2017年12月8日

ルーンクエスト発売延期と暫定戦闘ルール

発売を心待ちにしているルーンクエスト・ロールプレイング・イン・グローランサ(Runequest: Roleplaying in Glorantha)(以下RQ:G)の発売ですが、来年(2018年)のQ2に延期されたと公式に発表されましたね。流れてきている進捗から遅れるだろうと予想はしていたのですが、延期は残念ですね(今頃に来年の春と言っているようだと、実際はさらに遅れて出るのは夏の GenCon で電子版、印刷版は来年の年末ということになりそうな気がしないでもないですが気のせいということにしましょう)。少し時間をかけてそれだけ良いものが出てくれば嬉しいのですが。



そういうことで RQ:G はまだ開発中の状態にあり、色々な変更がされているようです。日本語訳も公開されいるクイックスタート・ルールは今年(2017年)の2月頃の開発中ルールが元になっているとのことなのですが、特に戦闘ルールについてはRQ2版に比べても武器が折れ易いなどの色々な欠点が指摘されており、その後に大きな変更が予定されているようです。

RQ:G の主編集者である Jason Durall 氏が BasicRoleplay.org のフォーラムに投稿してくれた、今年6月時点のより新しいルールが公開されていますので、現時点でクイックスタートを遊ぶ場合には、こちらを試してみるのが良いかと思います。

この6月バージョンの翻訳サマリを作成したので試してみたい場合には以下を参照ください
    ルーンクエスト戦闘ルール(2017年6月版): ダウンロード

注意点としては、このルールも最終版では無く、その後も色々と変更されているので、あくまで開発途中の暫定版だということは留意ください。

前にブログに書いたように私の手元には、さらに新しい8月版のルールもあるので、こちらを紹介しようかとも思ったのですが、このバージョンは色々なルールを試している途中なのか、どうやら互換性のない複数のルールが記載されているようなので実際に遊ぶためには細かく取捨選択しないと難しそうな感じです。

Chaosium の RuneQuest 開発スタッフによると最終原稿が上がる直前までは変更される可能性があり、意見や感想を求めているということなので、発売も延期になったし正式版ではさらに大きく変更になっている可能性も高いです。


2017年11月10日

キャラクターシート(ルーンクエスト・クイックスタート)

昨日日本語訳が公開されたルーンクエスト・クイックスタートにはシナリオがついており、それを遊ぶための作成済みキャラクターが最後に付属しています。そのページをコピーしてプレイヤーに配ればそのまま遊べる形になっています。

コンパクトにまとまっているのですが、ちょっと読み難かったので、7月に「新ルーンクエストを遊んで見る会」の会場では、もう少し読み易い形できたらと考えて、これらの作成済みキャラクターをキャラクターシートっぽい形式でフォーマットしてみました。他で遊ぶ時にも、その時のものを使ってみたいとの要望があったので公開しておきます。

 以下からダウンロードください:
ついでに手持ちのキャラクターをコンバートして遊びたい人のためにブランク・シートも置いておきます。こちらはより新しいプレビュールールに従って少し改変しています(まだ試行錯誤中です)。
補足:コンバートはRQ2のキャラクターに情熱(パッション)とルーンを持たせればだいたいOKです。
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■それでは良いゲームを

2017年11月8日

ルーンクエスト・クイックスタート日本語版


Chaosium のウェブサイトから、今年年末に発売予定(一応現時点ではまだ年末と言っているようです)のルーンクエスト第4版(RuneQuest: Roleplaying in Glorantha)のプレビュー版にあたる、ルーンクエスト・クイックスタート(RuneQuest Quickstart)の日本語翻訳版が無料でダウンロードできるようになっています。

前半が省略版のルール部分で、後半がシナリオ部分になっています。シナリオをプレイヤーとして遊ぶ予定がある人は後半には目を通さないように要注意です。 RuneQuest Quickstart については以前に簡単にブログ記事を書きましたので、こちらを参照ください。

この翻訳は公式訳ではなく英語版からファン翻訳のものをケイオシアム社のウェブページからダウンロードできるようにしてもらったもので、今後に、もし正式な日本語版が出る場合には用語などは変更になる可能性があります。

以下の英語版のページでスクロールして下の方の日の丸がああるところの近くにあるリンクから無料ダウンロードできるます。 (Add to Cart ボタンは英語版の物理本の購入ですので間違えないように)。

配布ページ: http://www.chaosium.com/runequest-roleplaying-in-glorantha-quickstart/


●クイックスタートが翻訳配布されるまでの経緯
今回のブログ記事はクイックスタートが配布されたよ。やったーで終わりなのですが、翻訳作業を手伝ったので、蛇足かもしれませんが、翻訳配布されるまでの経緯を簡単に紹介してみます。
  1. 今年の6月の Free RPG Day に英語版の RuneQuest Quickstart の冊子が(欧米の)特定のゲームショップの店頭で配布される(残念ながら日本から参加するショップは無し。ものが英語なので仕方がない)。 そして7月1日に英語版PDFが無料配布されるとのアナウンスがある。
  2. PDF公開に合わせて7月に日本でも新しいルーンクエストを集まって遊べるイベントがあるとい良いねという話が持ち上がり、有志の間で「新ルーンクエストを遊んでみる会」の企画が開始される。
  3. 企画の中で、参加する GM の中から英語ちょっと自信ないとか、プレイヤーが参照するために日本語のサマリー欲しいよねという話が出て来たので、日本語サマリーを作る計画が練られる。
  4. クイックスタートってそもそも省略ルールだし、それ自体がサマリーみたいなものだよね、だったら全部翻訳して配れば、とか無茶を言う人が出て来る。それで Chaosium 社から会場限りで翻訳冊子を配布する許可をもらう。(Chaosium社はファン活動のサポートに熱心で本当に感謝です。)
  5. そして7月に開催が決まったイベントに間に合わせるために、多数の人で分担協力して翻訳を敢行する。
  6. 最初はテキストファイルをそのままコピー本で配るとかを考えていたのだけど、翻訳作業が順調に進んだので一応レイアウト作業開始してみる。参加予定の人数がそれなりにいるのでコピー本で作成するよりもオンデマンド印刷製本業者に出した方がコストが安いということで印刷も決まり日本語版の表紙とかも作成される(元々時間がないところにスケジュール前倒し)。
  7. 最終的にはきちんと印刷製本もできて、7月中に東京と大阪でのイベントで配布され、成功裏にプロジェクト完了する。
  8. 完了したはずだった。
  9. スタッフの一人が 8月にアメリカで行なわれたゲームコンベンション GenCon 50 に参加して、そこで Chaosium のスタッフに会い日本語翻訳された冊子を手渡す。その時の話で翻訳版PDF を Chaosium 社の公式ウェブサイトから配布する約束がされる。
  10. それを受けて大慌てで目立つ誤字や脱字だけ直した日本語翻訳PDFを Chaosium社へ送付する。
  11. しかし残念ながらスタッフ多忙につき公開が遅れる。Chaosium社は小さな会社でイベントラッシュと決算時期に入ったのでそちらの作業によるものらしい。Chaosium のウェブ更新担当は財務担当執行役員(CFO)のニール(Neil)が兼任していたりします。
  12. そして、ようやく本日、日本語版が公開。(決算が終ったことや、ニールがマイクロソフト社を辞めて Chaosium専任スタッフになったことにより、ようやく時間ができたものと思われる)
ということで長々と何を言いたかったかというと、
  • 突貫工事で翻訳やレイアウト作業したものなので色々と不備があるかもしれないけど寛容にお願いします(言い訳)。
  • 訳語とかその他も時間がない中で仮に決めたものだし、何か問題があっても我々ファン作業側の問題でケイオシアム社は関係ないので、その点は誤解無きように(注意)。 
  • 翻訳許可やウェブ配布を行なってくれたケイオシアム社の皆様ありがとうございます(感謝)。
そして翻訳や印刷など各作業にあたってくれた多数の方々。ありがとうございました。本当は個々の名前を上げて感謝したいのだけど、名前を出す許可をもらってないので、まとめた形で失礼します。

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■あとは1日も早い完成版の発売を待ちたいと思います。できたらその日本語版の発売を期待したいなあ。


2017年9月16日

新ルーンクエスト(RQG)のキャラクター作成

今年の冬に予定されているルーンクエストの新バージョン、ルーンクエスト・グローランサ(RuneQuest Roleplaying in Glorantha)の草稿が先月の GenCon 50 で配布されました。


このプレビュー版 GenCon50 Preview を元に新ルーンクエストのルールとかを紹介してみたいと思います。まずは手始めとしてキャラクターの作成ルールの紹介をしたいと思います。キャラクター作成ルールの確認には 実際に作ってみるのが一番ということで、キャラクター作成を行ってみます。

クイックスタートには完成済みのサンプルキャラクターがついていただけで、キャラクター作成ルールは記載されていませんでした。今回のプレビューには完全なキャラクター作成ルールがあるので、そのれに従って冒険者を一人作成してみます。ちなみにルーンクエストではプレイヤーキャラクターのことを「冒険者(Adventurer)」と呼びます。

Step 1: 出身地(Homeland)

キャラクター作成にはまず最初に出身地を選びます。出身によって文化補正により技能などにボーナスがもらえます。
今回作成するのは名前を「オルカール」、オーソドックスに「サーター」出身の「戦士」にしよう。基本は大事。カルトは後から家族の経歴と見てから決めることにしよう。サーターのデータは以下のようになります。

出身地: サーター(Sartar)
 推奨職業: 農夫、貴族、司祭、戦士
 推奨カルト: オーランス、アーナールダ、バービスター・ゴア、チャラーナ・アローイ、ユールマル、ヒューマクト、イサリーズ、ランカー・マイ、マーラン・ゴア、ストーム・ブル、イェルマリオ
 ルーン: 風+10%
 情熱: 愛情(家族)、忠誠(氏族)、忠誠(部族)
 文化技能: 騎乗(何か)+5%、ダンス+5%、歌唱+10%、ヒョルト語会話(初期値50)、交易語会話+10%、習慣(ヒョルト人)(初期値25)、農場+20%、放牧+10%、精霊戦闘+15%
 文化武器: ダガー+10%、バトルアクス+10%、片手槍+10%、ブロードソード+15%、複合弓またはスリング+10%、中型盾+15%、大型盾+10%

STEP 2: 家族の歴史(Family History)

次に家族の歴史を決めます。それにはまず祖父母の中から最も重要な人物1人と、父母のうちどちらか重要な方を選びます。

先祖を選んだらその出身地と職業を決めます。出身地は基本は冒険者自身と同じですが、移住した理由を説明できれば別の地域を選んでも構いません。先祖の職業も同じでも構いませんし説明できれば好きなものを選んで構いません。表で D20 を振ってランダムで選ぶこともできます。

