイズに予め宣言しておかねばならず、その戦闘ラウンド中はそれ以外には防御しかできません。

ノックバックは常に SR 12 に解決します。まず相手を押すのに使用する盾や武器などのスキルをロールします。命中したらダメージを与える代りに自分の STR + SIZ で相手の DEX + SIZ と対抗ロールをします。

対抗ロールに成功したら相手は 1D3メートルノックバックされます。対抗ロールにスペシャル成功したら相手は転倒(ノックダウン)します。クリティカル成功ならばさらに持っている武器などを落としてしまいます。

対抗ロールに失敗した場合は DEX×5 をロールしなければならず、失敗した場合には自分が転倒します。もし転倒しなかった場合には自分が 1D3 メートルノックバックされます。

●部位狙い(Aimed Blow)

敵の身体のうち特定の命中部位を狙って攻撃したい場合に使用します。宣言フェイズに予め攻撃したい部位を宣言しておく必要があり、そのラウンドには他には防御しかできません。

部位狙いは常に SR 12 に解決します。通常のスキルの半分で攻撃判定をして成功した場合には宣言した命中部位に当たったことになります。もちろん相手はそれに対して防御を試みることができます。もし複数の人物が部位狙いを宣言した場合には SR 12 に本来の攻撃が早い順に解決します。

●近接戦闘中への射撃

敵味方が入り乱れて近接戦闘を行なっている場所へ射撃をした場合、間違って味方を誤射する可能性があります。狙った対象に当たる確率は、通常の成功率を近接戦闘中の人数で割った値になります。その値を出せなかったものの本来の命中率以下をロールした場合には、その場にいる者の中からランダムに命中します(本来の目標に命中する可能性もあります)。スペシャル命中やクリティカル命中の確率は割り算をした修正後の値から計算します。

●固まっている集団への射撃

敵が多数近くに固まっており、その集団の中の誰に命中しても良い場合に武器スキルに集団の人数一人につき +5% ボーナスを得ます。もし命中した場合には誰に当たったかはランダムに決めます。ただしスペシャル命中およびクリティカル命中の確率はボーナスを含めない本来の値で計算します。

●接敵状態からの離脱(Disengage)

RQG では接敵状態になったら、それ以上移動することができません。移動したい場合には、まず最初に離脱を行なう必要があります。離脱には以下のような方法があります。

撤退(Retreating)

1戦闘ラウンドを費やして相手との距離を開きます。これを行なうには宣言フェイズそう宣言する必要があり、そのラウンドは他には防御しかできません。その後、次のラウンドから通常に移動できます。

騎兵が歩兵から撤退する場合には丸1ラウンド消費する必要がなく、6ストラインク使えば撤退できます。逆に歩兵は騎兵から通常の方法では撤退できません。

[検討] 撤退後の距離

撤退を行なった場合に相手との距離がどうなっているのか明確な記述がありません。次のラウンドから移動を開始できるとなっていることより近接武器の間合いの外、つまり 1移動単位(3メートル)ほど相手と離れているとするのが妥当ではないかと思います。

ノックバック(Knockback)

上記の故意のノックバックのルールを使用して離脱をすることも可能です。ノックバックに成功して相手を間合いの外に押し出すか、転倒させれば次のラウンドから普通に移動できます。

逃走(Flee)

このラウンドにすぐに移動開始したい場合には、いきなり背中を見せて逃げ出すこともできます。その場合はストラインク・ランクに関係なく相手は無条件で 1回だけ攻撃することができます。この攻撃に対しては受け流しも回避もできません。

●身体へダメージの影響

全身ヒットポイント(Total Hit Point)

全身ヒット・ポイントが 1 か 2 になるとその時点で気絶します。全身ヒット・ポイントが 0 以下になると、そのラウンドの最後に死亡します。

ラウンドの最後というのが微妙な感じですが、これは昔からのルールでラウンド中の行動は多かれ少なかれ同時進行なので、同じラウンドに打撃と回復魔術の宣言が行なわれた場合には両方の結果を適用して生死を決定するというものです。ルーンクエストの回復呪文は発動が遅くラウンドの後の方になることが多いので助かります。

部位HPを超えるダメージ

の HP がゼロ以下になると転倒し、そのラウンドは何もできません。次のラウンド以降は転倒したまま戦うことができます。

の HP がゼロ以下になると両脚が使用できなくなり転倒し、そのラウンドは何もできません。次のラウンド以降は転倒したまま戦うことができます。10分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

の HP がゼロ以下になると転倒し、血を吐く以外に何もできなくなります。自分自身を治癒することすらできません(注:ルーン呪文なら可能ではないかと思います)。10分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

の HP がゼロ以下になるとその腕が使用不能になり、その手に持っている物を落としますが、転倒はせず残りの腕で戦い続けることができます。

の HP がゼロ以下になると気絶します。5分以内に応急手当てもしくは治癒(ヒール) 2 以上の呪文で治療されなければ出血により死亡します。

部位HPの 2倍を超えるダメージ

に一撃で部位 HP の 2倍を超えるダメージを受けるた場合、全身ヒットポイントへは部位の 2倍までしか影響しません。複数の打撃の場合にはそれぞれの打撃ごとに最大 2倍まで全身ヒットポイントへ影響します。一撃で2倍を超えるダメージを受けたら、その部位は使用不能になりショックで治療されるまで戦闘できなくなります。自分自身に治癒呪文をかけることは可能です。

に部位の HP の 2倍を超えるダメージを受けた場合には意識を失ない、治癒か応急手当てを受けるまで、毎ラウンド 1 HP を失ない続けます。

部位HPの 3倍を超えるダメージ

に一撃で部位 HP の 3倍を超えるダメージを受けた場合、同じく全身ヒットポイントへは部位の 2倍までしか影響しませんが、その部位は切断されるか不具化されます(下記参照)。そしてそのショックにより気を失ないます。

に部位の HP の 3倍を超えるダメージを受けると即死します。

[検討] 一撃

腕や脚へのダメージに対しては「一撃」で部位の 2倍、3倍を受けた場合となっているのに対して、胸、腹、頭に対しては特に「一撃」でという限定は明記されていません。RQ2 においても同じ記述になっていました。私はルールの対称性から胸や腹や頭も一撃でとして運用していますが、それらの命中部位は累積で 2倍、3倍のダメージを受けた場合と解釈している人たちもいます。明確ではありません。

切断(Servered)

剣などの切り裂き武器で四肢に対して一撃で部位 HP の 3倍以上のダメージを受けた場合にはその部位が切断されます。切断された部位を再接続するためには 10分以内に治癒(ヒール) 6 もしくは同等以上の魔術をかける必要があります。間に合わなければ、その部位は使用不能になり HP 1 を永久に失ないます。治すためにはルーン呪文の四肢再生(リグロウ・リム)のような特殊な魔術が必要になります。

不具化(Maimed)

切り裂き武器以外で四肢に対して一撃で部位 HP の 3倍以上のダメージを受けた場合にはその部位は不具化されます。不具化された部位を治療するには 10分以内にその部位の HP を完全回復させる必要があります。間に合わなければ、その部位は使用不能になり治すためにはルーン呪文の四肢再生(リグロウ・リム)のような特殊な魔術が必要になります。

●応急手当て

応急手当てには出血を止めるためのものと、傷を治療して HP を回復させるためのものがあります。

出血を止めるための応急手当てには 1戦闘ラウンド必要で失敗した場合には次の戦闘ラウンドに再度試みることができます。

傷を治療して HP を回復させるための応急手当てには 5戦闘ラウンドかかり、5ラウンドの目の最後にスキル判定を行ないます。通常成功ならば 1D3、スペシャル成功なら 2D3、クリティカル成功なら 1D3+3 ダメージを回復することができますが、ファンブルだと逆に 1D3ダメージが追加されます。傷を治すための応急手当ては受けた傷ごとに 1回しかできず、失敗したとしても再度試みることはできません。

