●ヒーローポイントの入手
今回はヒーローポイント(Hero Point)と成長について説明します。 まず各プレイヤー・キャラクターは作成時に3ポイントのヒーローポイントをもらえます。 そして各セッションの終りに2〜4ポイントのヒーローポイントを獲得できます。 さらにセッションで最も面白いプレイをしたプレイヤーを投票して1ポイントのボーナスを与えるというオプションもあります。
2〜4ポイントと幅があるのはセッションの時間やその濃さによって変えるためです。 この時に欧米で毎週決まった曜日の夜に集まって数時間ゲームを遊ぶという習慣があるということを覚えておくと良いでしょう。 このため1回のセッションというのは2〜3時間程度というのを前提に計算して、休日に集まって1日遊ぶ場合には途中で切って何回かのセッションに分けて遊ぶと良いでしょう。
数セッションからなるシナリオの終りにさらに追加で3ポイントのヒーローポイントが配布されます。 オプションとしてシナリオ全体を通してのMVPを投票してその報奨を与えることもできます。
●アビリティの成長
セッションの終りにヒーローポイントを使用してキャタクターを成長(Improve)させることができます。 ヒーローポイントを1ポイント支払うことにより持っているアビリティのうち一つを +1 することができます。
一度に複数上げるのはより難しくなります。 +2 するためには 1+2 で3ポイント必要になります。 +3 するためには 1+2+3 で6ポイント、 +4 するためには 1+2+3+4 で10ポイント必要になります。
●キーワードの成長
アンブレラ型のキーワードはアビリティではなく、 キーワード自身を上昇させることもできますが、 それにはアビリティの2倍のヒーローポイントが必要になります。 +1 するために2ポイント、 +2 するためには6ポイント、 +3 するためには12ポイントといった具合です。
●新しいアビリティの獲得
ヒーローポイントを1ポイントを支払うことにより新しいアビリティを13で獲得できます。 これにはそのアビリティを獲得した経緯に関して合理的な説明が必要になります。
最も一般的な使い方はゲームの中での出来事に関連したアビリティを獲得することです。 逆に言うとセッション中で入手したアイテムや新しい友人などの人間関係をそのキャラクターの属性の一部として永続化した場合にはヒーローポイントを支払って新しいアビリティとして獲得しなければなりません。 これを経験の固定化(cementing an experience)と言います。
●キャッチアップ
有能な主人公たちは際だった能力を持っているものです。 これは多くのRPGでも同様で、 プレイヤーたちがそのキャラクターの最も得意な分野を一本伸ばしする強い動機になります。 HeroQuestも例外ではなく、 プレイヤーたちはPCの得意な能力を中心的に成長させようとするはずです。 そうすると時間が経つに従って得意なアビリティそうでないアビリティとの数値な差が大きくなってしまうためますます得意分野しか使用できなくなってしまいます。
この問題を補正するためにキャッチアップ(Catch-Up:追い上げ)というシステムが整備されています。 成長においてアビリティに新しいマスタリーを獲得する毎に、 成長してマスタリーを獲得したアビリティよりも5ポイント以上低いアビリティを最大5個まで選んで、 3ポイントづつ成長させることができます。 これにより主要な数個のアビリティを成長させていくだけで、 残りのアビリティもそれなりに成長する仕組みになっています。
アンブレラ型キーワードを使用している場合にはキーワードの中に含まれる個別アビリティをキャッチアップで上昇させたり、 個別アビリティの上昇ではキャッチアップは獲得できません。 そしてキーワード自身をキャッチアップで上昇させたい場合にはアビリティ2個分として計算します。
●指示成長
ナレーターはPCの特定のアビリティを指定して1〜3ポイント上昇させることができます。 これを指示成長(Directed Improvement)といいます。 これはセッション中でもその場ですぐに成長が適用されます。 多くの場合、指示成長は特に重要だたりドラマティックな物語上の障害を克服した報酬として与えます。 ナレーターはこれによりプレイヤーが通常は成長させないようなアビリティを成長させて、多彩なアビリティを維持することができます。
またナレーターは指示成長を使って物語中で獲得した能力や新しい人間関係やのうちの特に重要なものを新しいアビリティとして(たいては13で)獲得させることもできます。 これにより物語中での一貫性を推奨することができます。
●成長速度の補正
多くの物語において主人公たちは最初から完成された存在であり、 物語を通して大きな成長はありません。 これを表現するために HeroQuest においてはPCの成長速度はゆるやかなものになっています。 しかしながらファンタジーのような一部のジャンルではキャラクターの成長がテーマになっており早い速度で成長するのが普通です。 逆に例えばホラーやサバイバルやハードSFのような分野では主人公たちは弱い存在のままでほとんど成長することはありません。
これを表現するために成長に必要なヒーローポイントの量を調整することができます。 ファンタジーなどで成長を重視するならばより少ないヒーローポイントで成長させることができるようにします。 逆にホラー等で成長を遅くしたいならば成長に必要なヒーローポイントの量を増やします。
PCの成長速度を変更した場合には、 前回に紹介した抵抗の基本値も同様に修正してバランスを取るようにしてください。
●ヒーローポイントと成長のバランス
HeroQuest のヒーローポイントはコンテストにおける成功度の繰り上げと、 キャラクターの成長の両方に使用します。 ゲーム的には配布されたヒーローポイントの半数強をセッション内での繰り上げに使い残りを成長に使うバランスで設計されているようです。 前回に説明したセッション数による抵抗の基本値の表も半分未満を成長に使う感じになっています。
個人的な経験になりますが、ナラティブRPGに馴れていないプレイヤーの中には他のRPGのように成長を目的として、あまりセッションの中での繰り上げにヒーローポイントを使いたがらず温存する傾向を持つ人がいます。 ヒーローポイントを使用した活躍は HeroQuest の華であり、 キャラクターを生かし物語を面白くする最大の機会なのですが。
このようなプレイヤーたちにはナラティブRPGにおいてはキャラクターを成長させ強くすることは目的ではなく、 面白い物語を創ることが目的であることを再度強調して、 配布したヒーローポイントの少なくとも半分は成長ではなく、 セッション中の活躍に使うべきであると伝えてあげてください。
それでもプレイヤーたちが納得がいかず成長を重視してヒーローポイントの使用を渋るようならば、 いっそのこと成長用のヒーローポイントと繰り上げ用のヒーローポイントを別々に配布するようにするとうまく回るようです。 さらに繰り上げ用のヒーローポイントはセッションごとの使い捨てで余ったとしても成長には使えないことにすれば積極的に使うしかありませんね。
《続く》
簡単ですがヒーローポイントと成長について説明しました。 とても軽量なRPGである HeroQuest においてヒーローポイントは唯一管理すべきリソースで、 主としてプレイヤー間の活躍のバランスを取っています。 だいたい主要なルールは今回までで全て説明し終りました。 次回は最終回としてナレーターのテックニックについて説明できればと思います(私にうまくできるかな?)。
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