祖父母の誕生年は S.T.1561年になり、成人して 1582年からイベントのある年ごとに D20 をしてランダムに経歴を作成していくことになります。地域によって関連しないイベントはスキップします。関連する場合には全員が同じ表でロールしますが出身地によってダイス目に修正が適用されます。ターシュ側で参戦するとマイナス修正で略奪品ゲットなのに、サーター側で参戦するとプラス修正により、クリムゾンバットに喰われるとかになったります。

家族の歴史の作成にはそこそこ手間がかかるので省略する簡易作成も記載されていますが、面白そうなので今回は家族の歴史を作成することにし、普通にオルカールの父親とその父親を選ぶことにし、父の名前には「エリック」、祖父の名前を「アンドリン」と決めました。

父親も祖父もサーターの出身とし、せっかくなので職業はランダムで選ぶことにします。結果祖父アンドリンは「シャーマン」、父親エリックは「戦士」になりました。父親はシャーマンの才能無かったんでしょうね。オルカールは父を嗣いだというこですね。

最初は出来事は 1682年です。この年はサーター軍とルナー軍が最初に全面衝突した「灰色熊の峰の戦い」があった年です。

●祖父アンドリンの経歴(1582年)
祖父アンドリンはサーター側として灰色熊の峰の戦いに参加し、敗戦したものの無事生き残ります。それに続くアルダー・チュール防衛戦にも参加しテラサリン王子がアルダ・チュール公王に推戴されるのを目撃します。
⇒ 忠誠(サーター)を獲得

次のイベントは 1597年です。この年はルナーの暗殺者や陰謀によりサーターや聖王国で王族や重要貴族の暗殺や復報戦の嵐が吹き荒れました。

●祖父アンドリンの経歴(1597年)
祖父アンドリンも聖王国での戦いに参加しましたが、無事生き延びました。

次の大イベントは 1602年のルーナー帝国の侵攻とサーターの占領のあった年です。

●祖父アンドリンの経歴(1602年)
祖父アンドリンはボールドホーム戦役に参加しますが、ここも何事も無く生き延びます。意外と強運な模様。

それに続く1603年から1604年に混乱の年に何があったかも決めます。

●祖父アンドリンの経歴(1604年)
祖父アンドリンは混乱状態のドラゴンパスを避けて家族でパヴィスに避難するこにします。(おい、ちょっと、どうしてくれんだサーター出身のはずなのに)。この年も何の問題もなく生き延びたということになります。

次の1605年はルナーの聖王国侵攻によるビルディング・ウォールの戦いがあります。

●祖父アンドリンの経歴(1605年)
祖父のアンドリンは、この年はパヴィスにいたのでイベントに関係せず無事です。そしてここで隠退になります。祖父は色々な事件に参加しましたが強運により無事生き延びましたが、一方でこれといった特筆すべき活躍も無かったのでボーナスもほとんど入手できませんでした。彼はきっとプラックスの現地シャーマンと意気投合でもして友人になり、混乱を増す現世を尻目にフラフラしているのでしょう。

次は親の経歴を決めます。親は1582年の生まれで、1604年頃に結婚して冒険者(PC)が生まれたことになります。最初のイベントは 1608年のルナーのプラックス侵攻です。

●父エリックの経歴1608年)
父エリックの経歴の開始、結果はいきなり死亡。それもイベントとかに絡まない単なる病死、当然ボーナスとかも無し。ちょっとこれどうするの?。ひどい結果になってしまいました。祖父の強運に比べて、父親には運が無かったようです。ここは何か考えよう。グローランサだし単なる病死じゃないかもしれない。ブルーと戦ったのかもしれないし、プラックスの病の精霊に襲われた可能性もあるかも、よし、マリアの混沌シャーマンに病の精霊をけしかけられたことにしよう。父親を失なったオルカール君(当時4歳)は母親に連れられてサーターに戻ったのだが、いつか父の仇を討つことを幼いがらに誓ったのだった。

この後、1610年のパヴィス占領とジャ=イールのターシュ王救出、1613年のスターブロウの叛乱、1615年のグレイズランド戦役、1616年の白い牡牛と獅子王の饗宴、1618年のグレイメインの大襲撃、1619年のヘンドリキング戦役、1620年のヒョルトランド戦役、1621年のホワイトウォール陥落と冬の年とイベントが起きます。

●父エリックの経歴(1610-1621年)
色々な大事件が続きますが、エリック死亡済みなので、この辺は全部スキップになります。母親の経歴に切り換えてロールするとかやった方が面白そうだけど、とりあえずルール通りでこのまま。

1622年からは先祖ではなく本人の経歴を決めます。だいた17歳くらいからですね。1622年には大いなる冬の二年目、オーロクス丘の戦い、エスロリア内戦などがあります。

●オルカールの経歴(1622年)
その前に、そろそろカルトを決めておこう。オルカールは父親の仇を討つと決めたので「ストーム・ブル」に入信し、ブルの対混沌傭兵団に参加したあたりかな。
そしてイベント表で1622年のロール結果は「ランダムな恩恵」、ランダム表の結果は「古の種族の一つと友誼を結ぶ」、好きな種族を選べるんだけど適当にサイコロを振って決めるとモスタリ、オルカールは世間の大事件には関わらず個人的な冒険をしてドワーフ鉱山のモスタリたち友人になっていたようです。
⇒ 知識(ドワーフ)+10%を獲得、ドワーフとは今でも友誼がある。

次の1623年には各地で内戦が勃発します。エスロリアではルナー軍によるノチェット攻防戦が行なわれます。

●オルカールの経歴(1623年)
オルカールのロール結果はまたしても「ランダムな恩恵」で「動物か物品に呪縛された POW 3D6、CHA 2D6 の精霊を獲得する」。あいかわらず個人的な冒険を続けていたようです。ロールの結果精霊は POW 14、CHA 7 でした。角付き兜に呪縛されていることにしよう。

次の1624年もハレック参戦のペンネル渡しの戦いと驚異の都の略奪、アーグラスによる黄金の歯のジャルドン復活と大イベントが続きます。

●オルカールの経歴(1624年)
オルカールは「ペンネル渡しの合戦」に参加します。ようやく世間に目を向けた模様。結果は大いなる栄光を獲得。
⇒合戦+10%、評判+5%、帰依(ストームブル)を獲得
この後オルカールはハレックについて行くかアーグラスについて行くかの二択があります。どっちでも良かったのでサイコロで選んでハレックと驚異の都の略奪に参加することに。ここでD20の結果は 20。 何とハレックと友人になります。バーサーカーどうし気があったのかもしれません。
⇒ 忠誠(狂戦士ハレック)、評判 +4% を獲得

さらに驚異の都で略奪品としてロールで「2ポイントの精霊魔術呪文のマトリックを持つ、古代の黄金の蛇のアームバンド 2D6x100 L」を入手。呪文はビファドル(惑い)にして、価格ロールの結果 500L になりました。

経歴作成の最後の年 1625年 はアーグラスのパヴィス解放と、ドラゴンライズという大事件の年です。

●オルカールの経歴(1625年)
オルカールはドラゴンライズを目撃し、ここでもサーター解放戦に参加し大活躍、大いなる栄光を獲得します。
⇒ 忠誠(サーター)、評判+3%、合戦+10%獲得

これで経歴の作成は終りです。ここまで経歴で得たものをまとめると
  • 忠誠(サーター) 70%
  • 忠誠(狂戦士ハレック) 60%
  • 帰依(ストームブル) 60%
  • 合戦 +20%
  • 古えの種族知識(ドワーフ) +10%
  • 評判 +12%
  • 黄金の蛇のアームバンド(ビファドルのマトリックス) 500L相当
  • 兜に呪縛された精霊(POW 14, CHA 7)
  • ドワーフとの友誼
  • ハレックとの友誼
ぱっとしない先祖とは裏腹に、ダイスの錯乱で本人は異常なまで大活躍。

STEP 3: ルーン親和性(Rune Affinities)

次は本人の持つルーンを決めます。信仰する神に対応したルーンが必要になるので、この時点までにカルトを決めておくべきでしょう。まずは闇、水、地、火、風、月の6つのエレメントの中から 3つを選んで 60%、40%、20% を割り振ります。

オルカールのカルトはストームブルと決めたので、風60% は確定として残りの二つを何にするかです。ここは奇を衒わずサーター人らしく 、地40%、闇20% としました。

次に対抗する力のルーンと形態のルーンを選択します。力のルーンは基本値が全て 50% で対になる二つの合計は常に100%、片方を増やすと反対側が減る仕組みになっています。加えて人と獣のルーンがペアになっています。この中から 2つを選んで 75% にします。

オルカールの場合はここで悩む必要はないですね。ストームブルに対応した、死75%、獣75%を獲得します。反対の豊穣と人のルーンは 25% に減少します。

その後に 50% を好きなルーンに割り振ることができます。

オールカールは大地+40%、風+10%をルーンに割り振り、サーター出身による、風+10% を適用して、結果以下のようになりました。大地に割り振ったのはドワーフつながりで、武器を何となっく戦斧にしようかと思ったため。

風80%、大地80%、闇20%、獣75%、死75%、豊穣25%、人25%

STEP 4: 能力値(Characteristics)

次は能力値を決めます。能力値は今までと同じく STR, CON, POW, DEX CHA は 3D6 で、 SIZ と INT は 2D6+6 で決定します。弱過ぎて死ぬのは面白くないので強いキャラクターを作成するよう示唆されており、1 のダイス目は振り直しできます。さらに合計値が 92 以下ならば好きな能力値に 3 ポイントを割り振れます(ただし最大は 18 まで)。

オルカールの出目は STR 17, CON 11, SIZ 15,INT 13, POW 10, DEX 14, CHA 11。STRの17は戦士には絶好の出目、POW 10が少し物足りませんが、ほかは平均かそれ以上の出目が出ています。1の目振り直しは結構強力ですね。ボーナスの +3 は欠点を補うより尖っていた方が面白いということで全部 DEX に割り当てることにします。

次にエレメントのルーンに関連した能力値のボーナスが獲得できます。一番強いエレメントで +2、二番目に強いエレメントで +1 を能力値に獲得できます。対応は、闇:SIZ、水:DEX、地:CON、風:STR、火:INT、月:POW になっていて、どのエレメントでも CHA を選択できます。このボーナスにより 18 を超える能力値を持つことが可能になります。

それから一部の出身地では能力値に補正がある場合があります。大柄なバイソン族とか、ピグミーのインパラ族とかの場合です。

オルカールは風(STR/CHA)と大地(CON/CHA)が同値なのでどっちを+2にするか選択できるのですが、STR+2, CON+1 を獲得することにします。サーターは出身による能力値補正はないので最終的な能力値は以下のようになりました。

STR 19,  CON 12,  SIZ 15,  INT 13,  POW 10,  DEX 17,  CHA 11

能力値が決まったら、表を参照して能力値から算出される属性値を計算します。このあたりちょっと面倒ですが、RQ2 とほぼ同じなので慣れた人ならすぐできると思います(笑)