●武器へのダメージ

武器がダメージを受けたとしても、武器の HP がプラスならば通常どおり攻撃に使うことができます。受け流しに使用した場合は武器の HP が減った分だけ止められるダメージが減少します。この状態ならば戦場でも適切な製作スキルを使って修理が可能です。

武器の HP がゼロ以下になると、それ以上受け流しに使用できなくなります。攻撃に使用するためには武器スキルの半分で判定して成功しなければなりません。この状態でもまだ修復(リペア)呪文を使えば修理可能ですし、適切な道具と時間をかければ製作スキルでも修理できます。しかし修理したとしても最大 HP が 1 減少し、武器にかけてあった呪化(エンチャント)などは失なわれます。

累積で武器の HP の2倍以上のダメージを受けると(HP がマイナス最大値)になると、完全に破壊され修理不能になります。

[終りに] Maximum Game Fan

グローランサのゲームにおいては Maximum Game Fan (MGF) という標語があります。これは世界設定やルールを適用するに当たって何が最も面白いかを考えて一番面白いと思うものを採用せよという考え方です。RuneQuest Glorantha のルールには一部に一貫していなくて悩ましい部分がありますが、考え方によっては複数のルールが提示されており、遊ぶ人が自由に選択可能とも言えます。結局自分たちが一番面白いと思うルールを採用すれば良いのかもしれません。この解説がその一助にでもなれば幸いです。

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以上で戦闘ルール解説(暫定版)は終りです。全ての戦闘オプションを紹介はできていないので騎乗戦闘や戦車(チャリオット)、ファランクス陣形や組み打ち(グラップル)など様々な選択肢については是非ルールブックを参照してください。

RQG 戦闘ルール解説 (暫定版) 第3回 射撃と魔術

戦闘ルール解説第3回です。今回は戦闘における、遠隔武器、呪文、精霊戦闘のルールについて解説します。

●遠隔武器(Missile Weapon)

遠隔武器には手に持って投げる投擲武器(Thrown Weapon)と、道具を使って矢弾を飛ばす発射武器(Projectile Weapon)があります。どちらも準備さえできていれば DEX SR に使用できます(SIZ SR や武器の長さによる SR を加算する必要はありません)。

遠隔武器の準備

武器の種類によって装填にかかる時間が違いします。弓などどの速度(Rate)が S/MR となっている武器は準備(矢を番えるのに)に 5 SR かかります。SR に余裕があれば 1戦闘ラウンド中に複数回発射することも可能です。

速度が 1/MR となっている武器は準備に時間がかかるため 1ラウンドに 1回しか使用できません。戦闘ラウンドの残りの時間は次の矢弾を準備するのに専念しているとみなされ、防御しかできません。

クロスボウなどの速度が 1/2R や 1/3R などとなっている武器は、2ラウンドに 1回や 3ラウンドにに 1回しか発射できません。残りの時間は次の矢弾を準備しているのに専念しているとみなされ、防御しかできません。

射程

投擲武器の射程は一律20メートルで、それを超えると効果がありません。

射撃武器の射程は武器ごとに異なっており、「武器表」に記載されている有効距離まではスキル修正無しで攻撃できます。中距離(有効距離の 1.5倍)までならばスキルの 1/2 で判定します。長距離(有効距離の 2倍)までならばスキルの 1/4 で判定します。有効距離の 2倍を超えたら効果がありません。

スリング類には逆の最短射程もあります。スリングで 5メートル、スタッフ・スリングで 10メートル以内の敵は近過ぎるための目標にすることができません。

命中判定

遠隔武器もそれぞれの武器スキルを使用して判定します。RQ3 と違って RQG には汎用の投擲スキルは存在しないため、投擲武器の場合も武器ごとのダガー投げスキルや石投げスキルを使用する必要があります。

ダメージ・ボーナス

投擲武器のダメージには STR と SIZ によるダメージ・ボーナスの半分(端数切上げ)だけが加算されます。発射武器のダメージにはダメージ・ボーナスは加算されません。

●遠隔攻撃と移動

移動や回避をしながら並行して遠隔攻撃をすることはできません。移動した後に射撃することは可能です(SR を別に加算すればOK)。馬などに乗っている場合は例外で、移動しながら遠隔攻撃をすることができます(その場合は騎乗スキルによって武器スキルが制限を受けます)。

逆に目標が移動している場合、その移動が真っすぐ近付いて来ている場合や、離れていっている場合には修正がありませんが、射線を横切るように移動している場合には、武器スキルの半分で命中判定しなければなりません。

●遠隔攻撃に対する防御

ジャベリ(投げ槍)やダガー投げのような投擲武器に対しては、その攻撃に気付いてさえいれば通常どおり、受か流しや回避を試みることができます。

弓やスリングのような射撃武器に対しては受け流しは試みることができません。

盾を持っている場合は盾を構えることにより遠隔武器に対する防御を試みることができます。これを行なうには宣言フェイズに予めどの部位を守るか宣言しておかねばならず、そのラウンドは盾による受け流しは実行できません。守れる部位は盾の大きさによって異なっており、小型盾ならば盾を持つ腕のみ、中型盾ならば盾を持つ腕以外にもう 1部位、大型盾ならば盾を持つ腕以外に連続する 2部位を守ることができます。命中部位が盾を構えている部位になった場合には攻撃のダメージから盾の現在の HP を引くことができます。

同様に何かの障害物の後ろにいる場合には、障害物に隠れている部位に命中した場合にはかわりに障害物に命中したとみなされます。ただしクリティカ命中の場合には、必ず身体に命中したと判定され隠れていない部分が出るまで、命中部位ロールを振り直します。

弓やスリングような射撃武器を回避するためには、そのラウンドをそれに専念する必要があります。これを行なうには宣言フェイズに予め宣言しておく必要があり、そのラウンドは他には半分の距離を移動する以外は何もできません。

[検討] 避けながらの移動

p.214 に避け(evade)をしながらの移動というルールがあり、そうすることで相手の命中が半分になるというものです。これは回避スキルが無かった RQ2 のルールの名残りであり RQG には回避スキルがあるため、このルールは無視して普通に回避をしながらの移動として処理するのが適切だと思われます。

●精霊呪文(Spirit Magic Spell)

精霊呪文を使用するためには宣言フェイズにおいて呪文の種類と対象を宣言しなければなりません。

呪文のSR

呪文の準備には、少なくとも片手を空ける、焦点具(フォーカス)を準備する、心に呪文を思い受かべるなの手順がかかるため 5 SR かかります。もし焦点具がない場合には集中に時間がかかるため、準備には丸 1戦闘ラウンドを使用する必要があります。

前の戦闘ラウンドまでに呪文の準備ができていれば DEX SR に使用するマジック・ポイント(MP)を加算したストライク・ランクに発動します。この MP には呪文の使用自体のものと、防御呪文を抜くために増強(ブースト)に使用したものとの両方が加算されます。呪文の詠唱中にダメージを受けるなどして集中が途切れた場合には呪文の使用に失敗します。

呪文の判定

D100で POW×5 以下をロールすれば精霊呪文の投射に成功します。もし失敗した場合には呪文は効果を発揮しませんが MP も消費しません。

さらに対象が自発的に呪文を受け入れるのでない限り POW対POW で対象の抵抗を打ち破らなければなりません。MP対MP ではなく POW対POW になっている点が RQ3 との大きな違いです。RQG では MP が減っても呪文に対する防御力が低下したりはしません。

●ルーン呪文(Rune Magic Spell)

ルーン呪文を使用するためには宣言フェイズにおいて呪文の種類と対象を宣言しなければなりません。

呪文のSR

ルーン呪文は精霊呪文と違って神に歎願するだけ、もしくは心に願いを思い浮かべるだけで発動するので準備などは必要なく、必ず 1 SR で発動します。もし呪文の効果を高めるためや、防御魔術を抜くための増強(ブースト)にマジック・ポイントを費やした場合には、その分が SR に加算されます。

呪文の判定

ルーン呪文の発動はその呪文に対応するルーン親和性(Rune Affinity)の中からどれかを選んで判定します。もし失敗した場合には呪文の効果は発揮しませんが、ルーンポイントも消費しません。ただし呪文に MP を注ぎ込んでいた場合には 1 MPだけ消費します。もしクリティカル成功した場合にはルーンポイントを消費することなく呪文が効果を発揮します。逆にファンブルした場合には呪文の効果が発揮されないにもかかわらずルーンポイントを消費します。

さらに対象が自発的に呪文を受け入れるのでない限り POW対POW で対象の抵抗を打ち破らなければなりません。

●魔道呪文(Sorcery Spell)

魔道呪文の使用は複雑で他の呪文よりも時間がかかります。魔道呪文を使用するためには、まず宣言フェイズに呪文の種類、操作の内容、呪文の対象を宣言しなければなりません。

呪文のルーンとテクニック

魔道呪文を使用するためにはその呪文に必要なルーンやテクニック(命令、結合、分離、召喚、退去、消費)を全てマスターしている必要があり、それぞれにつき 1 MP が必要になります。対応するルーンやテックニックを持っていない場合には関連するルーンやテクニックを流用することもできますが、その場合には 2 MP が必要になります。

呪文の操作

魔道呪文の基本の強度(Intensity)は 1 であり、操作によって強度を 1 高めるごとに、効果(Strength)、距離(Range)、持続時間(Duration)のいずれかを 1 高めることができます。操作ごと 1MP を消費する必要があり、ルーンやテクニックのどちらかを流用している場合には操作の MP が 2倍、両方を流用している場合には 4倍の MP が必要になります。操作の回数は FreeINT (術者の INT から覚えている精霊呪文と魔道呪文の数を引いた数)までに制限されます。

操作効果距離時間
0 1D3 10m 5分
1 1D3 20m 10分
2 1D3 30m 20分
3 1D6 50m 40分
4 1D6 80m 80分
5 1D6 130m 160分
6 1D6 210m 6時間
7 2D6 340m 12時間
8 2D6 550m 1日
9 2D6 1000m 2日

魔道呪文の操作限界を超えるために、操作済みの呪文を刻んだアイテムを作成しておくことができます。作成した魔道師のみが使用することができ使用時にさらに操作を上乗せできます。これを作成するためには基本の POW 1 に加えて操作ごとに POW 1 を永久消費する必要があります。

呪文のSR

魔道呪文の使用には最低でも 2戦闘ラウンド必要で、2ラウンド目の DEX SR に呪文の操作に使用した MP ごとに 2 SR を足した SR に発動します。加算するのは操作に使用した MP 分だけでルーンやテックニックに使用した基本の MP 分は SR には加算されません。防御魔術を抜くための増強(ブースト)にマジック・ポイントを費やした場合には、その分も 1 MP につき 2 SR が加算されます。

[検討] 魔道呪文の準備

魔道呪文にも精霊呪文と同じく片手を空けて呪文に集中するために 5 SR が必要というルールがあります。しかしながら魔道呪文は元から最低 2ラウンド必要で最初のラウンドは準備に専念するだけなので、この 5 SR を足しても足さなくても影響がありません。このため準備のルールに意味がなくなっています。ただ魔道呪文を使った時は片手を空けてあるので、武器に持ち換えるには準備の 5 SR が必要という点は覚えておく必要がありそうです。

呪文の判定

魔道呪文の使用は呪文ごとの個別スキルになっており、呪文スキルによる判定が必要です。呪文スキルに対して季節、週、曜日、場所、要素(コンポーネント)などに様々な修正が加算されます。条件によって非常に使い易くなったり困難になったりするのが魔道呪文の特徴です。判定に失敗した場合は呪文は効果を発揮せず操作などによらず 1 MPだけ消費します。クリティカル成功した場合には呪文は効果を発揮し、1 MP 消費で済みます。逆に呪文にファンブルした場合には呪文の効果が発揮されないにもかかわらず使用した MP 全てが失われます。

さらに対象が自発的に呪文を受け入れるのでない限り POW対POW で対象の抵抗を打ち破らなければなりません。

●精霊戦闘(Spirit Combat)

精霊戦闘を開始する側は霊体状態でなければならず肉体やクリスタルに入ったままで精霊戦闘を開始することはできません。また精霊が肉体を持つ存在を攻撃するためには事前に物質界に顕現(visible)している必要があります。

精霊戦闘中は戦っている相手の精霊とコミュニケーションすることができます。精霊会話(Spiritspeech)スキルがあれば会話ができますし、無くても様々な方法で簡単な意志を伝え合うことができます。

精霊戦闘の解決

精霊戦闘はそのラウンドに何か他の行動をしたどうかにかかわらず、常に SR 12 に解決し、戦闘の参加者は互いに精霊戦闘スキルを振って対立ロール(Opposed Roll)によって判定します。

片方のみが成功した場合や、両方が成功したものの片側が相手より高い成功レベルだった場合にはそちらが勝利し、相手に精霊戦闘ダメージを与えます。

両方が成功し同じ成功レベルだった場合には、双方が相手に対して精霊戦闘ダメージを与えることができます。

双方が失敗だった場合にはどちらも相手にダメージを与えることができません。

精霊戦闘ダメージ

精霊戦闘のダメージは POW + CHA によって決定され、ダメージは HP ではなく相手のマジック・ポイント(MP)に適用されます。相手に呪文やマジック・アイテムなどによる精霊アーマーがある場合には、その分だけダメージを減らすことができます。

POW+CHAダメージ
2-121D3
13-241D6
25-321D6+1
33-401D6+3
41-562D6+3
+16ごとに+1D6+1

精霊戦闘ダメージに、シャーマン助手ならば +1、シャーマンならば +3 のボーナスを得ることができます。

精霊戦闘スペシャル成功

精霊戦闘スキルにスペシャル成功した場合には、精霊戦闘ダメージが 2倍になります。さらに相手が肉体を持つ存在の場合は精霊戦闘ダメージ 1D6 につき、物理ダメージ 1 ポイントをランダムな命中部位に与えることができます。

精霊戦闘クリティカル成功

精霊戦闘スキルにクリティカル成功した場合には、精霊戦闘ダメージが 2倍になり、相手の精霊アーマーを無視してダメージを与えることができます。さらに相手が肉体を持つ存在の場合には精霊戦闘ダメージ 1D6 につき、物理ダメージ 1 ポイントをランダムな命中部位に与えることができます。

精霊戦闘ファンブル

精霊戦闘スキルにファンブルした場合は相手にダメージを与えられないだけでなく「精霊戦闘ファンブル表」でロールしなければなりません。

精霊戦闘中の他の行動

精霊戦闘中に呪文を使用したり、物理攻撃などの他の行動をしたい場合には集中が必要なため、事前に知性チェック(INT×5)に成功する必要があります。

呪文を知っている精霊は精霊戦闘中にも集中チェック無して呪文を使用することができ、(精霊は DEX を持たないので)その呪文は SR 1 に呪文に使用する MP を加えた SR に発動します。

精霊に対する魔術での攻撃

精霊に対しては通常の武器では効果がありませんが、呪文や魔術のかかった武器ならば効果があります。

破裂(Disruption)や稲妻(Lightning)のようなダメージ呪文は精霊のマジック・ポイント(MP)にダメージを与えることができます。

呪鍛した鉄やルーン金属の武器を使うことで普通に精霊を攻撃することができます。必中の剣(True Sword)のようなルーン呪文のかかった武器で攻撃した場合、呪文によって増えたダメージの分だけが精霊に対して効果があります。どちらも精霊の MP を減少させます。精霊呪文のかかった武器や、呪鍛されていないルーン金属の武器では精霊に効きません。

精霊は物理攻撃を受けた時に、精霊戦闘スキルによる対抗ロールで防御することができます。

[検討] 物理攻撃への対抗ロール

物理攻撃に対して精霊戦闘スキルでどのように防御するのか具体的なルールが記載されていません。精霊戦闘スキルを回避スキルのように使って精霊側が成功レベルで同じか上回った場合にはダメージが出ないとするのが適切かもしれません。