オルカールの属性値は以下のようになりました。
移動力: 8
マジック・ポイント:       10
ヒット・ポイント: 13 (頭5、腕4、胸6、腹5、脚5)
回復レート 2
ダメージボーナス +1D6
精霊戦闘ダメージ: 1D6
最大ENC: 15.5
ストライク・ランク:DEX:1、SIZ:1、BASE:2
運動スキル分野: +15%
交渉スキル分野: 0%
知識スキル分野: +5%
魔術スキル分野: 0%
操作スキル分野: +20%
知覚スキル分野: +5%
隠密スキル分野: +10%
ダメージボーナスとか操作技能は優秀、ヒットポイントは普通、魔術とか交渉とか知識とかは残念な感じです、ブルメンにその辺を期待する人はいないだろうということできっと大丈夫です。

STEP 5: 職業(Occupation)

次は職業を選択し、職業によるスキルボーナスや初期装備を獲得します。また職業に対応する推奨情熱から一つ選んで獲得できます。

オルカールの職業は戦士ですが、戦士にはサブカテゴリーが存在していて「重装歩兵」「軽装歩兵」「重装騎兵」「軽装騎兵」があります。重装歩兵を選択することにします。
職業: 戦士(Warrior) - 重装歩兵
 部隊の武器: D6で決定
  1-4: 片手武器(どれか)と大型盾
  5-6: 両手武器(どれか)、イェルマリオならパイクと盾も可
 出身: ルナー・ターシュ、エスロリア、サーター、特に陽の天蓋戦士団
 技能: 合戦+30%、歌唱+10%、視覚+10%、部隊の武器(それぞれ)+25%、
その他の武器(どれか)+25%、武器(どれか)+15%、応急手当+15%、聞き耳+10%
 生活レベル: 自由民
 収入: 60L
 推奨カルト: アーガン・アーガー、バービスター・ゴア、ヒューマクト、七母神、イェルマリオ、
 推奨情熱: 名誉、忠誠(指導者)、忠誠(部隊)
 身代金: 500L
 装備: ヘビースケイルの長鎧(5pt)かディスクプレートの胴着(5pt)に鋲打ち革のスカート(3pt)、プレートの籠手と脛当て(6pt)、クローズドヘルム(5pt)、対応する武器、傷跡をD3、寝袋、良い衣服、コイン20L、2xD100Lの略奪品

部隊の武器はD6の結果、両手武器になりました。ストームブル傭兵団ならバーサークしたら受け(パリー)はできなくなるので、盾を持たないのは順当ですね。どうせなら威力最大を目指すということで、部隊の武器はダガーアックスということにしました。ダガーアックスは聞き慣れない武器かもしれませんが、要は両手用の大型矛で、前の版にあったポールアックスとかハルバードとかと同種のものです。ハルバードは近世の武器なのでグローランサに合わないので名前が変更になったのでしょう。
任意の武器はドワーフからもらったということにして、ヘビークロスボウ、標準的なブロードソードを鍛えたことにしました。情熱は「名誉」を選択、略奪品の価値は 75 をロールしたので 150 L になりました。

STEP 6: カルト(Cult)

次はカルトに入信します。カルトを一つ選んでその神のルーンポイント(3ポイント)を獲得します。必要なら POW を追加で支払ってルーンポイントに変換できます。ルーンポイントの数の特殊ルーン呪文を初期呪文の中から選択します。

それからカルトおよび関連カルトの精霊呪文の中から5ポイント分を獲得します(魔道カルトの場合にかわりには魔道呪文を2つ修得することもできます)。

次のカルトの初期スキルを獲得し、推奨スキルのからどれかを +20% と +10%し、推奨情熱の中からどれか一つを獲得します。

オルカールはストームブルに入信しています。

カルト: ストーム・ブル(獣死風)
 初期技能: 文化の武器(どれか)+15%、混沌感知+20%、威嚇+10%
 推奨技能: 合戦、カルト知識(ストーム・ブル)、近接武器、遠隔武器、騎乗、視覚、捜索、混沌感知、追跡、群の動物を理解、礼拝(ストーム・ブル)
 推奨情熱: 帰依(ストーム・ブル)、憎悪(混沌)、忠誠(ストームカーン)
 聖日: 大聖日(火/安定/嵐)、聖日(凍/安定/海、水/安定/火、土/安定/地、風/安定/闇)
 関連カルト: チャラーナ.アローイ、アイリーサ、アーナールダ、オーランス、ワーハ、ゾーラク・ゾーラン

ストーム・ブルの特殊ルーン呪文は3種類しかないので悩むまでもなく、バーサークフェイス・ケイオス(混沌対峙)インピード・ケイオス(混沌妨害)を獲得します。早いところオーランス神殿に行ってシールド(盾)呪文を入手すべきでしょうね。

ストーム・ブルの関連カルトは多彩なので精霊呪文の選択肢は多岐に渡り、色々と悩んだのですが、必須のヒール 2、長所の STR をさらに延ばすストレグス(2)、獲物を足止めするためのスロー(1)を獲得することにしました。

スキルはブロードソード+15%、混沌感知+20%、威嚇+10%に加えて、主武器の大矛(ダガーアックス)+20%、あとは追跡+15%を獲得することにします。

情熱はやはり「憎悪(混沌)」を取らないわけにはいかないでしょう。

STEP 7: 個人的スキルボーナス

次は個人的なスキルボーナスです。好きなスキルを 4つを選択して各 +25% できます(ただし100%が上限で、それを超えた分は切捨てになります)。さらに別の 5つの技能を選択して、それぞれ +10%できます。

色々と悩んだ上で、やはり混沌退治の戦士として有能であるべきということでダガーアックス、威嚇、追跡、混沌感知をそれぞれ +25% にしました。

残りは趣味的にヘビークロスボウ、挌闘、回避、視覚、古えの種族知識(ドワーフ)を +10% にしました。ドワーフ知識はいらない気もしますが、せっかく入手した特異なスキルなので伸ばしておきました。重装歩兵に回避も無駄な気がしますが趣味ということで。

ここで関連言語の獲得をします。グローランサの言語には互いに関連したものがありそれを獲得できます。獲得後はそれぞれ個別に成長させる必要があります。

オルカールのヒョルト語会話は50%なので、エスロリア語25%、古パヴィス語10%、嵐の言葉10%、ターシュ語10% を獲得します。

STEP 8: その他の情報

性別、名前、年齢、誕生日、利き手、傷跡、所属する家族、部族、都市、氏族などを決めます。

オールカールの場合はダイスとか使って適当に決めてこんな感に。
名前: 真っ二つのオルカール(Orkarl the Hacker)
性別: 男性
年齢: 21歳
誕生日:地の季/死の週/水の日
利き手:
傷跡: 左手の中指の指先がない(混沌に喰いちぎらた)
家族: 祖父アンドリン(シャーマン)はプラックスを放浪している。
叔父(父の弟)がパヴィスにいる。
母と母方の親戚がマラニ部族で農場を営んでいる。
姉がボールドホームの貴族に嫁いでいる。
部族: マラニ部族
氏族: 青狐の氏族出身だが、入信した時に縁が切れている

そして家族の遺産(Family Heirloom)の表で D20 をロールできます。

オルカールの遺産表のロールは D20 で 20が出て「この表でもう2回ロールする」これはラッキー。一つ目は「2D6+3 の MP格納クリスタル」。結果9ポイントの マジック・クリスタルを獲得

もう一つは「覚醒した小動物の忠実な仲間(SIZ 2以下、INT 3D6、POW 3D6、会話可能、精霊呪文3ポイント修得)」。ロールは INT 14 と POW 17 になりました。POW 17 もすごいけど、INT 14 も主人より賢くないか、こっちが本体なのか? 種類は小さな猛禽でスズメフクロウにして、普段は腰に下げた小箱に住んでいることにしよう。修得呪文はヒール(治癒)持たせるのが一番有利なのだけど、面白さにかけるので、リペア(修復)モビリティ(速足)ディスラプション(破裂)にしよう。あと名前をつけないと、「デイム(貴夫人)」にしよう。

最後に初期の評判を決めます。貧民なら 5%、自由身分な 10%、貴族なら 15% に経歴などでの修正を加えたものが開始時の値になります。

オルカールは戦争で大活躍したり、ハレックと友人になったり、やりたい放題でそこそこの有名人、評判の値は 22%。

まとめ

最終的なスキルの値とかを計算して、形式を整えるとこんな感じになりました。いい感じじゃないでしょうか?
オルカール、エリックの息子
マラニ部族出身の戦士、21歳、男性、ストーム・ブルの入信者

自己紹介: ああ? 自己紹介? おれが真っ二つのオルカール(Orkarl the Hacker)だ。混沌は大嫌いだ。酒をおごってくれるやつは大好きだ。以上だ。……おお悪いね。いいエールじゃないか。俺の父エリック・アンドリンソンは良い戦士だったが若くして病死した。実はプラックスで病のシャーマンの恨みをかったせいだ。祖父アンドリンと仇敵のシャーマンとの間の揉め事に巻き込まれたんだ。祖父アンドリンは有名だからお前も知っているかもしれない。ターカロール大王が灰色熊の峰で戦った時にシャーマン別働隊を率い、テラサリン王子を助けた梟羽根のアンドリンのことだ。とにかく俺は父の仇を討つために雄牛の傭兵になって混沌野郎の殺しかたを学ぶことにした。俺が最初にぶっ殺したのが、その父の仇の混沌呪術師で穢らわしい臆病者に相応しい死にかたをさせてやった。俺が代償にしたのは左手の中指に先っぽだけだ。その後も混沌を追いかけて色々な所で戦った。ウォクタピの軍団に襲われていたドワーフたちを助けた時には随分感謝された。ドワーフたちは今でも俺のことを友人と呼んでくれる。戦争にも参加した。ペンネル渡しの合戦で最初に突撃して名声を勝ち取ったウーロキシ部隊の中で最も活躍したのが俺だ。その後、海の海賊たちと一緒に驚異の都にも行った。そこでやつらの大将のハレックとの友誼を得た。あいつは凄いやつだ。とにかく凄いやつだ。怒ってる時には近くにいないことだな。去年は混沌使いのルナー野郎どもを追い回すのに忙しかった。今は次に滅ぼすべき混沌を探している所だ。

 STR 19       CON 12         SIZ 15
 INT 13POW 10DEX 17
 CHA 11

 マジック・ポイント: 10
 ヒット・ポイント: 13

 評判: 22%
 回復レート: 2
 ダメージボーナス: +1D6
 精霊戦闘ダメージ: 1D6
 最大ENC: 15
 ストライク・ランク: DEX:1、SIZ:1、BASE:2
 移動力: 8
 身代金: 500L
 収入: 60L

 部位          D20             HP
 右脚01-04 6  5
 左脚05-08 6       5
 腹 09-11 5  5
 胸 12  5  6
 右腕13-15 6  4
 左腕16-18 6  4
 頭 19-20 5  5