精霊戦闘の終了

どちらかが離脱するか、マジック・ポイントがゼロになった場合に精霊戦闘は終了します。もしくは交渉により双方が精霊戦闘を終了することに同意した場合にも精霊戦闘は終了します。

精霊のマジック・ポイントがゼロになったら、その精霊の知っている精霊呪文を教えるように強制することができます。またシャーマンはその精霊を制御下におくこともできます。制御しない場合は精霊は精霊界へと撤退します。

肉体を持つ存在のマジック・ポイントがゼロになったら意識を失ない。MP が 1に回復するまでは目覚めず、その間は憑依に対して無防備な状態になります。

精霊戦闘からの離脱

精霊戦闘からの離脱を試みるには二つの選択肢があります。

  1. 精霊ダンス: 戦闘ラウンドごとに 1回、精霊ダンス(Spirit Dance)を試みることができ、スキルに成功したらば精霊戦闘から離脱できます。精霊ダンスをしたラウンドは精霊戦闘を行なうことができません。
  2. 精霊戦闘: 宣言フェイズにおいて予め宣言することにより、精霊戦闘に勝利した時に、相手にダメージを与える代りに戦闘から離脱することができます。

どちらの場合でも精霊戦闘からの離脱が発生すると相手の精霊は精霊界に強制的に撤退させられます。もし精霊が戦闘を続けたい場合には、1戦闘ラウンドかけて物質界に顕現(visible)しなおさなければなりません。

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第3回は以上です。次回はダメージや戦闘オプションについて解説します。

RQG 戦闘ルール解説 (暫定版) 第2回 攻撃と防御

第2回はメインの攻撃、受け流し、回避について説明します。RQG では RQ2 にあった防御値(Defense)のルールが存在せず、RQ3 と同じ回避技能が導入されています。受け流し(パリィ)のルールが RQ2/RQ3 とは大きく違っているので要注意です。

●近接攻撃(Melee Attack)

近接武器による攻撃は「DEX SR + SIZ SR + 武器の長さSR」に判定します。武器を準備したり、不意打ちを受けたりした場合にはその分が SR に加算されます。攻撃は使用している武器のスキルで判定します。スキルは RQ2/RQ3 と違って攻撃スキルと受け流しスキルに分かれていません。対応する武器スキルを持っていない場合には同じカテゴリの武器スキルの半分で代用できます。例えばシミタースキルを成長させていなくても、同じ片手剣カテゴリーのブロードソードスキルがあればその半分でシミターを使用できます。

攻撃成功

D100 で武器スキル以下を出したら攻撃成功です。攻撃に成功したら武器のダメージを振り、キャラクターの STR や SIZ によるダメージ・ボーナスがあればそれも振って加算します。D20 を振って対象の命中部位を決めてダメージを適用します。対象がその部位の鎧をつけていた場合には、ダメージから鎧のアーマー・ポイント(AP)の分が引かれます。攻撃に成功していても受け流しや回避および鎧や防御魔術によってダメージが出せなかったり反撃を受けることもあります。

攻撃スペシャル成功

D100 で武器スキルの 1/5 以下を出したらスペシャル成功です。スペシャル成功になったら武器の種類によってインペイル(貫通)、スラッシュ(斬撃)、クラッシュ(粉砕)のいずれかの特殊ダメージが発生し、それを命中部位に適用します。

[検討] スキルの端数処理

端数処理には曖昧さがあります。過去の版においてスキルの端数処理は RQ2 では端数切り捨て、RQ3 では四捨五入でした。

RQG では攻撃のスペシャル成功およびクリティカル成功は、本文では技能の 1/5 以下および 1/20 以下と記載されており、これは RQ2 と全く同じ記述で処理としては端数切り捨てを意味します。一方でルール冒頭(p.7)では「端数処理はプレイヤーの有利なように」となっており、これに厳密に従うならば PC の場合には端数切上げ、敵の場合には切り捨てにすることになるかもしれません。さらには p.143 にある「アビリティ結果表」は困ったことに端数を四捨五入して計算されています。

作者の一人である Jeff Richard 氏は四捨五入は面倒なので RQG では一切使用しないと昔フォーラムに書き込んでおり、個人的にも暗算が楽なのでスキルの端数は切り捨てが好みなですが、実際はどれが正解かわかりません。

攻撃クリティカル成功

D100 で武器スキルの 1/20 以下を出したらクリティカル成功です。クリティカル成功になった場合には、ダメージダイスを振らずに武器ごとの特殊ダメージの最大値を命中部位に、鎧を無視して適用します。ダメージ・ボーナスについては通常どおりダイスを振ります。

[検討] 最大ダメージ

クリティカル成功が最大ダメージを与えるかどうかには少し曖昧さがあります。RQ3 ではクリティカル成功は最大ダメージだったのに対して、RQ2 では最大にはならず個別ルールが適用されていました。

RQG の場合 p.206 本文のクリティカル命中の説明だと「鎧無視で特殊ダメージを与える」とだけなっており最大とはなっていません。一方で p.200 の戦闘サマリや p.203 の特殊ダメージのサマリでは「特殊ダメージの最大を鎧無視で与える」となっています。他にも最大ダメージだったり最大とは書いていなかったり、記述によってまちまちです。極めつけは「攻撃と受け流し結果表」や「回避結果表」で、防御側が受け流しや回避に失敗した時のみ最大ダメージになるという中途半端さです。

その後の 6月22日のルールブック改訂版において、「攻撃と受け流し結果表」が、クリティカルは最大ダメージに統一されました。「回避結果表」の方は最大ダメージに訂正されていないものの、デザイナーの意図は最大ダメージの方だろうと推定により、この解説では最大ダメージで統一しました。

攻撃失敗

D100 で武器スキルより大き出目を出したら攻撃失敗です。攻撃に失敗したら原則として相手を傷つけることはできません。逆に場合によっては自分の武器を傷つけれれる可能性があります。

攻撃ファンブル

攻撃でファンブルを出した場合には、攻撃失敗と同じ扱いですが、加えて「攻撃ファンブル表」を振らなければなりません。

[検討] ファンブルの確率

RQG はファンブルの計算方法にも曖昧さがあります。p.206 のファンブルのルールではスキルが 20% 以下ならばファブルの可能性 5%(96-00)、スキルが 20% 増えるごとにファンブルの可能性が 1% 減少するという RQ2 と同じルールになっていますが、それ以外の場所では「失敗の可能性の 1/20」という曖昧な端数処理に依存する記述になっています。p.142 の「アリビリティ結果表」では RQ3 と同じく「(100-スキル)/20の結果を四捨五入」として計算しているようです(というか、この表は何も考えずに RQ3 からパクッてきただけのようです)。

微妙な差しかありませんが、どのやり方にするか決めておかないと混乱するかもしれません。個人的には RQ2 方式が暗記しやすいので好みです。

●インペイル(Impale): 貫通ダメージ

槍や弓矢などの突き刺し武器がスペシャル成功した場合にはインペイル(貫通)ダメージが発生します。

[検討] 貫通と受け流し

p.203 に「受け流し(パリィ)をされた場合には貫通が発生しない」ようにも読める記述がありますが、他の記述と矛盾するので無視しました。もしかしたらクリティカル受けやスペシャル受けをされた場合には、貫通ダメージが発生しない可能性もあることを言いたかっただけなのかもしれません。

貫通のダメージ計算

貫通が発生すると通常の武器のダメージを 2回分振って合計します。クリティカル命中の場合には武器ダメージは振らずに 2回分の最大値を合計します。STR や SIZ によるダメージ・ボーナスや魔術によるボーナスは 2倍になりません。

突き刺さり(スタック)

貫通により身体にダメージを与えた場合には、武器が身体に刺さったままになります。鎧のなどのせいでダメージが出なかった場合には刺さったままにはりません。

攻撃者は刺さった武器をすぐに取り戻した場合には、その武器スキルの半分で成功しなければなりません。失敗した場合には武器を手放してしまいます。

刺さった武器を時間かけて取り戻したい場合には、次の戦闘ラウンドを完全にそれに専念する必要があり、ラウンドの最後に通常の武器スキルで判定します。失敗した場合でも武器を手放すことはなく、その次のラウンドに再び試みることができますが、ファンブルをしたら武器が壊れてしまいます。

武器が刺さったままの行動

武器を刺された対象は武器が刺さったまま移動することができますが、ラウンドごとに武器のダメージの半分(切捨て)を受けます。移動せずに目の前の敵を攻撃するだけならばダメージを受けません。

貫通された対象が自分で武器を抜く試みもできますが、武器を抜くことに専念しなければならず、その間は受け流しも回避もできません。武器を抜くには痛みに耐える必要があり D100 で (STR + CON)×2 以下をロールする必要があります。

刺さった武器を抜くまでは治療はできません 治癒(ヒール) 2 以上の魔術を使用すればそれ以上の出血を止めることができますが、HP は回復しません。

盾への突き刺さり

貫通ダメージに対して盾による受け流しを成功した場合には、武器は身体ではなく盾に突き刺さったままになります。盾から武器を抜くには丸 1ラウンドかかります。

刺さった武器が ENC 2 以上ならば武器を抜くか壊するまで盾を使用できなくなります。ENC 1 ならば盾スキルの成功率が半分になります。

●スラッシュ(Slash): 斬撃ダメージ

剣や斧などの切り裂き武器がスペシャル成功した場合には、スラッシュ(斬撃)ダメージが発生します。

斬撃のダメージ計算

斬撃が発生すると通常の武器のダメージを 2回分振って合計します。クリティカル命中の場合には武器ダメージは振らずに 2回分の最大値を適用します。STR や SIZ によるダメージ・ボーナスや魔術によるボーナスは 2倍になりません。

斬撃による無力化(Incapacitate)

斬撃で身体にダメージを受けた場合には対象はショックで気絶する可能性があります。対象は D100 で (CON - 受けたダメージ)×5 以下をロールしなければ 1D6 時間意識を失ないます。

●クラッシュ(Clash): 粉砕ダメージ

メイスやハンマーなどの打撲武器がスペシャル成功した場合には、クラッシュ(粉砕)サメージが発生します。

粉砕のダメージ計算

粉砕ダメージが発生すると通常の武器ダメージに、SIZ と STR によるダメージボーナスを1回分振って加え、さらにダメージ・ボーナスの最大値を加算します。ダメージ・ボーナスがない場合やマイナスの場合にはダメージは増えません。クリティカル命中の場合には武器ダメージは振らずに最大になります。

[検討] スリング弾

RQ2/RQ3 ではスリング弾は弓矢とかと同じ扱いで貫通ダメージを発生させる武器でした(拳銃弾のように対象を撃ち抜ける)。RQG ではこれが石投げと同じような粉砕ダメージを発生させる武器に変更になっています。ところがスリングのような射撃武器にはダメージ・ボーナスが適用できないというルールが別に存在しており、粉砕ダメージはダメージ・ボーナスが増えるだけなので、スリングがスペシャル成功した場合にどうい処理になるか不明です。個人的にはスリングは昔のように貫通武器に戻すのが無難な気がします。

●受け流し(Parry)

敵の攻撃を受けた時、持っている盾や武器を使って(場合によっては素手でも)受け流し(パリイ)を試みることができます。この受け流しのルールが RQ2RQ3 と比べて最も大きく変化し、ややこしい点かと思います。

受け流しにはストライクランクは必要ないので、攻撃された時点でも盾か武器の準備が終わっていればいつでも実行でき、攻撃と同じ武器スキルで判定します。RQ2/RQ3 は武器スキルが攻撃と受け流しに分かれていましたが、RQG では同じ武器スキルに統一されています。

受け流しをするかどうか、複数の武器や盾を持っている場合にはどちらで受け流しをするかは、事前に宣言しておく必要がなく攻撃を受けるごとに判断できますが、相手が攻撃のスキル判定をする前に宣言しなければなりません。受け流しを宣言した場合には例え相手が攻撃に失敗したとしても必ず受け流しのスキル判定をする必要があります。

RQ2/RQ3 と違って同じ武器を使って 1ラウンドに複数回の受け流しを実行することも可能です。しかし使う武器によらず 2回目以降の試みには、累積的に -20% のペナルティが与えられます。2回目の試みは-20%、3回目は-40%、4回目は-60%と、成功失敗にかかわらずどんどん難しくなっていきます。最後はゼロ以下になりますが、スキル判定は常に 05% の成功が保証されているため、マイナスになっても受け流しの試みを続けることができます。

[検討] ゼロ以下での受け流し

ルールブックでは上記のように、累積ペナルティ等で受け流しがゼロ以下になっても 05% で試みることができると明記されていますが、作者の一人である Jason Durall氏はゼロ以下になったら実行できないとフォーラムで解説しています。同じく彼が作者である Basic Roleplaying 2008年版で、ゼロ以下では実行できないルールになっていたので、混同しているのではないかという気がします。作者の意見なので従うべきなのかもしれませんが、そうすると他のペナルティと重なってゼロ以下になった場合など新たな疑問点がわいてきますので、ここではルールブッックどおりとしておきました。

受け流し成功

D100 で武器スキル以下を振ったら受け流し成功です。1/5以下ならスペシャル成功、1/20以下ならクリティカル成功になります。

受け流しに成功してさえいれば少なくとも受け流しに使用した武器の HP分だけダメージを量を減少させることができます。残ったダメージがあれば D20を振ったランダムな命中部位に適用されます。

[検討] 隣接部位

p.198 の本文左列では武器による受け流しを抜けたダメージはランダムな命中部位に与えられるものの、盾による受け流しを抜けたダメージはランダムではなく隣接部位(たいていは盾を持つ腕)に与えられるというルールがあります。p.198 の本文右列では盾との限定は無く受け流しにスペシャル成功し、攻撃もスペシャ成功またはクリティカル成功の時のみ隣接部位(たいていは盾を持つ腕)に与えられるとなっています。p.199 の「攻撃と受け流し結果表」ではさらに異なっていて受け流しの成功レベルが攻撃の成功レベルを下回った場合に隣接部位に適用される結果となっています。一方で p.218 の盾のルールでは盾受けを抜けたダメージはダイスを振って決めた本来の命中部位に適用されるとなっていてて、4種類の異なったルールが存在していてます。

何らかの意味で新しいルールを導入しようとした感じなのですが、どれを使っていいのか判別できないので、現時点ではシンプルさ重視ということで、昔のままの全てランダムな部位に適用としておきました。

受け流しに成功した場合、もし受け流しの成功レベルの方が低ければ受けに使用した武器や盾にダメージが入る可能性が高まります。RQ2 では盾はダメージを受けず壊れませんでした RQG では盾も壊れます。逆に受け流しの成功レベルの方が高ければ攻撃を無効化した上で攻撃に使用した武器にダメージが入る可能性が高まります。まとめると以下のようになります。

受け流し
クリティカル
受け流し
スペシャル
受け流し
通常成功
受け流し
失敗
攻撃
クリティカル
通常ダメージ
受け流し(通常)
最大特殊ダメージ
受け流し(弱)
鎧無視
最大特殊ダメージ
受け流し(弱弱)
鎧無視
最大特殊ダメージ
受け流し失敗
鎧無視
攻撃
スペシャル
攻撃失敗
反撃(通常)
通常ダメージ
受け流し(通常)
特殊ダメージ
受け流し(弱)
特殊ダメージ
受け流し失敗
攻撃
通常成功
攻撃失敗
反撃(強)
攻撃失敗
反撃(通常)
通常ダメージ
受け流し(通常)
通常ダメージ
受け流し失敗
攻撃
失敗
攻撃失敗
反撃(強強)
攻撃失敗
反撃(強)
攻撃失敗
反撃(通常)
攻撃失敗
受け流し失敗