 武器 ダメージ % HPENCSR射程
 ダガーアックス 3D6+1D6  9510 3  3  2
 ブロードソード 1D8+1+1D6  75   12    1  4  1
 ダガー(2本) 1D4+2+1D6 50 6 1/2     6      0.3
 ヘビークロスボウ   2D6+2  80 10 2  1   100
 挌闘 -  55 腕 -  6  0

 防具 APENC部位
 クローズヘルム  5         1          頭
 ヘビースケール長鎧 5  3   胸、腹
 青銅プレートの籠手 6  2   腕
 青銅プレートの脛当      6  2   脚

ルーン:
 風 80%
 大地            80%
 獣 75%
 死 75%
 豊穣25%
 人 25%
 闇 20%

情熱:
 忠誠(サーター) 70%
 名誉 60%
 忠誠(狂戦士ハレック)   60%
 帰依(ストームブル) 60%
 憎悪(混沌) 60%
 愛情(家族) 60%
 忠誠(氏族) 60%
 忠誠(部族) 60%

技能: (※記載のないスキルは初期値のまま)
運動スキル分野(+15%)
  登攀 55%
  騎乗(馬) 30%
  回避 59%
  ジャンプ 66%
交渉スキル分野(0%)
  ダンス 20%
  歌唱 30%
  ヒョルト語会話 50%
  交易語会話 10%
  威嚇 50%
知識スキル分野(+5%)
  合戦 65%
  種族知識(ドワーフ)       35%
  習慣(ヒョルト人) 30%
  農場 35%
  放牧 20%
  応急手当 30%
魔術スキル分野(0%)
  混沌感知 45%
   精霊戦闘 40%
知覚スキル分野(+5%)
  視覚 50%
  聞き耳 35%
  追跡 50%
操作スキル分野(+20%)
隠密スキル分野(+10%)

言語: 
 ヒョルト語会話 50%
 エスロリア語会話       25%
 交易語会話 10%
 古パヴィス語会話10%
 ターシュ語会話 10%
 嵐の言葉 10%

ルーン呪文:
 共通ルーン呪文全て
 バーサーク
 フェイス・ケイオス(混沌退治)
 インピード・ケイオス(混沌対峙)

精霊呪文:
 ヒール(治癒) 2
 ストレングス(筋力) (2)
 スロー(鈍足) (1)

持ち物:
 寝袋、良い衣服、コイン20L、150L相当の略奪品
 黄金の蛇のアームバンド(ビファドル(惑い)のマトリックス) 500L相当
 兜に呪縛された精霊(POW 14, CHA 7)
 9ポイントのMP格納クリスタル

特記事項:
 「デイム」覚醒したスズメフクロウ(INT 14, POW 17)
   リペア(修復) 1、モビリティ(速足)(1)、ディスラプション(破裂)(1)を修得
 ドワーフとの友誼
 ハレックとの友誼

■感想

いやー面白かった。作ってるだけで楽しいですね。一方で思ったより作成に時間がかかりました。サイコロを振ったり、表を参照したり、計算をしたり、呪文を選んだり、装備を書き写したり。これは全員がルールブックか関連ページのコピーを所持していないと大変ですね。

時間はかかるものの色々と深くて面白いキャラクターができるのキャンペーン向きと言えそうです。一方で単発セッションとかで作ってすぐに遊ぶというのには向いていない感じ。単発セッションの場合はスキル割り振り済みの半完成版のテンプレートとか準備しておくとか工夫が必要そうです。

2017年8月13日

クトゥルフ・ウォーズ第三弾 残り2日

現在キックスターターで支援募集中のクトゥルフ・ウォーズ第三弾(Cthulhu Wars Onslaught 3)の募集期間が後2日(48時間)を切っています。支援予定の人はお急ぎください。

キックスターター: https://www.kickstarter.com/projects/1816687860/cthulhu-wars-onslaught-3

詳しい紹介は前回の記事を見てもらうとして、前回の記事からの追加/変更分について簡単に紹介しておきます。

●チョーチョー人勢力のルール改訂
まずは最初にキックスターターの中で公開されたバランス調整のためのルール変更について紹介しておきます。

第二弾の新勢力である「チョー・チョー人(Tcho-Tcho)」勢力ですが、一部の人たちから強過ぎるという苦情が出ていました。実際にはそこまで強くはないのですが先行逃げ切り型の勢力なため、上手な人がプレイしていったん逃げ体勢に入ってしまうと、それを妨害するのが困難というのが理由のようです。

それに対応するために以下のようにルール改訂されることが決定したそうです。
1) 神々の石版(Tablets of the God)の呪文書を以下に変更:
「あなたの大司祭のいる門(ゲート)のある地域ごとに、旧神の印(Elder Sign)を1枚獲得する。その後に大司祭を全て失なう」

2) 教主(Hierophants)の呪文書に以下のルールを追加:
「もし大司祭拡張を使用している場合には、呪文書を最初に獲得した際に全ての勢力が大司祭を獲得できる」
この変更は今後生産されあるチョーチョー人拡張には最初から適用済みであり、キックスターター参加者全員に、改訂版の「呪文書」が配布される予定とのことです。

●狂暴アザトース(アドオン)
 狂暴アザトース(Dire Azathoth)がアドオンとして追加されました。これはアザトース拡張に付属してくるのは別バージョンのアザトースです。どの支援レベルにも含まれていないので欲しい人は金額に $15 上乗せてしておいてください。

●ノーデンス
なんと古き神々のノーデンス(Nodens)が旧支配者相当として追加されました。これは支援者全員に無料で付いてきます。太っ腹。

●闇にうごめく者
「ニャルラトテップの仮面(Masks of Nyarlathotep)」セットに追加が予告されていた新しいユニットは闇にうごめくもの(Haunter of Dark)だったようです。

●根絶マーカーの変更とダイスの追加
シャガイ・マップ(Shaggai Map)に付属する根絶マーカーのデザインが以下のよう変更になりました。元々のデザインの方はスタート・プレイヤー表示用のマーカーとして付属するみたいです。

同じくシャガイ・マップに専用の崩壊ダイス(Degradation Dice)が付属することになりました。

●標準的な侍祭信者
新しい勢力の信者(New Faction Acolytes)セットに、チョーチョー人(Tcho-Tcho)勢力と古代のもの(Ancients)勢力の標準的な侍祭信者が付属することになりました。このセットは各勢力ごとに独自デザインの信者を追加するものですが、最初から独自デザインになっている勢力については逆に標準デザインのものが付属することになったようです。

●無名の勢力セット(アドオン)
灰色の侍祭信者、大司祭、勢力マーカーのセットです。これは中立のユニットを使って独自勢力をデザインするために使用します。今回のキックスターターに合わせてデザインコンテンストなどもやっていました。自分でデザインしない人でも、ネットから拾ってきたものを遊ぶために必用そうです。アドオンなので欲しい人は $15 を金額に上乗せしておきましょう。

●輝くトラペゾヘドロン
輝くトラペゾヘドロン(Shinning Trapezohedron)プラスティック・マーカーセット。基本セットや色々な拡張についてくる厚紙製のマーカーを、プラスティックのマーカーにおきかえるためのセットです。これは第二弾のアドオンと同じものですが、買い逃した人たちからの要望により今回もアドオンとして購入できることになりました。あと1分間を計測用の砂時計もついてきます。ちょっと高めの $40 です。

●ストレッチゴール
上記の変更以外にもストレッチゴールの達成により以下のような多数のおまけが追加になっていて、全員に付属します。

残り期間がまだ少し残っているので、さらなるストレッチゴール達成も期待できます。現在目標となっているストレッチゴールには以下のようになっています。

●送料
未定となっていたアジア/世界の残りの地域宛の送料の推定が出ています。あいかわらずアジア向けはかなりの高額になっています。なぜか、それよりさらなに高額の地域が記載されていて、惑星シャガイ宛の送料だったります(おちゃめ)。惑星シャガイは現在は滅亡しているはずなので、誰がゲームを注文したのか謎は深まります。
--
配布予定は来年の春から夏にかけてになっています。今から待ち遠しいです。

2017年7月29日

クトゥルフ・ウォーズ 第三期キックスターター

クトゥルフ・ウォーズ 第三期(Cthulhu Wars Onslaught 3)がキックスターターにて現在支援者を募集しています。その応援を兼ねて、簡単な内容紹介を書いてみたいと思います。


キックスターター募集ページ: https://www.kickstarter.com/projects/1816687860/cthulhu-wars-onslaught-3
募集期限: 2017年8月15日 午前9時まで

●クトゥルフ・ウォーズとは
過去に簡単な紹介記事を書きましたのでそちらを参照ください。

●クトゥルフ勢力のルール改訂
第三期キックスターターの紹介の前に、既存のコアルール付の「大いなるクトゥルフ(Great Cthulhu)」勢力についてバランス調整のために一部能力が変更されるとの報告がありました。今遊んでいる人にも少し影響があると思うので最初にそれを紹介しておきます。
1)  潜水(Submerge)の呪文書を使用して潜水状態から再び出現(Emerge)する際のコストを 1 から 0 (無料)に変更。 

2)  夢(Dream)の呪文書の使用コストを 3 から 2 に変更
クトゥルフ勢力は人気はあるのですが、初心者では微妙に勝ち切れないという問題が統計的に明らかになってきたので、看板勢力として強化梃入れされることになったようです。今後新しく増産されるコアルールに付属する「呪文書」は新しいルールに入れ換えられるとのことです。既存のユーザーも今回のキックスターターに応募した人全員に交換用の呪文書が配布される予定とのことなので、お見逃し無く。

●オメガ・マスター・ルールブック (Onslaught 3 版)

今回のキックスターターで支援した人全員にオメガ・マスター・ルールブックの最新版が配布されます。これは基本と全部の拡張を含めたクトゥルフ・ウォーズの全ルールが記載されているフルカラー・ハードカバーのルールブックです。前の版との違いは、今回の第三期で追加される新拡張のルールが追加されてたからだそうです。とにかく200ページのハードカバー本($30相当)を参加者全員に配布ということなので太っ腹。PDF版は上記のキックスターターの募集ページから無料で今すぐダウンロードすることができます。

●「古代のもの(Ancients)」勢力
今回追加される新勢力で、通算で 9個目の勢力になります。この勢力を構成するのは地底世界クン・ヤン(K'n-Yan)に住む太古の超科学を持つが頽廃した人たちであり、邪神戦争に乗じて地表征服に乗り出すという設定のようです。この勢力には以下のように旧支配者がいないかわりに、力を秘めた大聖堂が四つ付属しているようです。

(独特な形状の)侍祭信者(Acolyte) 6人
反人間(Un-Men) 3体
蘇生されしもの(The Reanimated) 3体
ヨスの民(The Yothans) 3体
大聖堂(The Cathedrals) 4宇

●シャガイ・マップ(Shaggai Map)
今回の新しい拡張マップです。シャガイからの虫の出身地となる惑星シャガイを舞台にしているようです。この惑星は既に数世紀前に破壊されているのですが、その破壊の時代を舞台として、グロースにだんたんと破壊されていく惑星を舞台に戦うというコンセプトのようで、地形は虫を表現した幾何学的な六角形になっているようです。以下のユニットが付属します。