受け流し(弱弱): 攻撃側が二段階高い成功をしている場合

攻撃クリティカル成功/受け流しが通常成功の場合です。

この場合は攻撃側はクリティカル成功のダメージを、まずは受けをした盾や武器の HP に直接適用して減らします。多くの場合は受け流しに使用した盾や武器が破壊されることになります。

もし受け流しに使用をした盾や武器を破壊(HP 0 に)した後に残ったダメージがあれば、D20を振った本来の命中部位に適用されます。

受け流し(弱): 攻撃側が一段階高い成功をしている場合

攻撃スペシャル成功/受け流し通常成功や、攻撃クリティカル成功/受け流しスペシャル成功の場合です。

この場合に攻撃側は対応するスペシャル成功やクリティカル成功のダメージから、受け流しに使用した盾や武器の現在の HP を引くことができ、ダメージをゼロ以下にできた場合にはそれ以上何も起きません。

もし残ったダメージがあったら、それを命中部位に適用する(攻撃クリティカルならば鎧無視)と同時に、同じ量だけ受け流しに使用した盾や武器の HP を減らします。

受け流し(通常): 攻撃と受け流しの成功レベルが同じ時

一般的な攻撃が通常成功/受け流しも通常成功の場合です。この処理は攻撃も受け流しもスペシャル成功、攻撃も受け流しもクリティカル成功のような同じ成功レベルの時にも使用します。攻撃側がスペシャル成功やクリティル成功していたとしても、受け流し側のスペシャル成功やクリティカル成功によって軽減され、通常ダメージに対する受け流し通常成功の扱いになります。

通常の武器のダメージを振って、そこから受け流しに使用した盾または武器の現在の HP を引くことができます。これでダメージがゼロ以下になった場合に完全に防いだことになりそれ以上何も起きません。

もし残ったダメージがあればその分が、D20を振った本来の命中部位に適用されます。さらに受け流しに使用した盾や武器の HP を 1ポイントだけ減らします。

反撃(通常): 受け流し側が一段階高い成功をしている場合

攻撃失敗/受け流し成功、攻撃通常成功/受け流しスペシャル成功、攻撃スペシャル成功/受け流しクリティカル成功の場合です。

この場合、攻撃は失敗で攻撃側はダメージを出せません。かわりに防御側が受け流しに使用した盾や武器の通常ダメージ(ダメージ・ボーナスを含む)を振ります。もしその値が攻撃に使用した武器の現在の HP を超えていた場合には、攻撃に使用した武器の HP が 1 だけ減少します。

反撃(強): 受け流し側が二段階高い成功をしている場合

攻撃失敗/受け流しスペシャル成功、攻撃通常成功/受け流しクリティカル成功の場合です。

この場合、攻撃は失敗で攻撃側はダメージを出せません。かわりに防御側が受け流しに使用した盾や武器の特殊ダメージを振ります。もしその値が攻撃に使用した武器の現在の HP を超えていた場合には、その超えている分だけ、攻撃に使用した武器の HP が減少します。

反撃(強強): 受け流し側が三段階高い成功をしている場合

攻撃失敗/受け流しクリティカル成功の場合です。

この場合、攻撃は失敗で攻撃側はダメージを出せません。かわりに防御側が受け流しに使用した盾や武器の特殊ダメージを振って、そのまま攻撃に使用した武器の HP を減らします。

[検討] 受け流しの効果

受け流しの効果についてルールブックには多くの矛盾した記述があります。

p.199 の「攻撃と受け流し結果表」では攻撃クリティカル成功で、受け流しがスペシャル成功の時に受け武器の HP が 1ポイントしか減らないとなっており p.198の本文記述と一致していません。

p.198 のスペシャル・パリィの説明において、攻撃がクリティカルの場合には鎧無効となっていないのに、攻撃がスペシャル成功した場合には鎧無効というおかしなことになっています。

さらに問題なのは p.200 にある「クリティカル命中に対する受け流し」の段落で、受け流しのルールが全面的に変更になっているのに、ここだけ RQ2 に準拠したルールになっていて段落ごと他の部分のルールと矛盾しています。これは元のなった RQ2 の個別ルールの消し忘れのように見えます。

他にも微妙な記述の違いがありますが、現時点で一番整合性がありそうなルールとして上記のように取捨選択しました。

受け流し失敗

受け流しに失敗した場合は、受け流しをしなかったかのように扱われ、攻撃側の結果がそのまま適用されます。

受け流しファンブル

受け流しにファンブルした場合は失敗の時と同様、受け流しをしなかったのと同様に扱われ攻撃の結果がそのまま適用されます。さらに加えて「受け流しファンブル表」を振らなければなりません。

[検討] 受け流しファンブル

p.199 の「攻撃と受け流し結果表」では攻撃クリティカル成功に対して、受け流しがファンブルした場合に「自動命中」となっていますが何のことだかわからないため無視しました(クリティカルなので命中は当り前)。同じ結果表で攻撃失敗、受け流しファンブルの時に攻撃側が通常ダメージを与えるように書かれていますが、本文の方には特に記載がなく、書き間違いもしくは回避のルールが紛れ込んだ可能性が高いため無視しました。

●回避(Dodge)

攻撃された時、受け流しのかわりに回避を選択できます(両方はできません)。受け流しと同じく回避も同じラウンドに複数回実行できますが、2回目以降には受け流しと共通の -20% 累積ペナルティが適用されます。

回避には荷重(ENC)によるペナルティがあります。たとえ上限以下でも荷重(ENC) 1ごとに -1% のペナルティを受けます。上限を超える分についてはさらに -5% づつのペナルティ(合計で -6%づつ)が追加されます。

[検討] 回避と荷重

p.201 戦闘の章の回避の説明では、上限以下の部分が -1%、上限を超えている部分については -5%となっています。回避のルールとは別に、荷重ルールとして上限を超える荷重は +1 ごとに運動(Agility)分野、操作(Manipulation)分野、隠密(Stealth)分野、武器(Weapon)のスキル全てに -5% というルールがあります。この二つのペナルティが重複するのかは不明瞭です。

一方で p.151 の荷重のルールの場所にも「回避と荷重」のルールがあり、こちらは少し違っていて、上限を超えているかどうかにかかわらず荷重(ENC)ごとに -1%、上限を超えている場合にはさらに -5% づつ加算となっています。こちらの方がシンプルだと思うので、この解説ではそちらに合わせました。

回避の効果はオール・オア・ナッシングです。回避の成功レベルが攻撃の成功レベルと同じか上回っていれば攻撃を無効化できますが、足りない場合には効果がありません。

回避
クリティカル
回避
スペシャル
回避
通常成功
回避
失敗
攻撃
クリティカル
攻撃失敗 最大特殊ダメージ
鎧無視
最大特殊ダメージ
鎧無視
最大特殊ダメージ
鎧無視
攻撃
スペシャル
攻撃失敗 攻撃失敗 特殊ダメージ 特殊ダメージ
攻撃
通常成功
攻撃失敗 攻撃失敗 攻撃失敗 通常ダメージ
攻撃
通常失敗
攻撃失敗 攻撃失敗 攻撃失敗 攻撃失敗

回避成功

D100 で回避スキル以下を振ると回避成功です。回避に通常成功すれば相手の攻撃が通常成功ならば完全に無効化できます。しかし攻撃がクリティカル成功やスペシャル成功している場合には軽減されることなく全てのダメージを受けます。

回避スペシャル成功

回避にスペシャル成功した場合には、攻撃が通常成功およびスペシャル成功ならば完全に無効化できます。攻撃がクリティカル成功している場合には軽減されることなく全てのダメージを受けます。

回避クリティカル成功

回避にクリティカル成功した場合には攻撃の成功レベルにかかわらずを無効化できます。

回避失敗

回避に失敗した場合には回避を試みなかったのと同様に扱い、攻撃の結果がそのままま適用されます。

回避ファンブル

回避にファンブルした場合には、例え攻撃側が失敗していたとしても自動的に通常命中になります。元から攻撃が通常成功、スペシャル成功、クリティカル成功の場合には変化はありません。