グロースの長虫(Worms of Ghroth) 6体
根絶フィギュア(Eeradication Figure) 15個

※ストレッチ・ゴール達成により支援レベルがワンプ($149)と侍祭($200)以外の人には6〜8人用の拡張シャガイ・マップ($30相当)も無料で付属することになりました。

●ニャルラトホテプの仮面(Masks of Nyarlathotep)
ニャルラトホテプには多くの異なった姿があるとされていますが、この拡張はそれら異なった姿をユニット化したもので、以下のようなユニットが含まれています。キックスターターの応募状況によってはストレッチゴールとしてさらなるユニットを追加する計画もあるようです。

膨れた女(Bloated Woman) 1体
影のファラオ(Shadow Pharaoh) 1体
闇の魔神(Dark Demon) (9色、各1体)

●時空を超えて(Beyond Time and Space)
時空に関連した怪物を集めた拡張パックで、以下のようなユニットが含まれているようです。目玉となるのは何といってもティンダロスの猟犬でしょう。

ティンダロスの猟犬(Hound of Tindalos) 1体
ワンプ(Wamp) 4体
ヴーニス(Voonith) 2体

●狂暴クトゥルフ(Dire Cthulhu)
別形態のクトゥルフ・フィギュアで、コアルール付属のクトゥルフが細くてどちらかというと知的な感じだったの対して、こちらはよりごつくて狂暴な感じのユニットになっています。クトゥルフは姿を変えることができるのでどちらも正しい姿なのだとか。このフィギュアはコアルールのものと入れ換えて使うこともできますし、独立の旧支配者として使うための専用のルールも付いてきます。あなたが発狂しているようなら両方のクトゥルフを同時に使っても構わないとか何とか。

●新しい勢力ごとの信者(New Faction Acolytes)
これは既存のコアルールや拡張ルールについてくる侍祭信者を入れ換えるための拡張パックです。前回の「チョー・チョー人」勢力や今回の「古代のもの」勢力に付属している侍祭信者は独特の形状をしているものの、第一期の信者は単なる色違いで全部同じ形状をしていました。この拡張はそれら7勢力それぞれごとに専用にデザインされた信者が 6体づつ付いてきます。例えば大いなるクトゥルフ勢力の信者は、目玉の飛び出したインスマス面になっているようです。ゲームルール上は違いはないようですが盛り上がること間違い無しです。あと色盲/色弱でも違いがわかるようにとのユニバーサル・デザイン的な配慮もあるようです。

●戦闘ダイス(Battle Dice)
キックスターター恒例の戦闘専用ダイスです。今回は何と勢力ごとの色と銀色の10色が準備されており好きな色を選ぶことができます。どの色でも 20個で $15、全10色200個まとめてお得な $60 で入手することも可能です(普通はそんな数は必用はないでしょうが各勢力の色が欲しい場合に)。

●中立ユニット識別リング(Neutral Unit Identifiers)
クトゥルフ・ウォーズのユニットは各勢力ごとに色分けされているのですが、中立のユニットは灰色で誰が使用しているのか色からは区別できません。この識別リングは各中立ユニットの下において誰が使用しているか一目で識別できるようにするためのものです。各 9 勢力それぞれの色で、大型から小型まで色々なサイズのリングが付属しており、全部で144個が付属しているとのこと。

●3mm厚の滅亡トラックと全滅の祭儀トラック
コアルールに付属している滅亡トラックと絶滅の祭儀トラックは普通の厚紙に印刷されたものだったのですが、次に生産される新版からは勢力ボードと同様の3mm厚のボード紙に変更されることになりました。それで旧版の購入者にも3mm 厚版が欲しいという人がいれば個別で販売するということのようです。

●既存分のアドオン
希望すれば以下のような第一期や第二期の拡張も個別アドオンとして追加することもできます。特に価格的なメリットはないようですが、全部入りは必要ないけど一部欲しい場合に個別に選んで追加することができます(現時点では金額だけ追加しておき後から指定します)。(ダイスやゲートなどの)一部の拡張は今後個別販売されるか決まっていないので、この機会を逃すと買えないかもしれません。

コアルール(Cthulhu Wars Core Game)  $199
道を開くもの(Opener of The Way)勢力  $50
眠れるもの(Sleeper)勢力  $50
風を歩むもの(Windwalker)勢力  $50
チョー=チョー人(Tcho-Tcho)勢力  $50
アザトース(Azathoth)拡張  $50
6〜8人用地球マップ(6-8 Player Earth Map)  $20
宇宙的恐怖(Cosmic Terror)パック  $25
不気味なゲート(Eldritch Gate Pack)  $50
   - これは過去の立体ゲート22個と、宇宙からの色ゲート8個をセットしたものようです。
大司祭(High Priests)拡張  $15
特殊ダイスパック(Custom Dice Pack)  $12
コアゲームのドイツ語/フランス語ボードと呪文書  $25
コアゲームと主要な拡張のドイツ語/フランス語ボードと呪文書  $100

●ストレッチゴール
今回のキックスターターでも応募金額の上昇にともなって参加者に無料で配られるおまけが追加されていっています。既に現時点での以下のようなおまけが付いており、これからも増える予定のようです。

クトゥルフ・Tシャツ値引きコード
暗闇で光るゲート 1個
HPラブクラフト開始プレイヤーマーカー
    - 第一期のおまけにあったランタンを持つラブクラフトの色違いバージョン
灰色の「古代なるも」の侍祭信者フィギュア
灰色の」黒き山羊」の侍祭信者フィギュア
灰色の」這いよる混沌」の侍祭信者フィギュア
    - これらは主に飾っておくようですかね
探索者(Investigators): ジョン・ダーク
探索者(Investigators): ナオミ・ジョスリン
    - とうとうクトゥルフ・ウォーズにも「探索者」が参入。敵勢力に押しつけて脚を引っ張るのに使うみたいです。現時点では 2人だけですが今後も追加されていく模様。

●支援レベル
今回のキックスターターには以下のような支援レベルがあります。

★ワンプ(Wamp) $149
今回の新拡張のうちメインとなる以下の4つとストレッチゴール分が付属しています。狂暴クトゥルフ(Dire Cthulhu)とか他の小物は付属していません。

古代なるもの(The Ancients)
シャガイ・マップ(Shaggai Map)
ニャルラトホテプの仮面(Masks of Nyarlathotep)
時空を超えて(Beyond Time and Space)

★ヨスの民(Yothan)  $199
今回の新規分のほぼ全てがついています。既に色々持っている人には一番のお勧めです。ダイスだけは1色20個のみなので、ダイス全色200個セットが欲しい場合はアドオンで追加する必用があります。あと追加するとしたら 3mm厚の滅亡トラック祭儀トラックあたりですかね。

古代なるもの(The Ancients)
シャガイ・マップ(Shaggai Map)
ニャルラトホテプの仮面(Masks of Nyarlathotep)
時空を超えて(Beyond Time and Space)
狂暴クトゥルフ(Dire Cthulhu)
新しい勢力ごとの信者(New Faction Acolytes)
戦闘ダイス(Battle Dice) 1色20個
中立ユニット識別リング(Neutral Unit Identifiers)

★侍祭(Acolyte)  $200
今からクトゥルフ・ウォーズを始める人向けの開始セット。コアルールと、過去分も含めて好きな拡張の中から1つを選べます。狂暴クトゥルフとストレッチゴールのまけも付いてくるのでかなりお得です。

コアゲーム(Core Game)
好きな拡張1個選択
狂暴クトゥルフ(Dire Cthulfu)

★ティンダロスの猟犬(Hound of Tindalos) $599
コアルールのみしか持っていなくて、拡張を一気に揃えたい人向けです。以下のように今回の新しい拡張と過去の主要な拡張全てが付いてきます。さらにダイス200個全部つき。

古代なるもの(The Ancients)
シャガイ・マップ(Shaggai Map)
ニャルラトホテプの仮面(Masks of Nyarlathotep)
時空を超えて(Beyond Time and Space)
狂暴クトゥルフ(Dire Cthulhu)
新しい勢力ごとの信者(New Faction Acolytes)
戦闘ダイス(Battle Dice) 10色200個
中立ユニット識別リング(Neutral Unit Identifiers)

道を開くもの(Opener of The Way)勢力
眠れるもの(Sleeper)勢力
風を歩むもの(Windwalker)勢力
チョー=チョー人(Tcho-Tcho)勢力
アザトース(Azathoth)拡張
6〜8人用地球マップ(6-8 Player Earth Map)
宇宙的恐怖(Cosmic Terror)パック
不気味なゲート・パック(Eldritch Gate Pack)
大司祭(High Priests)拡張
特殊ダイスパック(Custom Dice Pack)

★旧支配者(Great Old One) $749
ほぼ全部入り。コアルールに加えて上記のティンダロスの猟犬にある新旧ほぼ全ての拡張がついてきます。今から全部揃える人向け、かなりの量になるので格納場所を準備しておきましょう。

●今回のキックスターターの対象になっていない拡張
以下の拡張は今回のキックスターターでは対象になっていなくて、アドオンでも追加できず、全部入りにも含まれていないようです。

旧支配者パック((Great Old One Pack) 4種
ドリームランドの怪物パック(Dreamlands Monster Pack) 2種
ラムジー・キャンベル怪物パック 2種
過去の拡張マップ 4種

現状で在庫に限りがあり、増産のタイミングがキックスターターと合わなかったのが理由とのことです。まだ版元の Petersen Games のネットショップや、各ゲームショップに在庫が残っているようなので欲し場合にはそちらを当ると良いでしょう。

●キックスターターの注意
キックスターターに慣れた人になら言うまでもないことですが、キックスターターは予約購入サイトではなく、あくまで開発資金などを支援するためのサイトで、もしうまくいった場合に支援のお礼として報酬がもらえる仕組です。

報酬はあくまで予定であり、状況によっては変更されたり無くなったりする可能性もあるので留意する必要があります。中には資金だけ集めて連絡が取れなくなったりする詐欺に近いものもあるので実績など良く注意してください。その点、今回の Petersen Games のチームは過去のクトゥルフ・ウォーズの第一期、第二期を含めて多くのプロジェクトを成功させて報酬を配ってきているので信頼性は高いです。

あと報酬の配布時期ですが、キックスターターの期日は全てが予想以上にうまくいった場合の希望的な推定だと思ってください。遅れるのはざらというか当り前です。経験上99%遅れます。2倍〜3倍遅れるのは当たり前くらいに考えておくべきものです。一方でクトゥルフ・ウォーズのチームは手慣れてきており、最初の見込みからあまり遅れることはなくなってきているようです(今回もそれほど遅れないのではないかと期待しています)。

●配送料金について
あともう一つだけ注意しておくべきことがあります。上記の支援金額には送料が含まれていません。プロダクトの完成後に宛先にごとに配送料金別途請求されることになっています。クトゥルフ・ウォーズはかなり大きなフィギュア多数で構成されており大きな箱に入っているため国際配送料はかなり高額になります。支援したプロダクトの数とかにもよると思いますが第一期および第二期の時の私の経験から言うと $100〜$200 の配送料金を別途見込んでおく必要があると思います。

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終わりに
以上はあくまで現時点での内容で募集期間はまだ半分(2週間)以上残っており、今後も色々な追加や変更があるのではないか思います。皆様もこの機会にクトゥルフ・ウォーズに挑戦してみてはいかがでしょうか。

2017年7月1日

RuneQuest Quickstart 紹介

今年の年末に Chaosium社から新しいルーンクエスト(ケイオシアムが開発したという意味では日本語に翻訳された第3版に続く、第4版)の発売が予定されています。今回のルーンクエストは汎用システムではなく、グローランサ世界専用とアナウンスされており、ルーンクエスト第2版以来何と37年振りのことで、その名も RunelQuest: Roleplaying in Glorantha です。

 

そして、その新ルーンクエストのお試し版というかプレビュー版の位置付けのクイックスタート(Quickstart)が先月の Fre RPG Day のイベントの一貫として欧米のゲームショップの店頭で無料配布されたのですが、本日(7月1日に)あらためて販売開始となり広く入手できるようにになりました。PDF版ならば無料で入手できますので是非入手してみてください(英語ですが)。

新しいルーンクエストがどのような感じになるのか? このクイックスタートをレビューしてみたいと思います。短かく簡単に読み易くまとめるつもりだったのにダラダラと長くなってしまいました。長いですけどあまり中身はないので軽く読み流してもらえると幸いです(あらかじめ言い訳)。


●クイックスタートの入手方法

クイックスタートルールは以下のケイオシアム社のサイトから購入できます。PDF だけなら無料でダウンロードできます(下の方に Get the Free PDF Download! というリンクがあります)。

販売ページ:
www.chaosium.com/runequest-roleplaying-in-glorantha-quickstart/

Free RPG Day に配られた冊子と比較すると、一部の誤植や間違いが修正されているようです。


●クイックスタートの概観

A4レターサイズで表紙別で48ページになっています。表紙は綺麗なカラーで伝統の大きなトカゲと、青銅の鎧を着た女性冒険の絵です。この大きなトカゲですが、どんなに恐ろしい怪物かと想像していたのですが、ケイオシアム社のスタッフの話だと、ロックリザード(岩蜥蜴)だったようです。そう聞くといきなり雑魚に見えてくるか不思議です。中身は白黒で前半の24ページがルールパート、後半が16ページのシナリオと 8ページの作成済みキャラクターになっています。


●ルール全体の印象

個々のルールを確認する前に、まず最初に注意しておかなければならないのは、新ルーンクエストはまだ完成していないということです。それで、このクイックスタートも開発途中のルールが元になっていて、コンピューターのプログラムでいうアルファ版のようなものということです。それでこれから紹介する内容もあくまで現時点のもので正式版では変更になる可能性が多分にあります。
クイックスタートは今年の 2月頃のルールを元に作成されたもので、それ後も開発が続けられており、現時点で既に色々変更になっていとのことです。さらに 48ページ(シナリオを除くと 24ページ)にルールを収めるためにかなりの部分が省略されたり簡略化されてになっています。

クイックスタート・ルールを読んでいて最初に気付くのはどこかで読んだことがあるようなルール文章があちこちにあることです。実際に第2版や、第3版のルールブックからコピーペーストしただけのような部分が多数見つかります。デザイナーの「昔からルーンクエストを遊んでいる人に馴染み深いルール」とか「ルーンクエスト2版をベースにルーンクエスト3版の良いところを取り入れて、ペンドラゴンなどを元に新ルール導入する」とか「実質ルーンクエスト 2.5版」とかいう話は嘘ではなさそうです(笑)。2版からとった部分と3版からとった部分があるせいで現時点では整合性が取れていない部分も残っているのがご愛嬌。正式版発売までには直っていて欲しいところです。


●能力値

それでは個別のルールを見ていきたいと思います。まず最初に能力値ですが、筋力(STR)、耐久(CON)、サイズ(SIZ)、敏捷(DEX)、知性(INT)、パワー(POW)、カリスマ(CHA)となっています。日本語に翻訳された第3版と比べると外見(APP)がカリスマ(CHA)に入れかわっていますが、ルーンクエスト的に3版以外は全て CHA なので標準的といった感じです。


●増強

最初に記載されているのは増強のルールです。ある技能(スキル)で別の技能を補強するルールが正式に採用されました。絵を売る際に〈芸術〉技能で〈取引き〉技能を補強して成功率を高めるとかができます。ルールは簡単で支援する技能、この例なら〈芸術〉技能で判定して、成功すれば〈取引き〉に +20%、失敗ならば -20% となります。クリティカルやファンブルならもっと極端な修正になりますが、シンプルで使いやすいものになっています。もちろん自分の技能だけでなく他人の行為に対しても増強を使用できます。印象的なのは単なる技能だけでなく、能力値抵抗ロールや、呪文をかける際の成功率まで増強することもできる点です(〈ダンス〉や〈歌唱〉技能などが使えます)。かなり応用範囲の広いルールとなっています。


●技能

技能(スキル)は大雑把には今までの RQ2/RQ3 と同じ感じですが、内容の整理や入れ換えが行なわれています。〈地図作成〉とかの(使えないw)技能は無くなりました。新しい技能として目立つのが〈威嚇(Intimidiate)〉とか〈策謀(Intrigue)〉のような交渉系の技能の充実です。〈芸術〉や〈ダンス〉も交渉分野に分類されています。ほかには知識系の技能に〈農場〉〈放牧〉〈家の経営〉のような職業系の技能が追加されています.クイックスタートに記載されている技能は一部のみで全てではないとのことなのですが、戦闘や冒険の場だけではなく日常的な技能に力を入れていることが伺えます。


●ルーン

新しいルーンクエストで新規導入されたルールとして最も目につくのは「ルーン」についてす。RQ2 や RQ3 ではルーンクエストという名前に反してルーンは信仰する神々の属性としてのみ使用されており、冒険者個人にはあまり関係しませんでしたが、新しいルーンクエストではキャラクターごとに「ルーン」という特性を持ちます。これは技能の同じくパーセント値で表現され、風のルーン90%、移動のルーン70%、調和のルーン60% のような値を個人ごとに持つことになります。

ルーンには色々な使い方がありますが、最もわかりやすいのがルーン呪文の使用です。今まではルーン呪文(神性呪文)の成功率は 95% 固定でしたが、新版では呪文ごとに関連するルーンが決まっており、そのルーンの値が呪文の成功率になります。例えば《瞬間移動(テレポート)》の呪文は移動のルーンの値で成功率が決まります。

ルーンのもう一つの重要な使用方法はルーンによる鼓舞(インスパイア)です。身体/精神をそのルーンの力で満たすことにより、そのルーンに関連する行為を強化することができます。これには上記の技能による増強と似たルールを使用します。例えば「火」のルーンは槍に関連しているために、火のルーンで心を満たしてインスピレーション判定に成功すれば〈ロングスピア〉技能に+20% の増強を獲得できます。ルーンそのもの魔術的な効果ということだと思いますが、下手な呪文によりずっと応用範囲が広くて有用な力です。失敗した時のペナルティもあるし、ゲームマスターの許可も必用なので、いつも使えるというわけではありせんが、新しいルーンクエストの重要な要素になっています。

ルーンには個人の性格や個性として使い方もあります。グローランサのルーンにはそれぞれに関連した性格が決まっており、特定のルーンの値が高いものはそのルーンの性格が強いとされています。「風」のルーンならば「活動的で、誇り高く、暴力を好み、移り気で予想がつかない」といった感じになります。ロールプレイの参考にしたり、選択を迷った時にダイスで方針を決めたりできます。またルーンの値が非常に高い場合には、本人が望まなくても、そのルーンの性格にふりまわされる(ゲームマスターの指示により判定/行動を強制される)ということもありえます。


●情熱(パッション)

ペンドラゴン(アーサー王伝説を舞台にしたRPG)を遊んだことがある人ならお馴染みの「情熱(パッション)」ルールがルーンクエストにも導入されます。人には「愛情」や「忠誠心」場合によっては「憎悪」や「恐怖」などのとても強い感情や、それのためには苦労を厭わないような個人的に大切にしているものがあります。そして物語の上でそれが問題になった時に普段では出せないような能力を発揮することがあります。これを表現するためのルールが情熱です。情熱も技能やルーンと同じく「忠誠(アーグラス)80%」「帰依(オーランス)90%」のようにパーセントで表現され、D100を使って同じように判定します。技能(スキル)と「ルーン」と「情熱(パッション)」、同じ判定方法を使用するこれらを三つを合わせて特性(アビリティ)と呼びます。

情熱は主に鼓舞(インスパイア)に使います。例えば家族が危険にさらされた時に「愛情(家族)」の判定に成功すれば、家族を救うための戦いなど技能ロールに増強を得ることができます。一方でルーンと同じく、プレイヤーや本人が望んでいなくても強い情熱(パッション)によってキャラクターが振り回されることなども起こります。情熱は、それによってその人が大事にしているものや、冒険のきっかけ、周囲とのかかわりなど明確にし、冒険者を単なる「駒」ではなく生きた存在にします。

ペンドラゴンのもう一つの特徴であった「気前が良い」とか「冷酷」とかいった性格(トレイト)のルールは導入されていませんが、ルーンクエストでは先に説明した「ルーン」を性格として使用します。


●戦闘ラウンドとストライク・ランク

ルーンクエストなのでもちろんストライク・ランクによる行動順の決定があります。クイックスタートルールを読む限りではストライク・ランクのルールはルーンクエスト2版(RQ2)と全く同じもののようです。RQ2 のストライク・ランクについては前に記事をかきましたのそちらを参照ください。

ルーンクエスト3版(RQ3)との最も大きな違いは専用の移動フェイズがあることです。このため移動の処理が簡単です。移動関連のルールも RQ2 と同じで、接敵状態から離脱するためのルールが追加されたのが唯一の違いといった感じです。あと RQ2 は 1戦闘ラウンドは 10 ではなく 12ストライク・ランクからなります。


●武器と鎧

武器と鎧のデータは現時点ではおおまかには RQ2 の数値を元に、新しい武器が追加されているくらいの違いしかないようです。この辺の数値はまだ調整中なので正式版では、一部変更されるとのことです。

運用的な大きな違いとしては、攻撃と受け流し(パリィ)の技能の区別が無くなったことがあります。例えば〈ブロードソード〉技能一つで、ブロードソードによる攻撃と受け流し(パリィ)の両方ができます。