[検討] 回避のファンブル表

p.201 の「回避結果表」によると回避にファンブルした場合は「ファンブル表」を振るとの記述がありますが、これは本文に記載がなく、そもそもの問題として回避用のファンブル表が存在していません。個人的にファンブル表を振るのが好きなので「回避ファンブル表」を作って欲し気はするのですが仕方がないので今回は無視しました。

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第2回は以上です。次回は遠隔攻撃、呪文などについて説明します。

RQG 戦闘ルール解説 (暫定版) 第1回 ラウンド進行

最新版 RuneQuest: Roleplaying in Gloratha (以下 RQG) の PDF版が発売になっており、近々印刷版も発売されると思います。もう遊んでいる人もいると思いますがルールブックに少し読み難い部分があるため悩んでいる人もいるかもしれません。

今回から 4回に分けてルーンクエストの戦闘ルールにつてまとめてみようかと思います。英語ルールを読み解くのに少しでも参考になれば幸いです。

[始めに] 暫定版

何で「暫定版」かというと、もちろん現時点で私が完全にルールを把握し切れていないというのが大きいのですが、ルールブック自体に曖昧な部分、説明が足りない部分、一貫性のない部分、特に同じ処理に対して複数の異なるルールが存在している所などがあって決定的な結論が出せない部分が多々あるからです。公式発表でも現在ルール改訂や FAQ 作成作業が行なわれているので、これから修正が入る部分もあるかと思います。

とりあえず、この暫定版では以下の基準でルールを選定してます。

  1. 作者がフォーラムなどの Q&A で解説したもの
  2. 他の部分とルールの整合性が高いもの
  3. ルールがよりシンプルなもの
  4. 上記が前部同じ程度なら RQ2 に近いもの

所々に [検討] と題した挿入があり、マウスを載せるとポップアップしますが、これは上記のようなルールの疑問点や不一致やがある部分のうち、特に混乱しそうな部分についての個人的なメモですので基本無視してもらって大丈夫です。ルールの解釈について考察したい場合やハウスルールについて検討したい場合には参考にしてください。

今回、第1回ではラウンド進行および行動順序についてのルールについて説明します。基本的に RQG のラウンド進行は RuneQusst 第二版(以下 RQ2) と全く一緒なので、以前に書いた記事を読んでもらっても良いのですが、整理を兼ねて再度説明します。

●接敵状態(engaged)

RQG の戦闘ルールを理解する上で最も重要な概念が接敵(engage)です。これは互いに近接武器による攻撃が届く範囲に近寄ることを意味します。相手の近接武器の間合いに入っている間は危険なため、相手の動向に常に注意を払う必要があるため、移動や行動が制限されます。この状態を「接敵状態(engaged)」といいます。

●フルターン(Full Turn)

何かスキルを使用したり、ダンジョン内を移動したりするのに使用する時間の単位で「5分」にあたります。ほとんどの戦闘は 1フルターン以内に完了します。

●戦闘ラウンド(Melee Round)

戦闘の際にはさらに細かい、「戦闘ラウンド」という時間単位を使用します。RQG の 1戦闘ラウンドは 12秒です。1フルターンは 25戦闘ラウンドに相当します。戦闘ラウンドの処理はフェイズごと、ストライク・ランクごとに順番に処理されますが、あくまで処理上であり実際には同時進行で行なわれていることに注意してください。

各戦闘ラウンドは以下の 4つのフェイズよりなっています。

  • 第1フェイズ 意図の宣言
  • 第2フェイズ 接敵していないキャラクターの移動
  • 第3フェイズ 近接戦闘、遠隔攻撃、呪文などの解決
  • 第4フェイズ 記録

1. 意図宣言フェイズ

プレイヤーとゲームマスターはそのラウンドに何をするかの意図を宣言します。基本的には行動宣言ですが、詳細な行動を宣言する必要はなく何をしようといているかの意図を明確にします。

例えば「女祭を守りたいので、彼女の前に移動し最初に接近して来た敵に対して剣で攻撃する」とか「魔術が怖いので、呪文を唱えようとしている敵がいればそいつを射撃する。いなければ弓を構えたまま待機」のような、直接の攻撃対象を指定していなくても、その意図が明確ならば大丈夫です。このラウンド中に意図に従って行動しているものとみなして対象が選ばれます。

2. 移動フェイズ

RQG の戦闘において接敵しているキャラクターは移動できません。接敵していないキャラクターは、行動の前、行動の後、行動と行動の間に自由に移動できます。そのうち行動の前の移動をこのフェイズに処理します。

RQG の戦闘では一般にヘックスやスクエアのよな詳細なマップ移動は使用せず、お互いのだいたいの距離を使って抽象的に処理します。そのため移動の順番のようなものは存在せず、全員が同時に移動します。

移動距離は種族ごとに移動速度によって決まります。人間の移動速度は 8 なので、1戦闘ラウンドに 8単位(1単位は3メートル)なので、最大で24メートル移動できます。移動の途中で接敵した場合には、それ以上移動できずそこで移動を終了しなければなりません。

この移動フェイズに最大移動距離の半分(人間なら12メートル)を超えて移動した場合には、次の解決フェイズで攻撃や呪文を行なうことができず防御のみしかできません。移動が半分以下の場合には攻撃や魔術の使用ができますが、移動した距離 1単位(3メートル)につき行動の SR に +1 されます。

3. 行動解決フェイズ

武器攻撃や呪文などの行動をストライク・ランクが小さい順に解決していきます。ストライク・ランクが同じ場合には DEX が大きい順に解決します。DEX も同じ場合には同時に解決します。

受け流し(パリィ)や回避などの防御行動はストライク・ランクに関係なく準備さえできていれば任意のタイミングで可能です。

4. 記録フェイズ

ラウンドの最後に、このラウンドにあった変化をキャラクターシートに記録します。この時点で全身 HP が 0 以下になっていれば死亡します。呪文の持続時間切れや毒の効果などラウンドごとの効果もこのタイミングで判定します。

●ストラインク・ランク(Strike Rank)

ストライク・ランク(SR)は 1 から 12 の値をとり、文字通り「打撃の順序」で誰が先に攻撃判定するかを決めるもので、他の RPG でいう「イニシアティブ」や「行動順」にあたります。

特に素早いキャラクターや魔術などの効果により、稀にストライク・ランクがゼロ以下になることがありますが、この場合はストライク・ランク 1 として処理します。

ルーンクエストのストライク・ランクは互いの有利/不利によって決まります。ストライク・ランクが小さいというのは「早い」ことではなく「有利」なことを意味します。早いと有利は多くの場合は同じようなものですが厳密には別物なので注意してください。ストライク・ランクは時間の単位ではなく 1SR が 1秒というわけでありません。

●ストライク・ランクの計算

以下の全てを足した値が戦闘におけるストライク・ランク(打撃順序)になります。近接攻撃ならば主に最初の 3つ「DEX」と「SIZ」と「武器の長さ」によってストライク・ランクが決まるので、武器ごとに合計をあらかじめ計算してキャラクターシートに記入しておきます。

1. DEX SR

素早さは最も重要な値です。多くの RPG で素早さ順で行動を解決するのと同じように、RQG でも DEX の影響が最も大きい仕組になっています。

DEXSR
19+0
16-181
13-152
9-123
6-84
1-55

2. SIZ SR

近接戦闘において身体が大きい(背が高い)方がリーチが長くて有利です。これを表現するために SIZ を基準に以下のような修正値が与えられます。遠隔攻撃や呪文は身体の大きさは関係ないため加算しません。

SIZSR
22++0
15-21+1
7-14+2
1-6+3

3. 武器の長さ

近接戦闘では相手より長い武器を持つ側は有利です。これを表現するために武器の長さの修正が与えられます。拳などの身体武器は長さ 0m とみなすため SR +4 になります。逆に弓などの遠隔武器や呪文は近接武器に比べて十分に射程が長いため SR は 0 とみなし加算しません。