●攻撃と受け流し

戦闘ルール、特に攻撃と受けの流しの関係はなどは、おおまかには RQ3 が元になっており、それに RQ2 風味の味付けをした感じになっているようです。

もちろんクリティカル成功(決定的成功)とスペシャル成功(効果的成功)のルールもありますが、残念ながらクイックスタートでは貫通(インペイル)やスラッシュなどの個別ルールがスペースの都合で削除されていて、スペシャルだと一律ダメージ2回分のように簡略化れてしまっています(正式版にはちゃんと貫通とかのルールも載るそうです)。

この部分はテストプレイの結果を反映させて、クイックスタート以後にルールが見直され一部変更になったとアナウンスされています。クイックスタートのままのルールだと武器が壊れ易すぎると不評だったためとのことです。最新版のルールが BasicRoleplaying.org サポート・フォーラムで解説されていたので、ここではクイックスタート記載ルールではなく、より新しい方を紹介したいと思います。

攻撃\受けクリティカルスペシャル成功失敗
クリティカルダメージ無しクリティカル命中クリティカル命中クリティカル命中
スペシャル強カウンタースペシャル命中スペシャル命中スペシャル命中
成功強カウンターカウンター通常命中通常命中
失敗強カウンターカウンターカウンターダメージ無し

通常命中:

武器のダメージ・ロール + ダメージボーナスロールを与える。受け流しに成功していたらその武器の HP をダメージから引く。ダメージが受け流した武器の HP 以上なら余分のダメージは命中部位へ適用され、受け流しに使用した武器のHPを 1 だけ減らす。

スペシャル命中:

武器種ごとに異なるダメージを与える。受け流しに成功していたらその武器の HP をダメージから引く。ダメージが受けた武器の HP 以上なら余分のダメージは命中部位へ適用され、抜けた量と同じだけ受け流しに使用した武器の HP も減少する。
    突刺武器 貫通:? 武器最大値 + 武器ロール + ダメージボーナス
    切断武器 スラッシュ:? 武器ロール2回分 + ダメージボーナス
    打僕武器 クラッシュ:? 武器の通常ロールダメージ + ボーナス最大値 + ダメージボーナス

クリティカル命中:

スペシャルと同じダメージ量だが、鎧や魔法の防御を無視する。受け流しに成功していたら受け流し武器の HP にそのダメージを適用する。ダメージが受け流しに使用した武器の HP 以上なら(武器は破壊され)、余分のダメージは(鎧や魔法の防御は無効で)命中部位へ適用される。

カウンター:

攻撃側はダメージを与えられず、防御側は受け流しに使用した武器のダメージ + ダメージボーナスをロールし、それを攻撃した武器の HP と比較して越えていれば、攻撃武器の HP を 1 だけ減らす。

強カウンター:

攻撃側はダメージを与えられず、防御側は受け流しに使用した武器のダメージ + ダメージボーナスをロールし、そのダメージを攻撃武器のHP に適用する。

ファンブル:

攻撃ファンブルおよび受け流しファンブルは失敗に加えてファンブル表でロールする。(クイックスタートではファンブル表が省略されているので一律に「使用した武器を 1D3メートル先に落とす」になる)

要約すると通常命中や通常受けの場合の処理は RQ3 と全く同じで、クリティカルやスペシャル成功した場合には、従来の効果に加えて武器破壊効果が追加されている感じになっています。RQ2 ほど武器が壊れ易いわけではないものの、RQ3 よりは壊れるので要注意といった中間のバランスになっているようです。


●命中部位とダメージ

命中部位は RQ3 の近接/遠隔の2種類から、RQ2 の 1種類だけに戻りました。繁雑なわりに二種類あることの面白さがあまり無かったからということのようです。

ダメージの扱いは RQ2 を元にして、わかりやすく整理したものになったようです。あいかわらず手や足が飛びますし、頭を殴られて即死したりするので緊迫感のある戦いが楽しめそうです。


●防御と回避

個人的には RQ2 の防御(ディフェンス)値は気にいっていたのですが、残念ながら無くなり、RQ3の〈回避〉技能の方が採用されいます。引き算はめんどうだったのでしょうね。回避のルールは RQ3 のものと同じもののようです。


●精霊魔術と精霊戦闘

精霊呪文の使い方はほぼ RQ2/RQ3 と同じようです。呪文の種類は少し増えるみたいです。ただ呪文を所有できる量は INT から CHA に変更されたようで、CHA 能力値の重要性が上がっています。

精霊戦闘のルールはかなり変更になったようです。クイックスタートでは精霊戦闘のルールの簡略版なため、詳細はわからないのですが〈精霊戦闘〉技能どうしの技能対抗ロールで勝敗を来め、勝った方が(多分CHAから計算される)「精霊戦闘ダメージ」を相手のマジック・ポイントに与えるという処理になるようです。


●ルーン呪文

呪文自体の種類や中身はそんなに変更にはなっていないようですが、その使用方法が大きく変更になっています。

ルーン呪文を使用するためにはマジック・ポイントに似たルーン・ポイントという数値を消費する必用があります。ルーン・ポイントはあらかじめ POW を捧げて獲得する必用がありますが、今までのようにどの呪文を使うかを事前に決めておく必用はなく使用時に決めることができます。またルーン・ポイントは神殿に戻って聖日の祝祭や礼拝に参加することにより入信者でも回復させることができます。入信者でも使い捨てでは無くなったことにより強力なルーン呪文が使えるようになっています。付属のキャラクターを見た感じだと初期キャラクターでもルーン・ポイントを 3ポイント〜4ポイント持っているようなので、使える回数は少ないものの、ここぞという時の切り札として便利に使えそうです。

ルーン呪文が非常に使い易くなった一方で、先に「ルーン」のところで説明したように呪文の成功率が 95%固定から、対応するルーン値に変更になっており、いざという時の信頼性が低下しています。もっとも自分の信仰する神についてのルーンは初期キャラクターでも 60%〜90% を持っているようなので、そこまで失敗を気にする必用はないのかもしれません。


●魔道

クイックスタートでは魔道に関するルールは省略されています。


●キャラクター作成

残念ながらクイックスタートにはキャラクター作成ルールは記載されていません。そのかわりにシナリオを遊ぶために作成済みの冒険者が五人(オーランス、アーナールダ、七母神、ランカー・マイ、イサリーズの信者)付属しています。

これらの冒険者は実際のテストプレイで、でプレイヤーたちがキャラクター作成ルールを使って作った初期キャラということなので、ここからキャラクター作成ルールを推測してみます。まず武器技能を 80%〜100% 持っており最初からかなり戦闘力の高い冒険者が作れることわかります。一方で高い値を持つ技能はそんなに多くないので出来ることは限られている感じです。

全員が両親や祖父母などの記録や、過去の冒険の履歴を持っており経歴ルールを作って決めたものなのでしょう。ハレックに切られて生き残ったとかそんな波瀾万丈の経歴を持つ冒険者もいたりします。トラベラーみたいに作成中に死んでしまうようなことはないと信じたいところです。

中には 18 を超える非常に高い能力値(INT 20とか)を持っているキャラクターもいるのようなので、経歴か何かで能力値を成長さえるような仕組みなどもあるのかもしれません。他にも全員が何らかの魔法の品(単なる治癒薬だったりする人もいますが)を持っていてこれも経歴ルールで入手できるものだそうです。


●貨幣価値

ちょっと気付いたというか、意外と重要な点が貨幣価値が変更になっている点です。古いルーンクエストだと 1ルナーは貧乏人の1日の生活費くらいという扱いで、牛1頭の値段が200ルナーでした。

最近のヒーロークエストでは牛1頭が20ルナー、1ルナーあれば普通の家族が一週間暮せるくらいの価値に変更になっていて、貨幣の価値にだいたい 10 倍の開きがあります。新しいルーンクエトでは、グローランサの実状に近い方、ヒーロークエストの貨幣価値が採用されているようです。なのでルナー銀貨の価値は昔のルーンクエストと比べると約10倍あります。付属の冒険者の中に何げに 600ルナー以上の現金を持っていたりしますが、これは昔の基準でいえば 6,000ルナーに相当する大金ということになります。


●シナリオ

クイックスタートの後半は「壊れた塔(The Broken Tower)」というドラゴンパスを舞台とした短かいシナリオが記載されています。これから遊ぶ人もいると思うのでシナリオについては詳しく書きませんが、新しいルーンクエストのお試し導入シナリオとしては、かなり良くできるじゃないかと思います。


●まとめ

全体としてルールは、まだまだ開発中な感じで色々と矛盾があったり、記載が足りてなかったり(記載が足りないのはページ数を押さえるために大幅に簡略化した影響もあるとのこと)で完成度の点でが全然足りてないのですが、昔のルールのどこを生かしたいのか、何をどう変えたいか、どのような冒険を紡いで欲しいのかについて、簡略化されたルールの中からでかなり明確なビジョンを感じられるようになっいて正直感心しました。

これだよ、これ本当に欲しかったのはこういやつ、とい気持ちが強く湧いて来ます。このままブレることなる完成度を高めていってもらえると良いのですが(発売予定が今年年末とか、逆にテストプレイとか調整の時間が足りるのか心配になってたりします)。ともあれ完成版が今からとても楽しみです。

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以上

2017年6月19日

新ルーンクエストを遊んでみる会

 ●ルーンクエスト・クイックスタート

今年の年末に Chaosium から RuneQuest の新バージョン(RuneQuest Roleplaying in Glorantha)の発売が予定されていますが、それに先がけて先日の6月17日に Free RPG Day のイベントの一環として、新しいルーンクエストの Quickstart が店頭配布されました。


このクイックスタートの冊子は48ページでシナリオ1本(Broken Tower)と、それを遊ぶのに必要な最低限のルールの抜粋、作成済みキャラクターが記載されているもので、新バージョンの紹介やお試し用の作品になっています。

この冊子は欧米のショップ店頭で数量限定で配られたものなので現状で日本から入手するのは困難なのですが、7月1日に一般公開され、冊子の販売と PDF 版の無料配布がされる予定になっています。

 ●新ルーンクエストを遊んでみる会

 この新しいルーンクエストに一早く触れて配布シナリオを遊んで見ようというイベント「新ルーンクエストを遊んでみる会 〜RuneQuest Play Party〜」が、来月、東京と大阪にて開催されます。私も東京でゲームマスターとして参加する予定です。良ければ是非一緒に遊んでみませんか?

詳細は以下のまりおんさんのページから確認ください。

日程: 東京:7月23日(日)、大阪:7月30日(日)
詳細: ルーンクエスト情報局: 新ルーンクエストを遊んでみる会
           http://runequest.hatenadiary.jp/entry/2017/06/18/134955

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それでは、会場でお会いできることを楽しみにしています。

2017年5月23日

Glorantha 固有単語数の調査


ふっと、グローランサ(Glorantha)って固有名詞の数って異常に多いよなあ、覚え切れないしとか思ったので、いったいどれくらいあるのか数えてみました。

●調査対象

サンプル対象として Issaries/Moon Design/Chaosium からPDF版が出版されている全てのグローランサ出版物を対象とします。だいたい以下のようなものが含まれています。

   RuneQuest 2版の復刻: 12冊 (Troll Pack を含まず)
   Hero Wars / HeroQuest(初版): 15冊
   HeroQuest(2版): 7冊
   Guide to Glorantha: 2冊
   Wyrms Footnote  Vol.15: 1冊
   Novel: 2冊 (King of Sartar, Complete Griselda
   Stafford Library: 10冊
   Glorantha Source Bookドラフト: 1冊
   Khan of Khans rulebook: 1冊
   計: 51冊

●方法

1) PDF をテキスト化して全ての単語を切り出す
2) 大文字/小文字を揃えて重複を排除する
3) そのうち英語の辞書に載っている単語を及びその変化形を全て取り除く
4) 地球の固有名詞(著者名、支援者名、連絡先住所、図書名など)を取り除く
5) 世界に依存しないゲーム用語(能力値や呪文名など)や数値などを取り除く
6) 出現頻度が3回未満のものを捨てる

最後の出現頻度の条件ですが、グローランサのシナリオだと雑魚のやられ役のトロウルキンにまで名前が付いていたりしますがそのようなものまで数え上げるのはあまり意味がないですし、1回しか現われないものにはスペルミスの類が多く含まれていおり、それを訂正するのは手間なので一律切り捨てることにしました。

●結果

上記のように集計した結果は 9,379 単語でした。 (多過ぎるよ、そもそも覚えようとか無理でした)。

複数形や大文字/小文字以外の表記のゆらぎなどは別単語としカウントしています。もちろん細かい部分まで考えれば辞書に載っていない英単語が混っていたりとか、逆に偶然に英単語と一致してしまって削除されたグローランサ用語とかあると思うので詳細な数値には意味はありませんが、とにかく概数で一万近い単語があるという結論になりそうです。

だいたい悪いのは Guide to Glorantha にある大量の地名と、Greg 同人誌こと Stafford Library だろうということで、Hero WarsHeroQuest のサプリ22冊だけを対象にカウントしてみても 5,000 を超えていたので半端ないです。 ちなみに RuneQuest 2版の12冊だけだと 2,000 くらい。

●ランキング

今回の調査の副産物として単語の出現頻度のランキングができたので発表してみます。ランキングにあたって単数形と複数形があるものは一つにまとめました。

神名 TOP20
順位頻度単語
18372Orlanth
22682Ernalda
31612Humakt
41574Issaries
51227Lhankor Mhy
61045Yelmalio
7988Waha
8795Chalana Arroy
9782Elmal
10659Umath
11592Eurmal
11592Heler
13584Kyger Litor
14581Zorak Zoran
15575Malkion
16546Urox
17528Eiritha
18486Aldrya
19485Yinkin
20452Vingkot

感想: オーランス(Orlanth)がぶっちきりの第1位はいいとして、第2位はアーナールダ(Ernalda)なんですね。ライトブリンガーズを押さてのヒューマクト(Humakt) の3位はさすがの貫禄です。

注目は Yelmalio の6位です。 一見すると安泰みたいですが、ライバルの Elmal が9位と迫っています。 RuneQuest 2版分を含めているので勝っていますが、21世紀に出版された分だけだと、なんと  ElmalYelmalio を逆転しています。

他にも意外なところだと HelerYinkinVingkot などのオーランス系の神々が躍進が著しい感じです。 Storm Bull や Red Goddess とかは英単語として削除されているため残念ながら集計対象外です。

人名、英雄、新しい神 TOP20
順位頻度単語
11262Arkat
21210Argrath
3862Colymar
4553Nysalor
5490Kallyr Starbrow
6485Heort
7409Harmast
8401Fazzur
9399Dormal
10343Lokamayadon
11339Sheng Seleris
12329Broyan
13310Yanafal Tarnils
14302Flintnail
15298Harrek
16278Temertain
17270Etyries
18268Tarkalor
19252Delecti
20238Rurik

感想: わずかな差でアーグラス(Argrath)を押さえてアーカット(Arkat)が1位になりました。3位のコリマー(Colymar)は人名というよりは部族名として使用されている回数が圧倒的に多いと思われるので水増しチートですね。 ナイサロール(Nysalor)は神様の分類なんだけど歴史開始後なとのと Arkat との対比上こちらのリストに入ってます。グバージ(Gbaji)は惜しくも21位でランク外となりました。

16位にいるテマーテイン(Temertain)が他と比べて圧倒的な小物感を出してる癒しです。20位にちゃっかり入っているルーリク(Rurik)さんもRQ2のサンプルキャラクターによる水増しで癒し枠だけど、最近は英雄の仲間入りをした模様です。

地名 TOP20
順位頻度単語
14595Sartar
24075Glorantha
31933Prax
41097Tarsh
5869Esrolia
6799Seshnela
7697Dara Happa
8642Genertela
9626Jonstown
10618Boldhome
11610Ralios
12589Nochet
13551Kralorela
14466Balazar
15461Heortland
16453Fronela
17373Kethaela
18372Pamaltela
19367Dorastor
20358Kero Fin

感想: TOP3は書名になっていることもあって圧倒的です。グローランサ(Glorantha)をサーター(Sartar)が上回ったあたりがちょっと意外ですかね。

首都のボールドホーム(Boldhome)を押さえて9位に入ったジョンズタウン(Jonstown)は「ジョンズタウン文書」のおかげです。その他はドラゴン・パス近辺の地名および大地域なので順当ですね。Dragon Pass そのものや Spike などは英単語除外により集計対象外です。

種名 TOP20
順位頻度単語
11812dragonewt
2932aldryami
3857trollkin
4825mostali
5573uz
6451newtling
7353alynx
7353morokanth
9224durulz
10210gorp
11157ludoch
12134walktapus
1397vrok
1481triolini
1574embyli
1667uzko
1766jack o'bear
1858hollri
1858jolanti
1858ouori

感想: 一応、他のリストに合わせて20位まで集計しましたが頻度的には10位くらいで十分だったかもしれません。ドラゴニュート(dragonewt)が倍近い差を開けて1位でした。 elf や troll などのように呼び替えができないためでしょうね。

10位の gorp には「貪り喰う」のような意味の英俗語が存在していたはずですが、使用した辞書には載っていなかったため英単語除外を免れたようです。

人種、民族名 TOP20
順位頻度単語
12904Orlanthi
22066Heortling
31210Praxian
41020Sartarite
5736Telmori
6725Dara Happan
7583Malkioni
8511Humakti
9469Vadeli
10458Vingkotling
11391Hsunchen
12386Carmanian
13383Esrolian
14362Jrusteli
15337Waertagi
16297Kralori
17278Pavic
17278Tarshite
19274Brithini
20263Agimori

感想: グローランサには種族にするか人種にするか悩ましい者共が多数いるのですが人間っぽいのは全部こっちのリストに入れました。テルモリ(Telmori)とかウェアタギ(Waetagi)とか。

8位に入っている Humakti には民族的な意味が薄くて純粋に信者集団なあたりが特異です。ちなみに同じような位置付けのイェルマリオン(Yelmalion)は128回しかなく完全なランク圏外でした。

●まとめ

思ったより多量に単語が有りました(苦笑)。数を増やせば良いというものではないでしょうが、地理、歴史、神話などを詳細に掘り下げるに従って増えて行くのは仕方がないところなんでしょうね。他の RPG の背景世界などの創作ワールドだとどんな感じなんでしょうね。

グローランサには今回の集計に混ぜなかった RuneQuest 3版資料、Mongoose版資料、公式/非公式な各種雑誌資料などがあって、まだまだ増やす余地はあるのですが...

2017年5月7日

クトゥルフ・ウォーズ(Cthulhu Wars)拡張の紹介(15)

最終回は第2期キックスターターのおまけフィギュアについて紹介します。第1期のキックスターターでも多量のおまけフィギュアがついてきましたが第2回キックスターターも多数のおまけフィギュアがついてきました。

= 宇宙からの色・ゲート =
(Colour Out of Space Gate Pack)
各勢力ごとの色つき門(ゲート)が1個づつ付いてきました。開始ゲートとかの目印に使うことができますが、これらの門を使うための特別ルールが Petersen Games のウェブページからダウンロードできます。

ダウンロード: Petersen Games ダウンロードページ

= 暗闇で光る旧支配者 =
(Glow-in-the-Dark Great Old One)

大盤振舞い、旧支配者のフィギュア11体です。主に飾っておく用ですがゲームのユニットと入れ換えて遊ぶこともできますし、TRPG などに流用することもできそうです。ゲームについてくるものと同じ型ですが、これらの半透明素材のフィギュアは燐光により暗闇で光るという特徴があります。


そう言われると実際に試さざる得ないというもの、部屋を暗くしてみました。色によって明るさが違いがあってラーン=テゴスとイタカはやけに明るく光り、ウボ=サスラもそこそこ光りますが、残りは微妙な感じです。


= 独立の旧支配者の忠誠カード =
(Independent Great Old One Loyalty Card)
これはオプションルールとして各勢力に所属している旧支配者を、独立の旧支配者としても使えるようにするための忠誠カード(Loyalty Card)と独自の呪文書(Spellbook)です。例えば「這いよる混沌」勢力を担当するプレイヤーがいない時に、使用しないニャルラトホテプを独立の旧支配者として誰でも覚醒できるようできます(バランス調整のために本来ものに比べて、だいたい半分くらいのコストと性能になっているようです)。上述のおまけの燐光フィギュアを使えば2体目のクトゥルフ登場とかもできるかもしれません(末期症状)。


= H.P.ラブクラフト胸像 =
(H.P.Lovecraft Bust First Player Marker)
キックスターター恒例というべきか、H.P.ラブクラフトのフィギュアです。今回は銅像風の胸像です。これも第一プレイヤー・マーカーとして使用できます。(そういえば余談ですが2版では用語が「開始プレイヤー(Start Player)」から「第一プレイヤー(First Player)」に変更されたみたいです)


= 勢力の自作用フィギュアセット =
(Homebrew Faction Figures)
勢力を自作するための灰色の信者6人と、大司祭1人、魔力マーカーと滅亡マーカーのセットです。上述の Peatersen Game のウェブページから勢力シートや呪文書のテンプレートもダウンロードできるので、中立のユニットを組み合わせて勢力を自作できます。公式の勢力はかなり丁寧にバランス調整されているのですが、独自作成でそのレベルのバランス調整は結構難しそうです。


=追加コレクターズ・フィギュア=
(Collector's Figure)
第1期に大量についてきたコレクターズ・フィギュアの追加分です。今回の拡張には中立の怪物はほとんどいないため、この2種類だけです。キックスターターの支援金額合計がもう少し延びれば、原ショゴスやチョー・チョー人も追加される可能性はあったのですが届きませんでした。

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■とりあえず全部を紹介し終ったので今回の連載は以上で終わりです。Petersen Game では第三弾 の企画も進行中ようなので、その時にはまた書きたいと思います。