武器の長さSR
2.0m++0
1.5-1.9m+1
1.0-1.4m+2
0.5-0.9m+3
0.0-0.4m+4

4. 呪文の消費 MP

強力な呪文を使用する場合、エネルギーを集めるのに時間がかかるので、その分だけ不利になります。使用するマジック・ポイント(MP)の値が SR に加算されます。これは精霊呪文とルーン呪文には当てはまりますが、魔道呪文はさらに時間がかかるため個別のルールを参照してください。

MPSR
1+1
2+2
3+3
4+4
5+5
[検討] 消費MPによるSR

RQG の消費 MP によるストライク・ランクには曖昧さが残っています。過去の RQ2 では最初の 1ポイントは SR に加算されず、2ポイント目以降 1 SR づつ加算される仕組みでした。一方で RQ3 では最初の 1ポイントから全て加算される仕組みでした。

RPG はというと p.193 にある表では RQ3 と同じになっていますし、p.254 の精霊呪文の SR 計算式でも消費 MP をそのまま全て加算していて RQ3 方式です。ところが p.194 本文の説明では「複数ポイント呪文には時間が必要です」とか「マジックポイントの最初の 1ポイントには SR 修正がないことを覚えておくこと」と RQ2 方式であるとを補足していて、ルールが一貫していません。

どちらでも問題ないのですが、この解説ではシンプルな方の RQ3 方式としておきました。

5. 不意打ち

敵から至近距離で不意打ちを受けた場合、その不利を表現するために、以下の修正が SR に加算されます。

不意打ちの距離SR
3メートル以内+3
10メートル以内+1
10メートル超え+0

6. 武器や呪文の準備

武器の準備ができていなかったり、攻撃の前に新しい武器に持ち変えたり、新たな矢を弓に番えたりしたりする場合には、準備 1つにつき SR に +5 を加算します。

剣を落として斧を抜くならば 1行動ですが、剣を鞘に納めて斧を抜くとか、剣と盾を準備するなどの場合には 2行動とみなして SR に +10 されます。

同様に呪文の準備にも 5 SR かかります。準備が必要かどうかも含めて詳細は魔術の種類ごとに異なるので、各魔術の説明を参照ください。

7. 移動

二人が互いに近接戦闘を行なっている場合には移動による SR 修正は必要ありません。最初から接敵していた場合にはそもそも移動できませんし、このラウンドに接敵した場合には、どちらから近づいたかは有利不利には関係ないからです。

それ以外の場合(二人が戦っている所に三人目以降として参加する場合や、敵味方どちらかが呪文や射撃をする場合など)は、1単位(3メートル)の移動につき、その後の行動のストライク・ランクが +1 されます。これには移動フェイズにおける移動の分も含まれます。

8. 同時準備

ゲームマスターの許可があれば、一部の準備や移動は並行して実行することができます。例えば移動しながら剣を抜くとか、ベルトから左右の両手に一本づつダガーを抜くとかです。この場合は二つ行動のうち時間がかかる方のみを SR に加算します。ただし盾のように準備に手間のかかる行動は同時に実行することはできず、盾と剣を並行して準備することはできません。

●ストライク・ランクの上限

ストライク・ランクは最大で 12 です。12を超えるような行動および行動の組み合わせは実行できません。ストライク・ランクは時間ではないので部分的に実行して、残りを次のラウンドに持ち越すようなこともできません。

このルールの唯一の例外が呪文の使用です。呪文の準備と詠唱に専念している場合に限り、行動の残りを次のラウンドに持ち越すことができます。例えば準備と詠唱に合計で 27 SR かかる呪文は、3ラウンドの間呪文に専念する必要があり、3ラウンド目の SR 3 に判定します。複数ラウンドかかる呪文を実行している間は、他には防御しか実行できません。

●複数行動(Multiple Action)

各キャラクターは 1ラウンドに複数の行動ができますが、どのような行動が可能かは接敵状態によって異なります。

接敵している場合

接敵しているキャラクターはラウンドの最初から最後まで、武器を振るったり防御を行なったりしているとみなされ、原則として近接攻撃と防御しか実行できません。望むならば近接攻撃のかわりに呪文を選択できますが、近接攻撃と呪文の使用を同じ戦闘ラウンドに行なうことはできません。

近接攻撃は原則 1回ですが、左右に別々の武器を持っている場合には、SR の条件さえ満たしていれば両方で攻撃できます(2回攻撃したうえで複数回の防御が実行できます)。また武器スキルが 100% 以上の場合は攻撃の分割が可能になります。第4回の「攻撃の分割」を参照してください。

RQ2/RQ3 と違って防御は 1ラウンドに何度でも実行できます。事前に宣言しておく必要は無く、打撃を受けるごとに、その場で受け流し(パリィ)をするか、回避をするかを選択できます。また複数の武器や盾を持っている場合はどの武器を使って受け流しをするかについてもその場で選択できます。同じ打撃に対して受け流しと回避を同時に実行することはできません。1ラウンドに複数回の防御をする場合には、2回目の防御には -20%、3回目の防御には -40%, 4回目の防御には -60% という具合に -20% づつの累積ペナルティが課されます。このペナルティは防御手段によらず一律に増加します。

[検討] 複数の武器の使用

持っている武器の数だけ攻撃できるというルールと、防御に使う武器はその場で選択できるというルールは、過去の RQ2/RQ3 とは大きく異なっており。ルールブックの記述とも一部で矛盾していて、もにょもにょするのですが、作者の一人である Jason Durall 氏がフォーラムで上記のように解説しています。その上でルールブックが一部間違っており、矛盾する部分については今後の改訂および FAQ で対応予定だそうです。同じく Jason Duall 氏が作者である金本こと Basic Roleplaying 2008年版で似たようなルールになっていましたので、その影響が強いものと思われます。

接敵しなていない場合

接敵していないキャラクターはストライク・ランクの範囲内で、「遠隔攻撃」「呪文」「移動」などの行動を自由に組み合わせて実行できます。これらの行動の順番は自由に選べます。ラウンド内に納まれば射撃を複数回実行することも可能です。ただし呪文は 1戦闘ラウンドに一回だけしか実行できません。

またこれらの行動と合わせて任意に防御を実行できます、複数回の防御を行なう場合には同じく累積ペナルティが適用されます。ジャベリン(投げ槍)のような投擲武器に対してはその攻撃に気付いていれば普通に受け流しや回避ができますが、矢やスリング弾のような射出武器を受け流すことはできず、回避するためには他の行動をせずにそのラウンド回避に専念する必要があります。遠隔武器に対しては受け流しのかわりに盾を構えて身体の一部を防御する方法があります。

[検討] 呪文の回数

RQ2 では呪文は 1戦闘ラウンドに 1回だけという制限があり、複数回の精霊呪文を使用するためには Multispell(多重呪文)というルーン呪文が必要でした。一方で RQ3 では 1ラウンドに複数の呪文を使用でき Multispell 呪文は存在していませんでした。

RQG はというとルーン呪文の記載には「ルーン呪文を使用したラウンドには精霊呪文も魔道呪文もルーン呪文も使用できない」というルールが明記さており、魔道呪文はそもそも使用に 2ラウンド以上かかるので最初から 1回しか使えないのは明らかなのですが、精霊呪文については 1回しか使用できないというルールも、複数回使用できるというルールも明記されいません。

RQG にも Multispell 呪文が存在していることから、RQ2 と同じく各ラウンドに精霊呪文は 1回しか使用できないが Multispell を使用した場合のみ複数回使用できるという風に解釈しましたが、精霊呪文どうしの場合に限り準備も含めて 12 SR 内に納まれば 1ラウンドに複数回使用できるという解釈もありえます。

ラウンドの途中に接敵した場合

接敵前は自由に行動できますが、接敵したい時点でそれ以上移動できなくなり、接敵中のルールに切り替わります。接敵前に何をしていたかによらず接敵したストライク・ランク以降は近接攻撃と呪文のどちらか片方しか実行できなくなります。

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第1回は以上です。次回は攻撃、受け流し、回避について説明します。